JARL QRPクラブ会報 2019年1月31日発行 vol.61-07

投稿者: | 2019年1月30日





JARL QRPクラブ会報 2019年1月31日発行 vol.61-07 The JARL QRP Club


JARL QRPクラブ会報 2019年1月31日発行 vol.61-07

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JARL QRPクラブ会報 2019年1月31日発行 vol.61-07


No. 2019年1月号 目次 コールサイン 筆者
1 【運 用】 南の島でも台風に振り回されるの巻 JR3ELR 吉本 信之
(Nobuyuki Yoshimoto)
2 【製 作】 スモールループアンテナ(SLA)の実験 その2 JA1XFA 田島 建久
(Michitaka_Tazima)
3 【お知らせ】2018年 JARL QRP CLUB 全国集会 終了 JE1ECF 斎藤 毅
(Tsuyoshi Saito)
4 【編集後記】  JR7SOX 菊池 弘二
(Kohji Kikuchi)
6 【編集後記】  JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)


【運 用】 南の島でも台風に振り回されるの巻

#033 JR3ELR 吉本 信之

 台風は奥尻島渡海を没にされた25号で縁を切りたかったのに、次の26号が沖永良部島、徳之島、奄美大島島旅打電に乱入してきました。(図1)

打電地

【図1】位置図

1.渡難(どなん)の島が続く奄美大島~沖縄本島間

 与論島渡海と同じく夜便で那覇空港に降り翌朝7時出航の船で沖永良部島に着岸するのは午後2時過ぎのこと。那覇空港で当日乗り継ぐのと到着時刻は変わりません。
 次の徳之島への渡海と徳之島から奄美大島への渡海も船を予定していましたが、フィリピン沖を通過した台風26号のウネリが奄美諸島にも押し寄せたため運行が抜港条件付きに変わり、島幽閉の危機に陥ったために以降はATR42-600型機で渡海を続行しました。何の因縁か今年3度もこの機種に乗りましたが、これで太平洋の大海原を八丈島から小笠原迄飛ばそうというのは無謀というのが実感です。(写真1)

ATR42-600型機

【写真1】ATR42-600型機

2.知れば知るほどラビリンス不思議の島だよ奄美群島

 ハブは沖永良部島にだけいませんが、与論島からトカラ列島悪石島の手前の宝島までしっかり居ます。徳之島と奄美大島には哺乳類なのにY染色体が存在しないどころかX染色体を1列しか持たないミュータントのトゲネズミが生息しています。

徳之島の黒ハブ

【写真2】徳之島の黒ハブ

 徳之島で同宿になった琉球大学の方々は夜な夜な目玉が赤く光る黒く大型の徳之島ハブ(写真2)をもろともせずにトゲネズミ、アマミヤマシギ、アマミノクロウサギに出会うべく嬉々として山に入っていきますが、私は夜間宿に引きこもりリュウキュウコノハズクのBGMを聴きながら大人しく打電しておりました。(写真3,4)

シャックの様子

【写真3】沖永良部島、知名町打電


天城町打電

【写真4】徳之島、天城町打電

 どちらの島の宿も集落から離れた海岸を選んでおり無線には最高の場所でした。しかも沖永良部島の宿は最大8人泊まれる番犬付一軒家のコテージを一人独占です。この番犬の意味は日が暮れるとすぐに判明しました。こりゃ大変と番犬にチップをはずんで夜通し徘徊の野生動物から守ってもらいました。

3.釣果

 どちらの島もS9の発動発電機の島ノイズが激しく、エネループ8本を充電しては2.5W運用の繰り返しで沖永良部島の知名町で17局、徳之島天城町で16局とレンタカー運用の5Wで35局、伊仙町はレンタカー運用の5Wで16局でした。(写真5)

徳之島北端

【写真5】徳之島北端から奄美大島方面を見る

 食の方でも徳之島の宿ではアカジンミーバイ(スジアラ)、シガヤー(シマダコ)、ミズイカ(アオリイカ)、イラブチャー(青ぶだい)、塩豚、中身(豚の小腸)のピーナッツ合え、最終地の奄美大島名瀬では冬場本土に出荷しても採算が合わない天然本マグロを残りの人生分大人喰いとこちらの釣果も先ず先ずでした。

4.年の瀬

 生存率の言い渡しから丸三年が経過しました。絶対にあり得ないから奇跡といいますが、その奇跡のおかげで娑婆で少し長く遊ばしてもらっています。
 次から次へと不思議が見えてくる日本の最果て打電を後200年位、いや500年位は島風に吹かれながら凧アンテナ任せでパイルアップに萌える我が身の姿を初夢にするぞーー。良いお年を。

【編集部から】

(JA8IRQ)

吉本さん、いつも原稿ありがとうございます。昨年のうちに発行することができずに申し訳ありませんでした。
 


【製 作】 スモールループアンテナ(SLA)の実験 その2

#1078 JA1XFA 田島 建久

 前の投稿では友人からエアコン用配管の切れ端を頂いたのがきっかけでスモールループアンテナ(SLA)を作成た顛末でした。
 更に比較の為、ループコイル給電方式も作って比較してみました。
 ネットの微小ループアンテナ製作記事の殆どが給電部は小型ループで、トロイダルコアによる給電方法は少なく、自作例も少ないように思えた事も製作理由にあります。

 私は以下の理由でトロイダルコアでの給電方法をやってみたのです。
 1.余りコア給電式が発表されていないから。(ヘソ曲がり・・)
 2.製作してしまえば、変形などによるマッチング条件の変化が少ないのでは?
 3.ジャンクから取り外したコアが手持ちにあったので。マトモ?な用途に使ってみようか?
 4.放射エレメントにコアを通すだけで、製作が簡単・・。ループ部の支持機構を作らなくて良い。(不精・・)

 これまでの概況は先の投稿記事に書きました。
 今回は可搬性向上のためエレメントの軽量化も考えていましたが、ネットの記事を参考にすれば太い同軸ケーブルをエレメントにしたものが追試製作に良さそうです。
 そのつもりで探したら海外製品ですが、専用バッグにコンパクトに収納できるものもありした。

 物置を漁ったら、町内のCATVの配信ケーブル交換の際、自宅への引き込み部分に使われていた7C相当くらいのケーブルが出てきました。
 年代不明で汚れていましたが、同軸のシールド部分がアルミ箔、中心導体絶縁は発泡ポリエチレンで外装もしっかりしています。
 このケーブルはシールド部分が汎用M型接栓に繋ぎにくく、堅くて取り回しも悪いので、文字通りお蔵入りになっていたものですが、これで主エレメントを製作する事にしました。
 中心導体をシールド箔に折り返し細い銅線で絡げて短絡し一本の導体にしました。
 シールド部分の直径は約6mmなので先日の銅パイプとほぼ同じです。ならば似た性能が出そうだ、と思った訳です。

 添付画像の説明

 1~3は銅パイプ製エレメント、ループドライブ型です。

コア給電試験用2号コア

【写真1】給電試験用2号コア

 1.コア給電試験の2号コア。巻き数を増減したりしたが1号と余り状況は変わらなかった。1号より少し大きい。

 変化なしなのでループ式を作ってみた。
 2.FT-817NDの内蔵SWR計の表示です。殆ど反射はありません。

FT-817NDのSWR表示

【写真2】FT-817NDの内蔵SWR計の表示

 3.4.5. ループ式の運用状況です。ループ径は約20cm。単芯の銅線で0.9φ。
 結局、ループの形の僅かな変形でSWRが変化したり、いろいろ判りましたが、特に良い点が無かった。

ループ式の運用状況1

【写真3】ループ式の運用状況 1

ループ式の運用状況2

【写真4】ループ式の運用状況 2

ループ式の運用状況3

【写真5】ループ式の運用状況 3

 以下は同軸製エレメント、コアドライブ型です。
 6.7.8. ループ式も動作は良好ですが、理由4の為、再度大きめのコアを選んで給電部を作成。

給電部コア

【写真6】給電部コア

給電部コア

【写真7】給電部コア

給電部

【写真8】コアドライブ型の給電部

 ほぼ当局での最終型であろう“同軸エレメント・コアドライブ”型SLAでの運用試験結果ですが・・・
 運用環境は庭に置いただけのSLAで7MHzQRP-CWで数局のQSOを行いました。
 画像で判るように数メートル先は私鉄の駅です。新鋭車両が来るとインバータノイズでS9++の環境です!

 使用感

 使った感想ですが、
 1. CWバンド内であっても再同調が必要。Qが高いのが原因でしょう。
 2. 低い設置位置にも関わらず、それなりに飛ぶ。設営はとても簡単。高齢者向けか?
 3. エレメントを同軸にしたので軽くなってエレメントを庭木に引っ掛けても使えた。同上・・・。
   これは乾燥してきた季節だからでしょうか?
 4. 7~10MHz帯くらいならUS-A社などの有名コアでなくても使える。(比較した訳では無いですが)
 5. 同軸流用エレメントならバリコン端子近くのエレメントが被覆されていて感電防止になる(かもしれない)。
 6. コアの特性により使用可能周波数が変わるかもしれない。(メーカー判明のコアの手持ち無し。未確認です)。
 7. CWならFT-817NDで受信Sが7以上あれば5WでQSOできる。貰えるSはほぼ5以上。ただしパイルを抜くのは無理です。

 結果的に言えば、簡単に携帯できて出先でHF運用する際にはSLAは有効な選択肢の一つと思います。
 只一つの注意点は“エレメントの高電圧発生”です。
 手動同調のため、同時に重量配分の点でも下部にバリコンを付ける形が作り易いのですが、バリコンは充分な耐圧と周辺からの隔離が絶対に必要です。
 私は百均の密閉ポリ容器にバリコンを納めていますが、計算式では5Wでもバリコンには600V以上の高周波電圧が発生しますので、確認と注意喚起?のためバリコンの端子の一つにネオン管を付けました。
 そんな高圧が?と思いながら運用をしたら、ピカピカ良く光りました。快晴の昼前の日向の明るい屋外で817NDの2.5Wでネオン管の明滅がはっきりと判るのです。
 感動?とちょっぴりの怖さを味わいました。
 給電方法にはVHF以上だとガンマーマッチ方式もあります。とにかく自作派向きで面白いアンテナです。
 自転車や徒歩での近郊移動運用で利用可能な面白いアンテナです。
 格好も目立つので、余計な注目も集めそうですが・・・。
 防備録を兼ねて画像も纏めました。簡単に自作できるので追試して頂ければFBです。
 

【編集部から】

 前号に引き続き実験の投稿をありがとうございます。
 今では製作例もあり、シミュレーターもありますが、やっぱり実際に手を動かして作ってみないとわからないことが多いですね。(JA8IRQ)


【お知らせ】2018年全国集会 終了

#696 JE1ECF 斎藤 毅

 2018年11年17日・18日、JCG#18006静岡県賀茂郡河津町にてJARL QRP CLUB 全国集会を開催しました。

 宿泊は数年前からアマチュア無線のできる宿として話題となっている「源泉掛け流しの宿 七滝温泉ホテル」です。

 建物屋上にルールタワーとタワー各1基が設置されており、1.9MHz帯からのHF帯がQRV可能となっています。302号室が無線室となっておりリグ(電源、ATUを含む)を持込むことで、宿泊当日の14時からチェックインが可能です。(一般客は15時チェックイン) 温泉は洞窟風呂(露天)が有名なようです。

 参加者は1エリア、3エリア、5エリアからJA5DIM 林さん、JR1QJO 矢部さん、JR7HAN 花野さん、JE1HBB 瀬戸口さん、JS1BVK/3 山田さん、JK1LSE 本田さん、JR1KDA 岩崎さん、JE1ECF 斎藤(幹事)の8名でした。無線、温泉、食事・酒、オークションと楽しみました。

2018全国集会の様子

【写真1 】伊豆急で出発

2018全国集会の様子

【写真 2】ホテル周辺

2018全国集会の様子

【写真 3】温泉に到着

2018全国集会の様子

【写真 4】露天風呂もあります

2018全国集会の様子

【写真 5】洞窟露店風呂

2018全国集会の様子

【写真 6】屋上のアンテナその1

2018全国集会の様子

【写真 7】屋上のアンテナその2

2018全国集会の様子

【写真 8】ここが無線部屋

2018全国集会の様子

【写真 9】持参したリグいろいろ

2018全国集会の様子

【写真 10】持参したリグいろいろ

2018全国集会の様子

【写真 11】宴会の様子

2018全国集会の様子

【写真 12】宴会の様子

2018全国集会の様子

【写真 13】記念写真


編集後記&近況報告

#1099 JR7SOX 菊池 弘二

◆当地方も大雪に見舞われ、連日の雪かきで疲労困憊しておりました。
無線機もノイズばかりが目立ち、なかなか信号を受信できない毎日です。
 機械の調子を疑いそうになりますが、時折例のパタパタというノイズがS9+を
振って強力に入感してくるので受信部は正常なようです。
 宇宙から地上を監視できる時代です。地表に沿って電離層反射を利用するのは
趣味だけでいいんじゃないかと思うこの頃。


編集後記&近況報告

#0678 JA8IRQ 福島 誠

◆昨年のうちに出すはずの原稿が一か月以上も遅れての公開になってしまいました。
申し訳ありません。そんなに忙しいわけではないのですが、アタマが編集作業に向いていかないという大問題があり、編集作業を手伝ってくださるスタッフを募集しております。お手伝いいただく作業は、会員に原稿を依頼し、届いた原稿をWEB用に整理することです。HTMLの知識はそれほど必要ではありません。

◆今年の目標は「自作の無線機で交信する」ということにしました。6mAM送信機の未組み立てキットがあるのでリハビリを兼ねて作ってみます。雪が融けるまでに準備をしておかなくてはなりませんね。

◆2~3月号の原稿も募集中です。あなたの実験、製作、運用レポート、小ネタなどを2月15日ころまでに編集部あてお送りください。パソコンが苦手な方は福島あて直接の郵送でもかまいません。(住所はMLや紙版会報などで確認してください。)

 編集部あてのメールの宛先は qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。