JARL QRPクラブ会報 2013年8月号 Vol.56-4

投稿者: | 2013年9月1日




JARL QRPクラブ会報 2013年8月号 Vol.56-4 9月1日発行


ハムフェア2013の終了と閲覧のお礼

#696 JE1ECF 斎藤 毅

 8月24日と25日、ハムフェア会場にて当クラブブースにお立ち寄り、自作展示品等をご覧いただいた皆様ありがとうございました。
今年も多くの方々にご覧いただくことができ、無事終了となりました。

今年の自作展示品は以下の方々に出品していただきました。
なお、作品解説等は別途記載とします。

1、フリー部門

No.1  多バンド・アパマンハム対応
アンテナシステム
#821 JA1QC 山本さん

No.2 「9R-4J」形 湿度計
JK1BMK 青木さん

No.3 40mCW QRPトランシーバー
アカギ・スタンダード40
#917 JI1KZN 松下さん
No.4 7MHz AM 送信機
#722 JA1BVA 齊藤さん

No.5  30A5 50MHzAMトランシーバー
#356 JF2NMY 高木さん
No.6 ユニバーサル巻き線機
#852 JA3JJE 南さん
No.7 Tinker Bell Transceiver
#455 JG6DFK/1 児玉さん
No.8 PIXIEⅡの実験
#699 7L3DNX 竹野さん

No.9 PIXIEⅡの実験
#725 JR1QJO 矢部さん
 
 


2、テーマ部門:PIXIEⅡ

2012全国集会の参加賞であった「PIXIEⅡキット」が元になり、プロジェクトの発表の場でPIXIEⅡキットとALTOIDS缶を用いることが条件となった。

No.B #645 JA5DIM 林さん No.C #917 JI1KZN 松下さん
No.D #725 JR1QJO 矢部さん No.E #822 JF1ISC/JA8DIQ大久保さん
No.F #699 7L3DNX 竹野さん    

裏話:ALTOIDSキャンディーを完食できず、缶が使用できなくエントリーできなかった方がいたようです。
今回の展示作品について、閲覧者には印象に残る作品を投票してもらい、コンテストを実施しました。
フリー部門では#917 JI1KZN 松下さんのNo.3 40mCW QRPトランシーバーのアカギ・スタンダード40。テーマ部門では#645 JA5DIM 林さんのPIXIE2 がそれぞれ最多の票数を獲得しました。おめでとうございます。
今年のハムフェアも皆さんのおかげで無事終了しました。早くも会員の一部からは来年の自作品のテーマは?との声も聞かれました。私JE1ECF 個人的には過去のお題「1000 円トランシーバー」より敷居が低く、ビギナーも参加しやすいのではと「諭吉(10K 円)トランシーバー」はどうかと考えています。会員の皆さんのご意見をお聞かせください。なお、来年も純粋展示ブースの出展を予定しています。

お詫び:ピンボケ写真で申し訳ございませんでした。

以上


以下は会場にいらしてくださったみなさんの、肉筆のメッセージです。


















(訪問者のメッセージ終わり)


QRPなDXの世界

海外のQRPer

JA1KGW 青山憲太郞
Kentaro Aoyama

UA3DLD/QRP、Alexさんとの2WAY QRP QSO

UA3DLD/QRP、Alexさんとの2WAY QRP QSO

Alexさんの5Wリグとバーチカル・アンテナ

(Alexさんの5Wリグとバーチカル・アンテナ)

ログ・ブックを調べると7月17日の早朝は、A-index=25、K-index=2でしたが、UA3DLD/QRP、Alexさん、I3VIB/QRP,Gioさん(2回目のQSO)及びIZ3DJR/QRP, Ninoさん(8回目のQSO)の3局と2WAY QRP・QSOができましたが、1st QSOは、UA3DLD/QRP、Alexさんだけでした。A-indexよりもK-indexの数値が低い方がDX向きと云うべきでしょうか?

UA3DLD/QRP、AlexさんのQSLカードによると彼は、RU-QRPクラブ会員でU321でした。QRPリグは、5Wとバーチカル・アンテナの組合わせでしたが。交換したレポートは、329/559(His/My)でした。QTHはMOSCOW Regionと書いてありますの“EUROPEAN RUSSIA”ですから良く飛んできた方だと思います。なかなか洒落たQSLカードで、Alexさんと2~3歳の娘さんがヘッドホーンを頭に掛けて、生意気な表情でリグのダイヤルとキーヤーを弄くっている写真は何とも愛らしくて、とてもよい表情をしていました。


DX短信

JA1KGW 青山憲太

CQ誌の2013年9月号、今月の電波伝搬情には、“今月のメインバンドは、14 ・21MHzになると思われます。大圏コースでグレーラインを横切るような地域に注目です。”とコメントがありました。14.06、 21.06 及び21.06MHzの所謂“QRP ウインドウ”をワッチしてみました。(8月16日・9月15日)。

14.06Mhz・・・UT7QF/QRP(9月12日)

21.06MHz・・・UB9DBJ/QRP(8月15日)、DH1BBO/QRP(8月27日)、DL7AKV/QRP(9月15日)

28.06MHz・・・UA9AAG/QRP(8月21日)

とQSOができました。DH1BBQ/QRPを除き、何れも1st 2WAY QRP QSOでした。これで海外との1st 2WAY QRP QSO/QSLは、1550/1339となりました。


FT-817の電源をアップグレードしました

#993 JO1UBD 丸山裕二

 ALL JAコンテストでは、複数個のシールドバッテリを入れ替えながら移動運用に対応しました。バッテリ交換のタイミングは、FT-817のLOWパワー(|||表示)を目安としましたが、バッテリ交換後に意外と早く表示が出てきていました。特に送信中に5Wから2.5Wへ低下するのはSSBの音声変調に合わせて発生するため、相手局には「頭切れな」状態として受信されるのではと思います。そこで昇圧コンバータで、FT-817への供給電圧を昇圧安定させて、送信パワーの低下を防ぎ、また、バッテリの交換サイクルを減らしました。

シールドバッテリで13.9V入力

(シールドバッテリで13.9V入力)

 昇圧コンバータ回路に関してネットを検索すると、様々な自作例が紹介されていますが、キット製品としては少数なようで、今回は手頃な価格であるオーディオQさんの昇圧キット『AQV-1270UP』を選んでみました。5月7日に注文して、翌日には到着しました。(8月に追試用に再注文した際も翌日に到着しました)

注文画面

(注文画面)

到着した昇圧キット

(到着した昇圧キット)

 キット自体には回路図は添付されてませんが、部品実装図に従って難なく完成しました。まずキットには対して何も手を加えてない状態でFT-817に接続してみました。その結果50MHz帯では、ノイズがS5・7程度も振っていましたので、ここからがノイズ軽減の改造となりました。

(キットに対する改造ですので、オーディオQ社さんへの問い合わせは禁止です。また、改造後の影響は自己責任でお願いします)

 いろいろと調べてゆくと、ノイズは電源線経由では無く、昇圧回路からの輻射のようで、FT-817でノイズ状態を聞きながら、様々な箇所へ手持ちのパスコン(0.1uF、0.0047uF。値は任意でも良いと思います)を試みまして、最終的には写真の箇所に入れて軽減されました。パスコンは一つずつ追加してゆき、その結果少しずつ軽減してゆきましたが、LOWバンドよりもHIGHバンドで多く発生しており、最後まで50MHz帯でのノイズが残りました。

パスコン接続箇所

(パスコン接続箇所)

パスコンの様子

(パスコンの様子)

 キットの基板の大きさは47mm×72mmで、ケースはタカチMB-2を利用してました。2台目はテイシンTE-315に入れようかと思います。使い方にもよりますが、放熱板からの発熱量はほとんど無く、密閉状態でケーシングしまして、FDではCQマシーンを利用した連続運用を行いましたが、発熱は感じられませんでした。室内での評価時に3分間の送信後に、LT1270表面の温度上昇は1度未満でした(赤外線放射温度計のマーカーをLT1270表面として、室温33度で測定)。

MB-2に実装

(MB-2に実装)

 FT-817の電源接続構成を紹介しますと、シールドバッテリとの間にNFBを利用した分電構成と電圧低下表示を取り付けています。また、FT-817本体側との接続が外れ易いので、FT-817側に金物(東急ハンズで購入)を取り付けて、抜け防止策を行っています。

NFB付き分電箱

(NFB付き分電箱)

FT-817背面

(FT-817背面)

東急ハンズで購入した金物

(東急ハンズで購入した金物)

 FT-817の電源端子がEIAJ#2と細く、そのプラグに合うケーブル径だと電圧降下が無視出来ず(2A時に1~2V程度の低下)、途中に中継接続点を設けて全長の殆どを太い配線材で構成しています。NFBは幾つかの種類がありますが、鈴商さんで販売されている15Aが一番安価なようです。

 電圧降下の検知回路は、Trと抵抗回路、ツェナーDiとTrの2通りで試しましたが、今は検知電圧を可変できるTrと抵抗回路を利用しています。同様な電圧降下検知回路キットとして、キャリブレーションさんのCalkitでも販売されています。こちらはリセットICを利用しているとの事です。ただ、これまでバッテリが枯渇するまで使い込む前に交換していますので、電圧降下検知には至ってません。今後の追試してから報告したいと思います。

電源ケーブル

(電源ケーブル)

 また、運用中に同時に使用するスマホ類のために、USB電源(5V)への降圧変換(秋月のUSB電池ケースにスーパー三端子を利用)も合わせて使用しています。(FD直前に逆接して破損しましたの。いくら赤/黒の表示をしていても、考え事をしていると間違ってしまいますので、気をつけたいものです)

USB電源

(USB電源)

逆接破損

(逆接破損)

 以上の昇圧セットを用いてフィルドデーコンテストへ参加しました。その結果、バッテリの交換回数は大幅に減りました。交換したのは、太陽電池での充電が可能となる日の出、そして、充電回復が進んだお昼頃の2回の交換サイクルで済みました。ノイズ発生状態や発熱状態等では、気になる点は出ませんでした。肝心なコンテストの成績は……いつもの通り、楽しくムセンが出来たので満足です。

FD参加

(FD参加)

 最後に、このノイズ対策を始める際に、疑似付加として並列接続したセメント抵抗を利用して、その時の出力電圧をオシロで観測しました。しかし波形にはノイズらしき物は発見できず、またFFT演算してもコンバータ内部の動作ノイズ(64KHzスイッチング)も観測できませんでした。それでもFT-817ではノイズを受信していました。ホイップアンテナを昇圧回路に近づけて回路から出ていることが判りました。

 

 対策が終わった時期に近所のOMさんより、日置の「カレントモニター」を頂戴しました。クランプ部と専用アンプで構成され、アンプ出力をオシロで観測する仕組みです。使い方を勉強中ですので、測定方法が正しいのか自信ありませんが、パスコン対策の有無を比較しましたが、脈流成分は依然と観測できますが、FT-817での使用用途に限定すると気付かないレベルになっています(バッテリ直結ですと、カレントモニタの波形はきれいな直線ですので、写真の通りの脈流は今後の改善課題です)。

日置のカレントモニタ

(日置のカレントモニタ)

カレントモニタ出力(パスコン無し)

(カレントモニタ出力-パスコン無し)

カレントモニタ出力(パスコン有り)

(カレントモニタ出力-パスコン有り)

以上


対馬運用記

#33 吉本信之

この夏、縁があって大陸まで49.5km日本最北西端の地、対馬北部佐護(さご)の里を訪ねてきました。

対馬は福岡空港から35分で着いてしまうほど手軽に行けます。でも、空港から先は不思議がいっぱいの島です。

島の北、佐護へと走る車内に響くカーナビの音声案内と車窓を流れる道路標識が、クスボ(久須保)、タマヅケ(玉調)、ノブ(濃部)、ニイ(仁位)、シタカ(志多賀)、シシミ(誌鹿見)、シタル(志多留)、サスナ(佐須奈)と、どんどん万葉仮名に変わっていきます。

そんなタイムトンネルを2時間弱、目と耳が万葉仮名に馴染んできたころ、佐護の里に入ります。佐護には島の主「対馬山猫」、卑弥呼の頃から延々と続く太陽に輝く銅鏡の祭壇と7m以上ある四角錐の石積ピラミッド、二千年前から数百年間にわたり、牛・馬を連れた御祖先たちが荒海を渡った「藻狩船(もがりぶね)」、古今集に名を残す「いりやき(鶏鍋の原型の一つ)」、山間に残る大陸伝搬最古種の蕎麦。

対馬山猫

天道祭壇

四角錐ピラミッド

他にも書けない・言えないものに囲まれた里でした。

せっかく対馬まで来たのだから打電のアンテナは、わに口クリップで繋いだオメガ無線鉄塔アンテナだ!!
と跡地まで車を走らせました。
しかし、全く人家の無い跡地は鹿と猪の棲家と化していて昼間でも長居は危なく断念し、空港近くの公園で立木に引っかけた40mLoop/FT817のペアで12局交信して島を後にしました。

オメガ鉄塔

対馬打電


私の失敗

JI3BSB 山本 節也

(50MHz DSBトランシーバー)

今回のハムフェアの自作品コンテストに、約20年ぶりに作品を出展しました。準オールトランジスター式の50MHzDSBトランシーバーです。結果は…見事に選外。

作品が送り返されてきましたので、なぜか考えてみました。原因は、作品として未完成であったことです。

送信状態にした時、送信をチェックするインジケーターが、光りっぱなしになります。どうもファイナル段が発振しているようです。もちろん、出展時にはそんなことはありませんでした。

少しでも出力を出すために、C分割のマッチングを採用したのですが、これが良くなかったようです(変更前回路図を参照)。インピーダンストランスを使用したマッチングに変更、バイアスの定数も見直して、40mWほど出るようになりました。(変更後回路図を参照)

時間がなかったので、あわてて作ったのが良くなかったのかもしれません。自由部門で入選する人たちは、恐らく開発・製作にかなりの時間をかけているはずです。1ヶ月そこらで、そういう人たちと対抗しようとしたところに、そもそも無理があったのかもしれません。

次回はもう少し時間をかけて作品を開発・製作したいと思います。

変更前

(変更前の回路図)

変更後

(変更後の回路図)


アワード発行状況

アワード担当 JK1TCV 栗原和美

以下のとおり、アワードを発行いたしました。

QRPアワード
 ・Q賞 
  No8 JA1CCN 発行日2013年8月14日

 ・R賞
  No3 JI6QJX 発行日2013年8月14日

 ・P賞
  No3 JG1RRH 発行日2013年8月14日

1000km/Total Power賞
  No42 JA8CXX 発行日2013年4月21日


編集後記

JI3BSB 山本節也

 ここ数ヶ月は、会員の皆さんより投稿が寄せられ、編集をすることが出来ています。ご協力に感謝します。運用の記事が若干少ないような気がしますので、投稿をお待ちしています。

JA8IRQ 福島 誠

 Altoidのミントキャンデーを食べきれなくてpixieIIを製作できなかった福島です。
 暑い夏も終わってすっかり涼しくなってしまいましたが、会報8月号をお届けします。最近、新しい会員からの投稿も増えてくるようになってきて編集担当としてはうれしい限りです。次号はもうすこし早めにお届けします。

 会員からの原稿を募集中です。QRPリグ私の使い方、リグ・アクセサリー・アンテナ製作、私の失敗談、アイボール会報告、DX記録、移動運用の報告などなどいろいろな原稿をお待ちしています。

  • なるべく写真(一枚のサイズは640×480、約200KBまで)を添えて編集部あてお送りください。
  • 原稿の文字部分はテキストでお願いします。
  • ワードなどの編集済みファイルを送っていただく場合も、テキストと元の画像を添付してください。ブログではワードの画面と違う表示になりますのでご了解ください。
  • まるつき数字①②や№など、端末によって表示されない文字を使うのはご遠慮ください。
  •  編集部のメールアドレスはqrpnews@jaqrp.netです。@は@(半角)に変換のこと。