JARL QRPクラブ会報 2015年11月20日発行 Vol.58-8
No. | 2015年11月号 目次 | コールサイン | 筆者 | 1 | 【報告】JARL QRP CLUB 全国集会 2015 | JG1RVN | 加藤 徹 |
---|---|---|---|
2 | 【報告】2015年コンテスト開催 | JA8DIQ | 大久保 尚史 |
3 | 【報告】2015年QRPコンテスト自作局紹介 | JA8IRQ | 福島 誠 |
4 | 【レポート】QRPなDXの世界 | JA1KGW/JA2OP | 青山 憲太郎 (Kentaro Aoyama) |
5 | 【小ネタ】アルミ板に間違えてあけた穴の補修方法 | JG3ADQ | 永井 正範 |
6 | 【報告】300kW 短波送信所見学会 | JE1UCI | 冨川 寿夫 |
7 | 【告知】QRPキットJP60頒布受付終了 | JE1ECF | 斎藤 毅 | 8 | 【告知】忘年会(新宿)情報 | JA8IRQ | 福島 誠 |
9 | 【編集後記】近況報告 | JA5PSJ/9 | 小谷 一孔 |
10 | 【編集後記】近況報告 | JA8IRQ | 福島 誠 |
【報告】JARL QRP CLUB 全国集会 2015
-熱海で楽しむ移動運用-
#508 JG1RVN 加藤 徹
2015年10月24日から25日にかけてJARL QRP CLUBの全国集会が熱海市で開かれました。その際の運用をレポートします。
アンテナ
【図1】設営地全景_東は海_西は山
アンテナはJR7HAN花野さんが持参されたG5RVマルチバンドダイポールアンテナ(3.5-28MHz)に160mバンド運用のための追加エレメントをギボシ端子で追加した逆V型ダイポールアンテナ。そしてJG1RVN加藤持参のRadixのRDE-40 7MHzV型アンテナを使用しました。
G5RVは、ElecraftのT1アンテナチューナーで整合を取りました。
ポールは8m長の移動用ジュラルミンパイプを使用。
【図2】アンテナ設営風景
手すりの固定にはバイク用の太い荷台紐を3本使うことで設営時間を短時間に済ませることができました。
【図3】バイクの荷台紐でベランダへ設営
【図4】チカラをあわせてアンテナ完成
160mのエレメントは、みかん畑の中に沿わせる形です。JR1QJO矢部さんは、みかん畑の中で蜘蛛の巣だらけとなり大奮闘いたしました。(VY-TNX)
160mの追加エレメントは枝に沿わせる形です。ATUで整合すると十分に飛びました。
追加エレメントはギボシ端子の接続でマニュアルでON/OFFします。
リグ
各自持参のリグで楽しみました。JP60=21MHzのDSBトランシーバー実機もお披露目。21MHzSSBの信号を各自で聴いて性能を確かめていました。
ほかにFT-817、NorCal40A、KX3、各自の自作リグを使用しました。
JP60の受信テスト
日中はG5RVをつなぎ21MHzSSBでJP60の受信性能を確認。
オセアニアや北米の局がFBに聞こえていました。ダイレクトコンバージョンですのでフィーリングは1970年代のBCLラジオにBFOをつけてSSBを聴いたときの感覚です。
JP60のサイズはイメージ的にはRJX-715と同じくらいで組み立てやすさを重視した、やや大きめの筐体です。
【図5】JP60で21MHzをワッチ
160mの運用
160mバンドのQRP運用はアンテナの能率の関係から難しさを伴います。
3.5-28MHz仕様のG5RVマルチバンドダイポールに160mエレメントを
LED懐中電灯を持って野外に出てギボシ端子で接続。
JUNK市の参加を早々に切り上げてKX3で160mバンドをワッチ開始です。
深いQSBを伴いながら関東から東北そして東海地方の信号が中波で聞こえてきました。
早速KX3で空いている周波数を探し1910.8でCQを出しました。
熱海の山の中は自然豊かな環境でノイズがほとんどありません。
都会ではノイズで悩ましい160mの信号は、ノイズが無いと実に良く聞こえます。
他方で、こちらの5Wの信号は弱いため/QRPは割愛。コールサインとJCC番号1805(熱海市)を短く打って交信開始です。
ハイバンドのF層伝搬と異なり、160mの伝搬は地上高が80-100kmのE層が主体になるので遠方へ飛ばすのに苦労します。
24日(土)の夜は仙台から名古屋あたりまでが比較的強かったのですが、関西や九州は難儀いたしました。夜11時を過ぎて呼んで来る局が少なくなりQRT。
翌朝の25日(日)早朝は目が覚めた午前5時から160mで運用しD層が厚みを増して160mの伝搬が困難になる日の出まで中波のQSOが堪能できました。交信局数は37局。8エリア北海道は聞こえませんでしたが残りの1-7そして9-0の全国9つのエリアと交信できました。
【図6】KX3の160m運用
40mの運用
40mバンドは短時間でしたがJR1CHU金重さんと1WでQSO。
アンテナはRadixのRDE-40で全長は7mくらいの短縮型です。
VSWR2以下の帯域は約25kHzでコンパクトで使いやすいアンテナです。
V字アンテナは取り付け時にエレメント端で全重量を手で支える必要があります。RadixのRDLタイプはエレメントが10mで良く飛びますが、長さと重量が増すので手元の負担が大きくなり風が吹くと設営に難儀します。飛びはRDEとRDLタイプでほとんど変わらず、SWRの低い帯域幅が長いRDLタイプの方がブロードになります。短時間で設営したいとこはRDEタイプの方かも。
【図7】熱海の夜明け
謝意
今回は宿のご厚意により、みかん畑の中にクラブ員でアンテナを設営し高能率なアンテナが設営できました。また設営時はクラブ員各位に大変お世話になりました。各位に感謝いたします。
JG1RVN #508 加藤 徹
編集部より
加藤さん、レポートありがとうございます。楽しそうな様子が目に浮かびます。全国集会で1.9の運用は珍しいですね。来年の全国集会はいよいよ60周年記念イベントとなる予定です。(JA8IRQ)
【報告】2015年コンテスト開催
2015年QRPコンテストを開催しました。
#822 JF1ISC/JA8DIQ 大久保 尚史
11月3日文化の日に2015年QRPコンテストを開催しました。11月5日時点のエントリー数は130超。ハイバンドも割とコンディションが良かったようで、参加各局は局数を伸ばされたようです。ログの締切は11月23日ですので、まだまだエントリー数が増えるものと思われます。参加各局はログの提出をよろしくおねがいします。
さて、当局(JA8DIQ)もリグの虫干しがてら、14MHzと21MHzにOn Airしてみました。14MHzはElecraftのKX1、21MHzは今年4月Pacific Antennaに吸収されたのWeber Dual Bander(18MHz & 21MHz版)で、いずれもキットを組み立てたものです。コンテスト前夜に参加を決め、ベランダにアンテナを張り、リグやら電源を探し、とりあえず電源を入れたものの、バンド変更からKeyingまで、どうしたらよいのか、ほとんど忘れていました。マニュアルを探しだして斜め読みし、動作させたところ14MHzは2W、21MHzは4W出ていて一安心。FT-817でモニターして、音調も近傍スプリアスも問題ない事を確認しました。(写真1)
【写真1】KX1とWeber Dual Bander
KX1は組み立て当初から14MHzの感度が思わしくなく、某局からQSYしてきたPre Ampをかましたところ、FT-817よりもS/Nがいい感じになりました。リグやらアンテナスイッチやらの配置を整え、ボロ電源のノイズ対策をし、融けたゴム足で汚れたリグを掃除する余計な仕事もこなし、4時間ほどバタバタしてコンテスト参戦の体制が整いました。
コンテストは午前中と夕方に少し参戦し、14MHzで20局、21MHzで5局QSO。Runningしてもポツポツと呼んでもらえました。ベランダの内側に張ったアンテナの割には飛んでくれましたので、コンディションが良かったのではないかと思います。尚、当局はログを取りまとめている立場上、正式エントリーはできませんので、チェックログとしてログを提出します。
年に一度のQRPクラブのコンテストを機に、こうやって古いリグを引っ張り出し、目覚めさせてやるのもいいことだなと思いました。皆さんも、昔組み立てたリグをどこかにしまいこんでいるのではないかと思います。そういうリグに再び息を吹き込み、雑音やQSBに翻弄されながらQRPの仲間とQSOするのはまた格別です。来年の自作機部門に是非ともご参加ください。
編集部より
大久保さん、報告およびコンテスト結果のとりまとめありがとうございます。このコンテストもQRPだけのコンテストとしてしっかり定着してきたように思います。ふだんはQROの局が出力を落として参加してくれたことも多いようで、QRPの飛びや魅力を発見してくれることにもつながったのではないかと思います。
自作機部門では弱い混信にも負けない「自作技術」と「運用技術」の両方に優れたQRP名人の競うコンテストとなりました。作るだけではなく実際に自作機での交信を楽しむきっかけになったとしたら幸いです。(JA8IRQ)
【報告】2015年QRPコンテスト自作局紹介
JA8IRQ 福島 誠
今回のQRPコンテストは多くの参加局があり、盛況でした。
たくさん届いたログの中から、自作機で参加された会員を紹介いたします。以下、◆は編集部コメントです。
◆最初は、コンテストをきっかけに入会してくださったJA0IXX/7赤羽さん、リグ・アンテナ・周辺装置オール自作だそうです。
(1) #1111 JA0IXX/7 赤羽さん
今回初めてQRPコンテストに参加しましたのでレポートします。
1. 自己紹介
昭和45年開局、ホームQTHは長野県松本市、JARL会員、1アマ、QRPクラブに最近、入会(#1111)。
2011年から仕事で来ている青森県八戸市の単身アパートにはQRPPリグのみ持って来ました。
・持参しているリグは、7MHzは50MHzを親機とする0.4Wリニアトランスバータ、50MHzSSB/CWは0.2Wミニトラと1Wトランシーバ(40mWに切換え可)の計二台、どれもかつて自作したものです。他にR4C改(検波とAGCと電源を変更)が有ります。
・HFアンテナはVCH型(これがなかなかFBで、0.2WでもW7,W0とQSO済み)。6mは垂直の半波長電圧給電DPと1λループアンテナ。すべてゲリラ的に5分以内にベランダに設置でき、同じく5分以内に撤収が可能で周囲から見て目立ちにくいのが特徴ですHi。(ところで、電離層伝搬になると垂直DPは良く飛びますね。6mのEスポではHL,BY,BV,JD1とここ八戸から0.2~1WでQSOしています。)
【図1】VCHアンテナコイル部
・写真を見て頂ければ判りますが、狭いアパートなのでオペレーションデスクも工夫しています。茶箪笥の引き出し最上階に嵌め込んで、半固定するテーブル天板を合板と角材で製作しました。気が向いた時だけのテンポラリー運用にはこれで十分です。
【図2】11月3日オペレーション風景
【図3】運用設備クローズアップ
・入居して初めてHFをワッチした時は驚きました。7メガは常にS9+(平均40dBμレベル)のノイズなのです。しかし、アパートから15mほどアンテナを離せば受信ノイズはかなり鎮まることも判明。そこで隣の林に20mのワイヤを張り、同軸で引きこんでいましたが、景観上難点が有り長期の使用はNG。暫く運用は見合わせていました。
しかし我慢にもやはり限度が有ります。やる気を出し、先ず短波ラジオを手にあちこちチェックしてみると、どうもアパート自体のそこかしこから出るインバータノイズが原因と判明。すぐに管理会社(大東建託)に問い合わせましたが、私を変人扱いしてまともに取り合ってくれません。無用なフリクションも嫌なので、何とか自助努力で改善しようと試みました。
暇を見ていくつかやってみた中で、最も効果が有ったのは昨年トライしたノイズキャンセラーでした。ネットで知ったMFJ製品の回路図を基に工夫して自作、ノイズアンテナも試行錯誤の結果うまい方法を探り当てました(→並列共振バーアンテナ+室内静電プローブ方式)。リダクション効果は優に15dB以上あり、これでようやくQRP局相手の運用が可能となりました。今回参加した最大の動機は、このノイズ環境改善ができたこと。
【図4】7MHzトランスバータ内部
【図5】ノイズキャンセラー
7MHzシングルバンド、いつものように3dBATTを入れて出力0.2Wで運用しました。3時間弱の運用でしたが結果24局(16マルチ)とQSO、80年代に没頭したEMEの様に信号がノイズに浮き沈みする様は真にスリリングでハッピーでした。私の弱い信号を拾ってくれた局に感謝いたします。
2. 写真について
写真にあるSWRメータ、エレキー、パッシブ型CWオーディオフィルタなども自作です。このフィルタは43mHつぼ型インダクタ(50KHzでの実測無負荷Qは120!)を使ってバターワース構成としたもので、帯域は100Hzほどです。リンギングも少なく、SSB受信機や特にDC受信機などを使う際には、私にとって無くてはならないものとなっています。
3. その他
ホームシャックでの7MHzQRPP運用は掌サイズの自作CWミニトラ(送信部:2N2369シングル160mW、受信部:可変X‘talフィルタ+LM373のDC)と1977年に作ったRX(7360ミクサ)の組み合わせで時々出ています。聞こえましたら宜しくお願いします。
【図6】
松本のホームシャック風景
72‘s de JA0IXX
(2) #932 JA4RWN 北村さん
◆自作マルチバンド電信送信機 受信機はFT-817NDで1.9、3.5、7、14のCWに参加。
今年も電信自作機200mWで参加しました。写真添付します。
14MHzから上のバンドが静かでした。1.9MHzも呼べども届かずでした。交信していただいた各局、ありがとうございました。
【図7】あゆもどき電信自作送信機200mW
【図8】あゆもどきのブロック図
(3) #1087 7L1WRK 小島さん
◆自作SSB機(200mW)+自作リニアアンプ(5W)+デルタループで50MHzのSSBに参加。
先日のQRPコンテストに使用した自作機のブロックダイヤグラムです。
【図9】2号機ブロックダイアグラム(クリックすると拡大します)
名前の通り2番目の自作機になります。
コンパクトに作ろうとして受信の混合と送信の変調器、受信の復調回路と送信の混合、送受信のIF部でそれぞれ部品を共用しています。
片手に乗せられるサイズにはなったものの電池をケース内に納めることができなかったのであらためてピコシリーズの完成度の高さ、設計の巧みさを感じました。
以下はリグとリニアアンプ、CQマシンの写真です。
マイクから送信すると回り込みが発生してしまって苦労しました。
時折入間基地の航空祭で飛んでいる飛行機を遠くから眺めつつ運用しました。
【図10】7L1WRK/1 小島さん2号機
【図11】7L1WRK/1 小島さん2号機のリニアアンプ
【図12】7L1WRK/1 小島さんのCQマシーン
7L1WRK/1 小島
(4) #971 JA8CXX 高野さん
◆自作トランシーバー(TX:2SC1971シングル、RX:シングルスーパー)、逆V 12mHで7MHzCWに参加。
昨年と同じRIGですが、終段の石を変更して1Wから5Wに変更しました。
【図13】JA8CXX 高野さんのCWトランシーバ
(5) #1045 JK1LSE 本田さん
◆2N7000 3パラプシュプル E級アンプ自作トランシーバーで7MHzCWに参加。
初めての参加です。すごく楽しめました。
【図14】JK1LSE 本田さんのCWトランシーバ内部1
【図15】JK1LSE 本田さんのCWトランシーバ内部2
【図16】JK1LSE 本田さんのCWトランシーバのパネル面
(6) #1085 JG1UTR 佐藤さん
◆RIG:7MHzCW(2SC2053×1、0.3W), ANT:室内短縮DP(5mh)で、7MHzに参加。
交信していただいた各局ありがとうございました。
当局は屋外に28メガの垂直ダイポールしかなかったのでコンテスト開始から数時間28メガにいましたが、東南アジアの不法無線?しか聴こえませんでした・・・
急遽7メガに変更。室内に短縮ダイポールアンテナを仮設しました。
7メガ(CW)はたくさんの参加局でした! 0.3W機と室内アンテナの弱々信号ですが、ノイズすれすれで無理かなぁと思った局とも結構交信できて、楽しい一日でした。(#1085 JG1UTR 佐藤)
【図17】JG1UTR 佐藤さんのCWトランシーバ
(7) #383 JK1TCV 栗原さん
◆1.9、3.5、7、14MHzにK2と八木アンテナで参加
#383 JK1TCV 栗原です。
参加の感想をお送りいたします。
久しぶりにコンテストに参加しました。
K2は自分で組み立てたので自作機として、1.9、3.5、7、14メガでエントリーしました。
14メガはあまり聞こえず、8エリアと6エリアのみ。
やはり大票田の7メガと3.5メガでたくさんQSOできました。
1.9メガは最後の30分だけでしたが、1週間前に上げたロングワイヤーアンテナに上手く電波がのったようで、CQを出すと何局かに呼ばれてちょっとびっくりしました。
1.9でQRPでも交信できることは発見でした。
運用時の写真を添付します。
また来年、時間が取れれば参加したいと思います。
【図18】JK1TCV 栗原さんのK2
(8) #650 JN3DMJ 松本さん
◆1.9、3.5、7、14MHzの4バンドのCWで、それぞれ各バンドの自作機で運用、アンテナはダイポール、2エレミニマルチ、EHアンテナ。
集計ありがとうございます。当局は常時 QRP 運用ですが、このコンテストでは交信相手が全てQRPなので興味深く楽しめました。
1.9MHzは、送信機は自作機「CW-TX-160」(5W)、受信機は FT-817ND で運用しました。
3.5MHzは、送信機は自作機「CW-TX-80」(5W)、受信機は FT-817ND で運用しました。
7MHzは「SST40」(2W、改造あり)で、14MHzは「SW-20+」(2W、改造あり)で運用しました。
QSO頂いた局ありがとうございました。
【図19】JN3DMJ 松本さんの自作機「CW-TX-80」(5W)
【図20】JN3DMJ 松本さんの自作機「CW-TX-160」(5W)
【図21】JN3DMJ 松本さんの「SST40」(2W、改造あり)
【図22】JN3DMJ 松本さんの「SW-20+」(2W、改造あり)
(9) #986 JA1VXQ 塚原さん
◆自作機で7メガCWに参加。アンテナは5mHのロングワイヤ。
初めて参加しました。QRP局同士の交信は楽しかったです。交信していただいた各局、ありがとうございました。
【図23】JA1VXQ 塚原さんの自作7MHz5W機
◆このトランシーバはハムフェア2015に出品していただいたので、ごらんになった会員も多いとおもいます。
以下はそのときの資料です。
7MHz CW QRP TRX [Si5351A使用]
【製作の経緯】
・シリコン・ラボラトリーズ社製のクロック発生IC (Si5351A) を使用した7MHz_CW_QRP_トランシーバーです。
このICには同時に出力できるクロックが3つありますので、うまくいけばいろいろな用途に使えるのではないかと実験を始めたのがきっかけです。
製作当初は、あくまで新ICの実験用と考えていましたので、部品レイアウトについてはあまり考えず、ユニバーサル基板上にゆったりと組み込んであります。
送受信回路の主要部品は海外製のQRP無線機等でよく見かけるものを使用。
出来上がってみた結果、 『結構使えそう』 となりましたので、実際に運用できるよう適当なプラケースに収納してみました。
【図24】JA1VXQ 塚原さんの自作7MHz5W機【特徴】
・使用したIC(Si5351A)にはクロック出力が3つ、各々を以下のように使用しています。
1:TX_VFO用に7MHz帯周波数
2:RX_VFO用に7MHz帯+IFの周波数
3:RX_BFO用にIF-600Hzの周波数
この構成より、受信回路にはRITに加えてIF_Shift機能も付加しています。・チップ部品とアキシャル部品の両方を使用最近の部品入手状況は、従来からのリード線タイプのものに加え、チップタイプのものも入手しやすくなっております。
ただ、チップタイプの部品ですと専用のプリント基板上に組み立てるというケースが多いのかと思いますが、簡単に実験できるように汎用のユニバーサル基板を使用しております。・オールインワン・タイプ
『移動運用のときに忘れ物を出来るだけ減らす』という目的で、無線機本体に加え、エレキー/SWR計/
バッテリーをひとつのケースに組み込んであります。
これにより、移動先での機器セットアップ作業が少なくてすみます。
基板の配置については、サイズは大きくなりますが、回路の追加変更がやりやすいように平面配置とし、残ったスペースに他のものを適当に並べてあります。【仕様】
周波数範囲: 7MHz帯(10/100/1000Hz step)
送信パワー: 5W 外部DC12V/660mA
2.5W 内蔵DC8.4Vバッテリー/470mA
受信感度: -110dBm
受信時消費電流: 45mA (無音時)【その他】
ご覧になっての通り、基板むきだしのバラック配線ですので、突っ込みどころが満載かと思います。
このようなものでも、『実使用に耐える』ということを目指して作りましたので、現状何とか使える状態にはなっているのではないかと思います。
尚、この無線機によるQRP運用実績は、2015年6月からの約2ヶ月間で258交信となっております。参考文献(References): Si5351 Specification / AN619 (Silicon Labs)
MTR/PFR-3A Schemtic diagrams (KD1JV)
2015/08/02 JA1VXQ
ハムフェア2015展示用
・運用形態
【図25】JA1VXQ 塚原さんの運用の様子2015/08/02 JA1VXQ 塚原
助手席にリグ一式を置き、フタをあけて運用開始。
CQを出しながら基板を見て、機能の改善について考えていることも・・・。アンテナは2.3m長の自作ホイップを使った手軽な運用が基本。
周囲が開けているところでは6mHのInv-Vダイポールを使用することがあります。・ブロックダイアグラム
【図26】JA1VXQ 塚原さんの自作7MHz5W機ブロック図
(10) #988 JG1SMD 石川さん
◆6m自作DSB機(2SC2053x1)+自作リニアアンプ(ファイナルRD06HVF1x1)、アンテナは2エレデルタループ(地上高4mH)
今回のQRPコンテストは飛び石連休でしたが、強行軍で伊豆大島に渡り三原山の中腹より、6m自作DSB機と自作リニアアンプで運用しました。出力は0.5Wで、アンテナは2エレデルタループです。
幸い晴天に恵まれ、自作機での交信は11局、うちコンテストでは4局でした。
FT817も持っていきましたが、817で聞こえる局は自作機(ダイレクトコンバージョン)でも聞こえ、よいテストができました。
ただ、コンテスト周波数(50.300&Up)で出ている方がほとんどなく、少しさみしかったです。50.300MHz以下は移動局も多く、AGCのないDC受信機では混信をしのぐのが大変でした。QRPはやっぱりアンテナ整備が重要ですね。交信下さった皆様、ありがとうございました。
【図27】JG1SMD 石川さん、伊豆大島運用風景
【図28】JG1SMD 石川さんの自作50MHzDSB機内部
【図29】JG1SMD 石川さんの自作50MHzリニアアンプ内部
【2015年QRPコンテスト自作局紹介の終了】
【レポート】QRPなDXの世界
#377 JA1KGW/JA2OP 青山 憲太郎
(Kentaro Aoyama)
EA3EGV/QRPper、Mikeさんの700mWとのQSOの紹介(No.6)
EA3EGV/QRPper、Mikeさんとは、これまでの2AY QRP QSOは14および21MHzの2バンドで5回のQSOをしていますが、この内1ST QSOは2000年10月7日、06:02JST、14.06MHzにおける2WAY QRP QSOでした。
EA3EGV/QRPper、Mikeさんのリグは、SST 20、700mWと屋内ダイポール・アンテナとの組み合わせでした。
その後の21MHzバンドでのQSOは、1Wと屋内ダイポールのとの組み合わせのQSOでした。
QSLカードには、屋内で運用するマグネテイック・ループ・アンテナが見えますが、EA3EGV/QRPper、Mikeさんは屋内に設置したのダイポール・アンテナを好んで使用していたみたいです。
QRPのアクティビティが高く、QSLカードの裏面にも記載がありますように、EAQRP#1, GQRP#3540、NORCAL#620およびIQRP#115の会員登録番号を持ち活動をしていました。
【図1】EA3EGV/QRPper、Mikeさんのカード(データ面)
【図2】EA3EGV/QRPper、Mikeさんのカード(文章面)
編集部より
青山さん、いつも原稿ありがとうございます。1Wと屋内ダイポールからのDXというのもすごいですね。青山さんの耳の良さがすごいのかもしれませんが、アパートだから、QRPからと言い訳をしていてはいけませんね。
ところで、コールサインで検索したところ、EA3EGVミゲル・モンティーヤさんは、すでにSKとなっているようです。彼の名前を記念したトランシーバキット EGV-40 CW QRP Transceiverが70ユーロで販売されています。pdfのマニュアルはこちらです。改めてスペインのQRP界の大物だったことがわかりました。(JA8IRQ)
【小ネタ】アルミ板に間違えてあけた穴の補修方法
#58 JG3ADQ 永井 正範
1. 半田で埋める
3mm程度の穴であれば容量の大きい半田ごてで半田を流し込み、やすりで表面を仕上げると色がアルミと似ているため隠すことが出来ます。
ただし半田は穴に埋まっているだけなので、強い力がかかれば外れてしまうため注意してください。
→ | → | → | → |
図1~図5 補修方法図解
2. 金属用パテを使う
セメダイン社から出ているエポキシパテ(金属用)を使えば5mm程度の穴でも埋めることが出来ます。
色もグレーなのでアルミに似ており、乾けば塗装も可能なので試してみてください。
編集部より
永井さん、
いつも小ネタありがとうございます。私もケース加工ではきちんとケガキをせず、適当に現物あわせで穴をあけるため余計な穴が開いてしまっていることが多いです。次回この技を使わせていただきます。(JA8IRQ)
【報告】300kW 短波送信所見学会
KDDI八俣送信所を見学しました。
#315 JE1UCI 冨川 寿夫
QRPクラブですが、超QROである300kWのKDDI八俣送信所を見学しました。ここは短波の送信所で、6MHzから17MHzを世界に向けてラジオジャパンの放送をしています。案内は、ここに勤めている私JE1UCI/冨川が行いました。
昭和15年竣工の歴史ある局舎、巨大な鉄塔に張られたカーテンアンテナ、巨大真空管を使った送信機等々で、普段は見慣れない雰囲気を味わられたようです。
【写真1】八俣送信所を見学したQRPクラブメンバー
編集部より
冨川さん、超QRO送信所見学の案内をありがとうございました。これは私も見に行きたかったです。なお、この見学会は会員のみに案内して行いました。(JA8IRQ)
【告知】QRPキットJP60頒布受付終了
JA Pepper60 60台 予約終了。
#696 JE1ECF 斎藤 毅
クラブ60周年を記念して、頒布予約を開始した21MHzDSBトランシーバー「JA Pepper60」ですが、11月初旬に限定60台すべてが予約済となりました。ありがとうございました。
【参考】「JA Pepper60」組み立て見本
予約者は以下の通りです。
(1)パーツキット・ケースなし 18名
#450 JF4IWD 大庭さん | #775 JJ2PEI 近藤さん | #992 JR8LJS 豊川さん |
#491 JA1TAZ 西村さん | #804 JG7BBO 對馬さん | #1030 JF1DKB 高野さん |
#513 JL1KRA 中島さん | #892 JM1IDR 佐藤さん | #1073 JA0FKM/1上田さん |
#523 JA8JDQ 三部さん | #922 JA9VPW 池田さん | #1075 7L3TFX 松川さん |
#564 JA2NBC 露木さん | #971 JA8CXX 高野さん | #1083 JA0UFZ 戸井さん |
#710 JH7SQA 村越さん | #991 JF1XVD 梅津さん | #1095 JA3KQN 岡田さん |
(2)パーツキット・ケース付 36名
#312 JH2FQS/1 池ヶ谷さん | #625 JH7OZQ/1 荒井さん | #820 JA8AVC 高橋さん |
#315 JE1UCI 冨川さん | #650 JN3DMJ 松本さん | #837 JR1KDA 岩崎さん |
#343 JH3VAA 野村さん | #683 JH2CIP 長瀬さん | #958 JG1CCL 内田さん |
#412 JF3AHI 新井さん | #696 JE1ECF 斎藤 | #960 JP1MKR 橋本さん |
#430 JE1JDD 館さん | #699 7L3DNX 竹野さん | #961 JA5PSJ/9 小谷さん |
#432 7N2GTR 山岸さん | #704 JR1CHU 金重さん | #988 JG1SMD 石川さん |
#495 JA2JWO 石垣さん | #725 JR1QJO 矢部さん | #1009 JJ2DAL 原田さん |
#502 JR4IYF 武田さん | #727 JH7VNR 大木戸さん | #1015 JH7CSU 木村さん |
#508 JG1RVN 加藤さん | #742 JR3DKA 大原さん | #1044 JH1OSB 小濱さん |
#549 JA1CIN 三木さん | #767 JA9RRH 中社さん | #1071 JA1VUC 星野さん |
#591 JL7XHT 滝沢さん | #781 JG1BAG 小林さん | #1078 JA1XFA 田島さん |
#600 JK1EXO 上保さん | #818 JQ1QHO 成井さん | #1099 JR7SOX 菊池さん |
(3)調整済基板・ケース付 6名
#377 JA1KGW 青山さん | #636 JA6AUW 三藤さん | #975 JR3FGJ 細谷さん |
#598 JJ3BTB 緒方さん | #726 JF1XOG 相京さん | #1041JA4FBL 山崎さん |
現在、予約された皆様からお預かりした前金で基板発注とモノバンドコイルCY25【半国産品?材料は中国、製作は日本でバイファイラ巻きを理解した職人さんとのこと。】の購入をいたしました。今後は、受動部品、コンデンサー等の未購入品の購入を継続します。
11月7日の秋葉原懇親会において、ケースの部品配置の再検討も行われました。
また、ジャンク品ですが同形のラジケータが台数分入手できたことでSメータのケース穴あけ加工を行います。当初ケースは穴あけ加工のみとしていましたがケース担当者のこだわりで操作面等にシルク印刷が施される予定です。
JP60基板は以下のようにできあがりました。(写真1,2,3,4,5)
当基板の特徴(CYTEC考案)
1、コイルの中心部に開口を設けることでコアが落ちた時に突き上げることが可能です。
2、ハトメを不要で直接基板にリードを半田付け可能です。
3、クラブ60周年を印刷。
【写真1】MAIN ロゴ
【写真2】MAIN 表
【写真3】MAIN 裏
【写真4】VXO 表
【写真5】VXO 裏
【告知】忘年会(新宿)情報
#678 JA8IRQ 福島 誠
もうすぐ師走、12月の秋葉QRP懇親会は恒例に従い、新宿にて忘年会を開催します。
こちらは完全予約制なので必ず参加表明をしてください。
また消費税の関係で会費に端数が付きますので釣りのないよう500円は必ずお持込ください。
「第199回 新宿QRP懇親会(忘年会)」
場所:新宿ライオン会館 5F 安具楽 (昨年と階は違います)
日時:12月5日(土) 18:00~20:00
会費:¥5,500- (飲み放題付き、和食コース)
人数:20名までの 個室
会名:JARL QRP クラブ
幹事:矢部 伊知郎 JR1QJO
会場への予約の関係で、自由参加はできません。
出席希望の方は、メールの場合、ja1@jaqrp.net(@は半角@に変えて)に返信をお願いいたします
申込期限:2012年11月29日まで
【編集後記】近況報告
#961 JA5PSJ/9 小谷 一孔
◆昔、学生時代に雑誌の記事を参考にトランシーバや受信機、送信機などを作ったものの動作させることができずそのまま箱に入れて忘れ去っていた基板たちを見つけました。当時はあまり動作原理を理解していなかった上、測定器といえばテスターのみだったため時間をかけてトラブルを試行錯誤して探したものの解決できませんでした。
◆今ではPICやAVRなどの便利で手軽なデバイスが利用可能となり周波数カウンタ、シグナルジェネレータ、GDPメータなどの測定器を自作できます。これらを使用してチェックすると問題は直ぐに発見でき、拍子抜けするほど簡単に動作するようになりました。しかしながら歳をとって体力が減り、仕事と家族に時間をとられると今度はケースを作成する余裕がありません。困ったものです。
◆クラブ60周年記念のキット頒布申し込みが締め切られ、程なく会員の皆様のお手に届くと思います。ケース付きのセットが選べることが何より助かります。自作のための測定器をお持ちでない方は少数かとは思いますが、よい機会ですのでこちらも自作してみてはいかがでしょうか。
【編集後記】近況報告
#678 JA8IRQ 福島 誠
◆11月号をお届けいたします。締め切り日に原稿が少なかったのでコンテストのレポートから自作局を抜き出して掲載することにしたら、とても興味深い記事になったと思います。11月20日にいったん公開してから、文章の手直しやリンクの追加をしたりして本当の発行が23日になってしまいました。遅くなったことをお詫び申し上げます。
◆なお、12月号以降の原稿も募集中です。製作や移動運用レポートなどお待ちしております。宛先は qrpnews@jaqrp.net です。(@は半角@にしてください)
◆引き続き編集スタッフを募集しています。やる作業としては会報の原稿の依頼をすること、そして集まった原稿をHTML化し、画像を整理してブログに登録していくことです。ブログはwordpressで作っており、それほど複雑な構造やタグは使っておりません。ご協力いただける方はqrpnews@jaqrp.netあてにメールをください。
スイッチボックスを作る
今月も無線とは関係のない自作の話。
特別支援校の先生をやっている知人からの依頼で100V電源をリモートスイッチで断続する装置を作りました。障害を持つ子が、不自由な体で電気製品を on/off できるようにしたいそうで、スイッチ部分は市販品があるとのこと。
秋月電子のソリッドステートリレーを使うことにして、電源コード、ACアウトレット、ヒューズなどを用意してケースに入れました。ちなみに、こういう用途のスイッチのコネクタとしては3.5ミリのイヤホン用プラグを使うそうです。
【図1】スイッチボックスをケースに入れた
リレーの電源には、もらいものの携帯電話のアダプタを使いました。アダプタの5V出力はリレーのほか緑のLEDを点灯させてパイロットランプにしています。100Vの出力時はネオンランプで表示することにしました。この手のスイッチは3.5ミリのイヤホン用プラグを使って接続するそうです。
【図2】スイッチボックスの中身
小さいケースに無理やり押し込んだので、内部写真は公開できません。ACアダプタのケースを壊して基板だけ使うかどうか悩んだのですが、ケースはそのままで100Vの線をプラグの刃の穴に3mmネジで止めることで解決しました。
【図3】ケータイ用ACアダプタジャンクを利用する
自宅で何日か使って問題がないようなので、依頼された先生に渡しました。学校では寝たきりの障害児が首を動かすと枕元のライトがつくようにセットされて役立っているそうです。ひさしぶりにアルミ板をヤスリでゴリゴリしました。(以上)