JARL QRPクラブ会報 2014年1月号 Vol.56-5 1月17日発行
No. | 2014年1月号 目次 | コールサイン | 筆者 |
---|---|---|---|
1 | 7MHz CW受信機の製作 | JA8CXX | 高野 順一 |
2 | 移動用簡易アンテナ3題 | JA3HKR | 吉田 清和 |
3 | CRK-10Aトランシーバキット頒布日記 | JL1KRA | 中島 潤一 |
4 | 1V動作 50MHz AM TRX | JF2NMY | 高木 正人 |
5 | 私のエレクラフト KX3 | JE1ECF | 斎藤 毅 |
6 | KX3の移動用カバン | JO1UBD | 丸山 裕二 |
7 | ピンヘッダのすゝめ | JO1UBD | 丸山裕二 |
8 | アワード発行状況 | JK1TCV | 栗原 和美 |
9 | 編集後記 | JA8IRQ | 福島 誠 |
7MHz CW受信機の製作
JA8CXX 高野 順一
去年の年末に受信機を製作しましたが、期待した性能が得られず諦めかけていました。
ところが、今年のQRPコンテストには自作機部門があると知り、中断していた受信機製作にもう一度取組んでみようという意欲が湧いてきました。構成は高周波増幅1段、中間周波増幅2段のシングルスーパーです。
高周波増幅、混合、中間周波増幅、検波の基板は以前作ったものを使い、今回新たにフロントエンドBPF、VXO、クリスタルフィルター、低周波増幅基板とダイヤル部分を製作、ケース加工、組込み、調整を行いました。
前回の失敗の原因はクリスタルフィルターにあったようです。
12.96MHzの水晶を3個使ったラダー・フィルターなのですが、帯域幅(-6db)を500Hzで設計するとコンデンサの容量が大きくなり、前後の同調コイルのコアを回しても、同調用並列コンデンサを取替えても同調がとれませんでした。挿入損失が大きくて感度が悪い受信機になってしまいました。
フィルターのコンデンサの値を小さくして帯域幅を広くすると同調がとれるようになり挿入損失が少なくなるのですが、7MHzのコンテスト用としては選択度が不十分です。
当初、水晶は必要な個数だけ購入しそのまま使っていましたが、諸OMの製作例を見ると必要数の2、3倍の個数を用意して選別した方が良いと分かり、水晶を追加購入しました。
簡易発振器を作り、合計15個の水晶の発振周波数を測定しました。周波数カウンターは持っていないので、メーカー製の受信機(ALINCO DX-R8)でCWU、CWLモードを切替えながら受信し、どちらのモードでも同じ音程で聞こえる周波数を記録しました。
12.95792 12.95796 12.95798 12.95803 12.95810 12.95815 12.95817 12.95818 12.95820 12.95830 12.95833 12.95834 12.95835 12.95835 12.95835 [MHz]
この中から周波数差50Hz以内に納まる水晶(12.95830 ~ 12.95835MHz)を選別し、水晶6個のフィルターを製作しました。
しかしどうもスカート特性が悪いようで、かん高い逆サイドの信号が漏れて聞こえるため非常に賑やかな受信機になってしまいました。
水晶の個数やコンデンサの組合わせを20パターン以上試しましたが、クリスタルフィルターらしからぬ結果しか出せませんでした。
またも諦めそうになって落ち込んでいましたが、ふと海外の自作機によく見られるという入・出力のコンデンサをGNDに接続しないで、入・出力に対して直列に接続する回路を思い出して試してみたところ、水晶4個でも逆サイドの信号がみごとに消えて大変静かで聞きやすくなりました。
それはもう、今までとは全く別の受信機に生まれ変わったようでした。今回使用した水晶は、後の回路のほうが相性が良かったのでしょうか。
この場合、帯域幅はどう計算するのか私には分からないのですが、聴いた感じではなかなかの選択度になっているようです。
そのほかでは、これまで受信するCWのトーンが歪んだ音で、何を試しても効果がなかったのですが、選別した水晶を使用したら、澄んだピュアーなトーンになりました。
また、夜間の強力な海外短波放送によるザワザワノイズを低減する為、フロントエンドにBPF(複同調回路)を入れました。
送信時のミューティング回路は2SC1815では音漏れがあり、ミューティング専用の2SC2878を採用しました。
LM386のパワーアンプにはヒスノイズ低減用のRCを取り付けました。
チューニングダイヤルにはキャリブレーションさんの7:1減速器を使用。
ケース前面パネルとダイヤル目盛板はフリーソフトのJw_cadで作図して、艶消しタイプのラミネート加工をしました。
高校生の時に真空管で0-V-1や3球スーパーを作って以来、四十数年ぶりに作った受信機。測定器を持たず、耳と感だけで調整したので、厳密に測定すればお粗末なデータが出るかもしれませんが、愛着の持てる1台に仕上がりました。
今回も多くのOMのホームページやブログ、書籍等を参考にさせていただきました。ありがとうございました。
電源電圧 DC 8V ~ 12V
消費電流 25mA(@12V、通常の音量時)
感度 ★★★★★
選択度 ★★★★☆
忠実度 ★★★★★
安定度 ★★★★★
(ブロックダイヤグラム)
(水晶選別)
(外観)
(内部)
移動用簡易アンテナ3題
#982 JA3HKR 吉田 清和
私はよく無線をしていない仲間から近郊の山歩きを誘われることがあります。こんな時でもリュックには通常の食料や雨具以外に、カメラと無線機は欠かせません。とはいえ一人で無線目的の山移動の時のようにFT-817やヘンテナ、2ELなどを持って行くのは大げさに思えます。
そこで、リグは行き先などの条件を考慮して、ミズホのMX-6S(ピコ6)、MX-2F(ピコ2)、西無線NTS-700、ヤエスVX-8Dなどのなかからどれかを選んでいます。
問題はアンテナですが、運用できる時間としてはせいぜいお茶の休憩時間やお昼のおにぎりをほおばっている時間の前後のわずかな時間です。つまりサッと出してサッと撤収できるものが必要です。
というわけで、ありきたりですがいつもこのようなときに愛用している簡易アンテナ3題を紹介させていただきます。
50MHz
1.5mのロッドアンテナを用いたV型ダイポールです(写真1)。
中央のバランの部分は樹脂のリングにロッドアンテナの受けネジとBNCコネクタを付けて、トロイダルコアのバランを組み込んだ後、エポキシ樹脂で充填したものです。先端のみ5cmくらい残して縮めたところで共振してくれます。
(写真1)
以前は写真2のように立ち木に縛り付けていましたが、最近では4.5mの釣り竿の下3mくらいを持って行くようにしています。写真3のように立ち木のない場所でもなんとかなります。木に縛る時の紐は靴紐が具合がいいです。残念ながらこのロッドアンテナは現在では入手できなくなってしまいました。
(写真2)
(写真3)
144MHz
日本橋で1本100円で売っていたロッドアンテナとタカチのケースにバランを入れたダイポールです(写真4)。ロッドアンテナは根本の部分に自在に曲がる機構が付いていたのでそれを活かすことも考えましたが、結局とりはずし、長さの足りない分六角のスペーサーをつなぎました。これでいっぱい伸ばしたところで共振してくれます。リグとの接続はベークのパイプの両端にBNCを接着し、中に同軸ケーブルを通したものを用いています。途中の白い部分には1/4インチのネジを切っていますので三脚に固定することもできます(写真5)。
通常はリグごと手で持って信号の強い位置をさぐっています。従って外部マイク必須です。
このアンテナでも山では驚くほど遠距離交信が楽しめています。
(写真4)
(写真5)
430MHz
以前FCZ研究所で販売されていたプリンテナです。現在はキャリブレーションで購入できます(写真6)。
先日の関ハムで、どこかのブースのOMさんに、エレメントをはずせて輪ゴムで固定できて、奥さん手作りのポーチにコンパクトに収納できるものを見せていただきました。これに触発されて帰り際にキャリブレーションのブースでプリンテナを購入してきました。
エレメントの付け外しですが、日本橋で見つけたばら売りの金メッキのコネクタピンがぴったりです。差し込む側はバナナチップの形状になっていてしっくりと固定できます(写真7)。
これでリュックの外にぶらさげてエレメントを曲げる心配がなくなりました(写真8)。ちなみにうちもポーチは作ってもらえる約束ができています。
(写真6)
(写真7)
(写真8)
こんな装備で山歩き、写真、無線を同時に楽しんでいます。1日にせいぜい数局しか交信できていませんが、聞こえていましたら各局是非コールください。その日に撮った写真でQSLカード(写真9)を作製し、発行するように努めています。
(写真9)
CRK-10Aトランシーバキット頒布日記
JL1KRA 中島潤一
【はじめに】
私がBD6CR/4 Rong Xinhuaさんと一緒に開設しているWebサイト(CRkits共同購入プロジェクト)では6月からCRK-10Aというトランシーバのキットを頒布しています。
CRK-10Aは7または10MHzの固定周波数のCW QRP機で、受信部は選択度の高いクリスタルフィルタの入ったダイレクトコンバージョン式です。調整はT-RX周波数オフセットの2カ所のみと6石ラジオキットよりはるかに簡単ながら、全国と交信できるポテンシャルのあるリグです。
DDSゼネカバDSPの時代に固定周波?と思われるかもしれませんが、使ってみると思いのほか面白いです。QRPerの思い入れのある7003など、一つの周波数でじっと待つのはワカサギ釣り、いや、ヘラブナ釣りとでもいいましょうが、混信もありますがQSOに成功すれば一期一会の達成感があります。
製作の詳しくはCQ誌2013年9月号にJG1RVN加藤さんがレポートされました。今回は、ガレージキット開発と頒布に伴うウラ話を紹介します。
CRK-10Aトランシーバ(左)と先代のCRK-10。ケースは薄くなり、コンパクトなスタイルは継承されている。
【キット開発】
キットの企画はリリースの半年前くらいから始まりました。頒布対象は全世界のハム向けですがJAのハムは多数、CW愛好家は厳しい目と耳を持っていますので参加した私も真剣勝負です。CRK-10Aの場合、前作CRK-10で出た問題を改善する必要がありました。基板の品質、表面実装部品はすべてリード線の部品に変えています。部品も信頼性の低いセカンドソース品は使っていません。RIT回路をキャンセルする改造はJAから提案したものです。
発売の少し前にケース無しの基板が完成し送られてきましたので、速攻で作って不具合がないか確認します。頒布者自身もキット好きなのでβテストに参加できるのは喜びです。簡単な割に実用になるトランシーバに仕上がっているのは、高ゲインのミキサNE602と低雑音OPアンプNE5532の組み合わせによるものです(図参照)。
RockMiteのコピー版と思われた方も使用されればオリジナルを越える完成度に驚かれます。ファイナルの2SC1162は3W くらいでます。CPUとなるPICは縦振り電鍵の自動判別、エレキー、コールサインメモリ、/QRP付加と必要にして最低限の機能が実装されています。スムースなQSK(送受切替)でも実用度を上げる要です。
今回のキットは表面実装部品が無くなり全てリード部品に戻りました。無線機らしくトロイダルコアを巻く楽しみは残しました。ステップバイステップのマニュアルで電子回路を理解するキットとしての完成度も向上しました。半日で完成し、ケースに入れてお持ち帰りできますので、各地のクラブの自作会でも採用されるようになりました。
小さな基板の中に機能が満載され、判りやすく構成されている。
基板の実装も簡単だが、全国とも交信できる立派なトランシーバ
【リリース後の嵐】
当初のリリースは旧正月明けの2月、実際にリリースできたのは5月でした。頒布開始する日が決まると、大量頒布の計画です。以前のCRK-10は売り切れてしまい、後から手に入らないかと言う方が多数いらっしゃいました。CRK-10Aも同じくらいニーズがあると考え準備しました。表面実装部品よりリード線部品は高いのでキットの単価が高くなり、併せて円安が急速に進んだ時期でした。以前のような5000円ではどうしても頒布出来ず6000円になりました。自作普及を考えれば価格アップはしたくないのですが、考えればローズキットのミズホQP-7は3000円ですから、受信部とケースがついて倍の6000円は受け入れられました。Rongさんと価格交渉し、若干の差額分はDCジャックやケーブル、コイルの被覆を剥く耐水ペーパー、クリスタル用のソケットなど製作者に役立ちそうなサポートパーツを揃えて発送します。
最初のロットが届きWebでアナウンスしますと、早速ご覧になった方から頒布希望のメールが来ます。最初の方々は自作愛好家でハイレベルです。新しいトランシーバを早く手に入れてみたい、早く完成して吟味したいという方ですから技術もあり、たいていの問題は自分で解決されてしまいます。ここで頒布する側も気づかないようなケアミスを指摘されることもあります。
最初のブームが一段落すると、一定の評価を頂き、口コミで徐々に頒布希望メールが増えてきます。そして雑誌に掲載されるとWebへのアクセスは倍くらいになってキットの希望メールが大量に来ます。嬉しい悲鳴です。
中国からはこのような梱包でキットが届きます
開けるとキットが詰まっています。
雑誌を見て申し込まれる方は初心者の方も多数いらっしゃいますから、手厚いサポートをしています。数は少ないものの部品不良、製作中の部品破損などのサポート依頼です。壊れそうな部品はサポートパーツとして事前に用意してあるものの、時には自分のパーツケースを探して送ります。動かないという方には症状を詳しく書いていただき、ヒントになりそうなトラブル原因をメールします。これら対応は待ったなしです。通勤途中や深夜帰宅してからのメールなのですが、それでも「初めて作ったトランシーバが動いた」、「交信できた」、「毎日使っている」というメールを頂くと飛び上るほど嬉しくなります。トラブルシュートをWebに追加してゆくと各局は参考に自力解決できるようになるようです。
最近のQRPキットの状況は、米国系のクラブキットも一時期より減っています。日本製のキットも減り、ましてや地方の方は部品調達もままならないというお嘆きのメールを頂きます。しかしアマチュア無線が既製品の無線機だけでは面白くありません。これからも簡単で楽しいキットの頒布を続けられればと思います。作られた方はElecraftなどのハイレベルな海外製キットへ続くステップになると思います。
(補足)
編集担当 JO1UBD 丸山 裕二
本号掲載のJL1KRA中島OM主宰のCRkits共同購入プロジェクトの機器が、秋葉原のラジオセンター1階の山本無線レンタルBOXに展示されていました。
ちょうど年末に通りかかった時は出品準備中で、そのあと年が明けてから通りがかった時には、綺麗に展示されていました。
(山本荘 328号室)
1V動作 50MHz AM TRX
#356 JF2NMY 高木正人
製作の動機
以前1V動作の50MHz CW TRXを製作し、交信にも成功しています。
今回は、1Vという低電圧でも満足な振幅変調が可能かどうか試してみるのが主目的です。
製作の実際
(1)FETを使う。バイポーラトランジスタは、PN接合の準方向電圧が0.7V程度であるので、低電圧動作には不利である。
(2)0バイアスで働く素子を使う。
(3)トランスには巻線の直流抵抗の低いものを使う。
(4)発振回路の同調容量は標準値より小さくする。発振用FETの電極間容量が大きくなる。
(5)AGCをかけるのはむずかしいので、強信号にはアッテネータで対処する。
成績
送信出力300uW、受信感度は良好。
(1V動作 50MHz AM TRX 回路図)
私のエレクラフト KX3
#696 JE1ECF斎藤 毅
6月の悲劇から三ヶ月が経ち、9月中旬にEDCから戻ってきました。修理依頼した時の状態を考えるとまさか使用できる状態に仕上がるとは思っていませんでした。JA8CCL 木下さんには感謝いたします。本来の性能まで復帰できなかった旨のコメントがありましたが、これから活用していきたいと思います。木下さんがこの修理でご苦労された内容等の記述はQRPクラブ会員用のML[Online:00482](注)をご覧ください。
さて、これから移動運用で活用しますが、その前にKX3を自分色に染めてみましたので今回はその紹介いたします。
(1)BNCキャップの取付
FT-817を使用していたとき、気付かないうちにBNCコネクタ部分をぶつけてしまい、コネクタが変形してしまいました。以来、移動運用で使用するリグにはキャップを取り付けています。今回のKX3では固定の際、本体ネジが短かったので長めのUSA#4ネジに交換しています。
(BNCキャップ)
(2)外付けバッテリーケース(スタンド兼用)
KX3には単3タイプの電池8本が内蔵できますが6月の事故の教訓とNi-MHを使用したとき電池が太いため、上蓋が浮いてしまうことから電源は外部から供給することにしました。
かつて、千葉ハムの集いで見つけた測定器か何かのジャンク電池BOXを利用しています。電池はNi-MH 10本または、リチウムイオン12V 1,300mAを格納できます。単3×10本用ケースはデジットで取り扱っています。このケースに秋月のSW付DCジャックをつけています。(本体のON/OFFに関係なく常時通電されている回路があるようなので電池の消耗防止を兼ねています。)
リチウムイオンは種類が色々ありますがケースに収まる監視カメラ用の高容量中華製電池を選択しました。
(KX3とバッテリーケース)
(KX3とバッテリーケース)
(ジャンク電池BOX)
(電池BOXを搭載した様子)
(リチウムイオン電池全景)
(リチウムイオン電池入出力部)
(リチウムイオン電池を搭載した様子)
③放熱処理
当初、放熱器の取り付けを考えていましたがJK1TCV 栗原さんの真似をして、秋月電子で取り扱っている放熱フィルム(クールスタッフ)を使用しました。
(秋月電子の放熱フィルム)
(KX3へ放熱フィルムの貼付け)
④名称プレート
専用パドルを使用しないことから、取付ビス穴と露出したコネクタを隠すためにアクリル板の名称プレート(7cm×2cm、東急ハンズで500円程度)を作りました。KX3のS/Nとコールサイン等を表示しました。
(名称プレート)
(KX3へ名称プレートの貼付け)
⑤キャリングケース
電気工事で仮設配電盤等に使用するプラケースに持ち手とゴム足をつけました。外付けバッテリーケースも収納することから以前作製したものより2廻り大きなものになってしまいました。
(キャリングケース全景)
(KX3をキャリングケースへ収納)
【編集部注】 Online MLは会員限定メーリングリストのため、会員外には非公開です。
以上
KX3の移動用カバン
#993 JO1UBD 丸山 裕二
クラブのメーリングリストにKX3に関する話題もだいぶ出始めていますので、移動運用時に使っているカバンを紹介したいと思います。
無線機が米国製ですので、ケースも米国のゼロハリバートンのアルミケースを選びました。相当むかしの大沢商会が取り扱っていた時期のモデルで、今は絶版品。KX3がちょうど入る大きさです。
カメラケースでは有りませんので内装スポンジは無く、緩衝材としては、秋葉原のヒロセ店頭に並んでいるウレタンスポンジを選びました。ちょうどサイコロ状にミシン目が入っていますので、工具不要で簡単に型抜きが可能でした。
(外観)
(収納状態)
ピンヘッダのすゝめ
BD 丸山 裕二
自作品を製作する際に、皆さんそれぞれの慣れた手段で製作してゆくと思います。万能蛇の目基板/ユニバーサル基板、ラグ板、ブレッドボードなど。ネットを検索すると、ランド方式、押しピン方式なども紹介されています。どれが自分に一番合うのかが大切だと思います。僕は元祖FCZ研究所謹製の、今はキャリブレーションさんから発売されている『トランジスタ基板(小)』を多用しています。特に10mmコイルがそのまま取り付けられるサンハヤト製ICB-014Sが販売終了してからは、コイル使用の工作ではもうトランジスタ基板から離れられません。サトー電気さんからも同等品が発売されているようですが、こちらはまだ試してません(年に2回程度の遠距離買い出しなため、ついつい忘れてしまいます)。また、最近は見た目がブレッドボードの秋月の『ユニバーサル基板(ブレッドボード配線パターンタイプ)』を使用するようになりました。こちらは、真ん中にICを取り付けて、贅沢に配線してゆく事が上手く使うコツかもしれません。
(ピンヘッダ、ユニバーサル基板、圧着ツール、コネクタへの押し込み用ラジペン)
(コマは一番下で導通部、二番目で配線材を圧着)
さて、その工作の際に便利なのがピンヘッダです。動作チェックの際や、仮設配線、測定取り出しなどとても便利です。また、一旦ケースに取り付けた後からの基板の手直しでは、配線が邪魔をして思うように修正が進まなかったり、火傷をしたり……。ちょっと拡張実験したいと思っても、半田付けされた配線だと気が進まなかったりしましたが、ピンヘッダを多用してからは、意外と進みます。特に入出力回路、電源、ボリュームなどは転用できますので、ブレッドボード(タイプのユニバーサル基板)でちょこっと作って、外線周りにコネクトすると試作が楽になります。特に最近発売された表面実装タイプのピンヘッダは、トランジスタ基板との相性は良いです。これに出会うまでは、ピンヘッダを90度折り曲げていました。
ピンヘッダを細かく裁断する際は、ニッパで切ると失敗する場合がありますので、面倒でもカッターで十分に切れ目を入れてから指で折ります。10年以上前にピンヘッダに出会った際は、ニッパで裁断して切断面が汚くなっていたので、最近まではピンヘッダを敬遠していました。もっと早くてカッターを使って丁寧に折る事に気付いていれば良かったと反省しています。
ピンヘッダに取り付けるコネクタの成端は、一旦コツを覚えれると意外と楽に製作が可能です。コツは、完全に押しつぶさないで優しく圧着する事です。完全に押しつぶすと、コネクタケースに入らないような歪な状態になってしまいます。このコツ習得までのコネクタ成端数は、100回弱で達せました。最近は1.5D2Vのケーブルも上手く成端できるようになり、半田付け補強も不要な腕前に達しました。
ただ気をつけなければならないのが、極性間違えです。配線色をきちんとルール付けしておいても、取り付け時にミスをします。電源投入直後に部品が飛ぶとか、いまだにやります。独特の匂いが数日間は部屋に漂います。
ちょっと配線を延長したいなどのコネクタどうしの接続は、千石さんで販売されている長めなピンヘッダを利用しています。コネクタへの配線材はシオヤ無線さんの陳列品を利用しています。コネクタは2Pがスマートですが、1Pが多いです。圧着ツールは、千石さんに陳列されている「白のNo.150」がちょうど良く、導通部分の圧着では「AWG22」で、リード線全体を圧着する際は「AWG20」のコマ位置で行っています。圧着時はくれぐれも『優しく、握り潰さずに、ほどほどに』です。
最後に、ケース実装時には、ピンヘッダとコネクタの分だけ基板の背丈が高くなりますので、ケースの選択時、またはスペーサ選択時には余裕をみておく必要があります。DSB機は別の機会に報告したいと思います。
(1Pと2Pコネクタ材と配線材)
(トランジスタ基板に取り付けた表面実装ピンヘッダの例)
(試作中のイメージ)
(測定中のイメージ)
(ポケロクもピンヘッダとコネクタで手直しが楽ちん)
(TRX-501もピンヘッダとコネクタ)
(TRX-501もピンヘッダとコネクタ)
(QRPコンテスト参加用に15mDSB TRXを試作中……時間切れで間に合わず)
アワード発行状況
JK1TCV 栗原 和美
以下のとおり、アワードを発行いたしました。
QRPアワード Q賞
No9 JH1KMC 尾内保之 発行日2013年12月6日
1000km/Total Power賞
No43 JR8DAG 菅野正人 発行日2013年12月6日
【お知らせ】
担当者の都合でアワード発行の受付は2014年2月末でいったん中止いたします。
再開が決まりましたらまたお知らせいたします。(JA8IRQ/福島)
編集後記
JO1UBD 丸山 裕二
★ 今年から編集を担当させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。2010年の復活アパマンで、工作レベルもビギナーですので、これからも失敗作を報告して行きたいと思います。ハムを始められたばかりの方々も、投稿をお待ちいたします。もちろん歴代OM諸氏からも投稿をお待ち致します。
JA8IRQ 福島 誠
★ 読者のみなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。前号からかなり間隔が開いてしまいましたが1月号(2013年度第5号)をお届けします。
★「FT-817 私の使い方」は今月はお休みで「KX-3 私の使い方」ということになりました。
★ 会報発行を正常化すべく、今号から丸山さんに編集担当をお願いしました。会員のみなさま、QRP関連の話題をどうぞお送りください。投稿の宛先はqrpnews@jaqrp.net です。(@を半角に変えてください)
★ なお、JF2NMY 高木OMの記事は郵便で届いたものですが郵送での投稿も歓迎します。送付先は紙の会報またはMLでごらんください。
★ さて、3月末までQRPクラブでは役員選挙の時期となりました。正会員のみなさんは会員向けMailNewsおよびこのホームページ内会員限定エリアに告知が出ますのでごらんになってください。