JARL QRPクラブ会報 2014年9月号 Vol.57-6


JARL QRPクラブ会報 2014年9月16日発行 Vol.57-6


No. 2014年9月号 目次 コールサイン 筆者
1 ハムフェア2014のお礼&報告 JE1ECF 斎藤 毅
2 ブースに立ち寄って頂いた皆さまからのメッセージ
3 海外のQRPer JA1KGW 青山憲太郎(Kentaro Aoyama)
4 DX短信 JA1KGW 青山憲太郎(Kentaro Aoyama)
5 「6L6 単球 水晶発振QRP送信機」
“Simple Tetrode Oscillator Transmitter”
VE3CGC 林 寛義(Hiro Hayashi)
6 旧ソ連製双三極管でGGアンプ JG1SMD 石川 英正
7 エレクラフト シグナルソースXG3(使用レポート) JO1UBD 丸山 裕二
8 QRPクラブからのお知らせ
9 編集後記 JO1UBD 丸山 裕二
JA8IRQ 福島 誠

【ハムフェア2014特集】

ハムフェア2014は、過去最大級の3万4千人の来場者で賑わいました。私たちJARL QRP クラブのブースでは会員の自作品展示を中心に、各種活動報告のポスター展示を通じて来場者へクラブの活動をPRしました。また、会長のJA8IRQ福島をはじめとするクラブ員がブースに待機して、訪問する会員やQRP愛好者との間でアイボールQSOや、情報交換などを行いました。
 9月号巻頭特集は、ハムフェア2014のダイジェストです。ハムフェアの熱気の余韻や、また、来ることができなかった会員の方々に様子を少しでもお伝えできればと思います。
(編集担当)

ハムフェア2014のお礼&報告

#696 JE1ECF 斎藤 毅

 2014年8月23日、24日に開催されたハムフェアではクラブブースに会員・非会員に関わらず、多くの方が立ち寄り、展示物を観覧いただきありがとうございました。
 また、前日の準備をお手伝いいただいたJG1SMD石川さん、JR1QJO矢部さん、JS1BVK山田さん、展示品を提供していただいたJS1BVK山田さん、JF2NMY高木さん、JA1BVA齊藤さん、JA4MRL北尾さん、JA5AEA堤さん、JH7OZQ/1荒井さん、JH1ARY黒田さん、JI1KZN松下さん、JA3JJE南さん、JA1IXI大和田さん、ご協力ありがとうございました。

 今回は、福島会長作成の名札配布の告知があり、多くの会員が朝早くからブースを訪れました。残念ながら23日は飛行機の関係で会長の到着がお昼ごろとなり、首を長くして待たれた方にはご迷惑をお掛けしました。(期間中79名の会員に配布することができました。)

 当ブースの目玉である自作展示品は以下のとおりでした。(11作品)

テーマ部門:交信実績のある無線機
JS1BVK山田さん
PSN送信機(FCZ#129)
JF2NMY高木さん
1V動作 50MHz AM TRX

JS1BVK

JF2NMY

JA1BVA齊藤さん
SS30 10MHz CW TRX
JA4MRL北尾さん
ROCK まいど 1合

JA1BVA

JA4MRL

JA5AEA堤さん
MOBOKITS
JH7OZQ/1荒井さん
6mDSB-DC 0.5Wトランシーバ

JA5AEA

JH7OZQ/1

JH1ARY黒田さん
FPGA 7MHz CWトランシーバ

JH1ARY


< <出品した方々からの解説>>

JS1BVK
【JS1BVK山田さん/PSN送信機(FCZ#129)】


JF2NMY
【JF2NMY高木さん/1V動作 50MHz AM TRX】
【注】このTRXについては会報2014年1月号 Vol.56-5に回路図などを掲載しています。


JA1BVA
【JA1BVA齊藤さん/SS30 10MHz CW TRX】


JA4MRL
【JA4MRL北尾さん/ROCK まいど 1合】


JA5AEA

JA5AEA
【JA5AEA堤さん/MOBOKITS】


JH7OZQ/1

【JH7OZQ/1荒井さん/6mDSB-DC 0.5Wトランシーバ】

【注】上記のQRコードは交信の様子の動画でyoutube上に公開されたものへのリンクです。パソコンではこのリンクからご覧ください。


JH1ARY


【JH1ARY黒田さん/FPGA 7MHz CWトランシーバ】


フリー部門
JI1KZN松下さん
17m CWトランシーバー ZERO8
JA3JJE南さん
自作Lメーター(アナログ式)

JI1KZN

JA3JJE

JA1IXI大和田さん
音声ではたらくストレートキー
(VOICE KEY)
JH7OZQ/1荒井さん
SP-MIC conBOX

JA1IXI

JH7OZQ/1

【注】荒井さんのft-817用SP-MIC conBOXは2013年3月号 Vol.55-11に詳細な記事があります。


< <出品した方々からの解説>>

JI1KZN

JI1KZN
【JI1KZN松下さん/17m CWトランシーバー ZERO8】

【注】本文で参照されている今井OMのブログのリンク先はこちらです。


JA3JJE

JA3JJE
【JA3JJE南さん/自作Lメーター(アナログ式)】


JA1IXI
【JA1IXI大和田さん/音声ではたらくストレートキー】


JH7OZQ/1

JH7OZQ/1
【JH7OZQ/1荒井さん/SP-MIC conBOX】


以上、自作展示品の作者よりの説明でした。


 初日には、観覧者が関心のあった作品に対して投票を行い、テーマ部門ではJF2NMY高木さんの「1V動作 50MHz AM TRX」、フリー部門ではJA1IXI大和田さんの「音声ではたらくストレートキー(VOICE KEY)」がそれぞれ1位となりました。おめでとうございます。副賞として7月20日にリニューアルオープンした秋葉原ラジオ会館ハンド・タオルを進呈いたしました。なお、大和田さんのVOICE KEYについてのモニターレポートを10月号会報に掲載予定です。

JARL QRP Club 2014
【JARL QRP Clubブース】

JARL QRP Club 2014
【JARL QRP Clubブース】

JARL QRP Club 2014
【集合写真(2014年8月23日)】

JARL QRP Club 2014
【集合写真(2014年8月24日)】

編集担当より

 会場へ展示しました自作品の解説書(PDFファイル版)は、後日ホームページのQRP資料館へ格納予定です。(JO1UBD)


ブースに立ち寄って頂いた皆さまからのメッセージ

 2014年8月22日分

Ham fair 2014


 2014年8月23日分

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014


 2014年8月24日分

Ham fair 2014

Ham fair 2014

Ham fair 2014

訪問ありがとうございました。


QRPなDXの世界

海外のQRPer

#377 JA1KGW 青山憲太郎(Kentaro Aoyama)

  ~DL9MFY/QRP、Bodoさんとの2WAY QRP QSO~

 今月(8月)のJARLからの配送のQSLカードの中に、世界的に有名な“RODE & SCHWARZ”のクラブ局と思われるDL9MFY/QRP、BodoさんからのQSLカードを入手しましたので紹介をします。
 QSOをしたのは、約2年前でまだまだ毎晩のように28MHzが大変に賑やかにオープンしている頃でした。2012年10月26日、07:22(UTC)に28.06MHzでQSOをしたものでした。
 DL9MFY/QRP、Bodoさんとは、2009年4月1日に14MHzで1st2WAY QRP QSOをして以来、今回で6回目のQSO(内14MHzが3回、直近の28MHzが3回)でした。QTHはミューヘンで、リグはIC-761、出力は5Wで6エレの八木アンテナとの組み合わせです。
 当局からのQSLカードを見て、DL9MFY/QRP、BodoさんからのQSPとして”Congratulation to JA1AA for his 5mW WAC”および”QSL-Card to write-so less time for Keying”だそうですが、”for job”と書いていないところを見ると既に退職しているのか、または、現役であれば相当にアマチュア無線にのめり込んでいる好き者ハムではと推測しています。
 現役時代に国内の新設放送局の送信機を納入する際に、映像復調器(標準の映像信号復調器)を”RODE & SCHWARZ”から輸入して、送信機の付属測定器として客先に納入したことがあり、懐かしい思い出です。特性は素晴らしいのですが、高価であることが難点のため、暫くして特性的に同等品を国内の測定器メーカーに製造して貰い輸入を取りやめました。

DL9MFY/QRP's QSL

【図1】DL9MFY/QRP BodoさんからのQSL

DL9MFY/QRP's QSL

【図2】DL9MFY/QRP Bodoさんからのレポート

編集担当から

 RODE & SCHWARZの測定器を初めて目にしたのは社会に出てからでした。学生の頃はYHP、SONYテクトロ、安立、安藤などでした。
世間に出る様々な新サービスや製品は、それが製造される時には測定器が完備されてなければなりませんので、測定器メーカは最先端に携わっていると思い、展示会などを覗くようになりました。(JO1UBD)


DX短信

#377 JA1KGW 青山憲太郎(Kentaro Aoyama)

  ~ハイバンド、24MHzおよび28MHzのオープンした過去のログ帳から~

 JA1KGW/QRPだけのログ帳を振り返って見ますとHFのハイバンド、24および28MHzがオープンした時期は次の通りでした。勿論、多くのOMさんのログ帳とは異なっていることは申すまでもありません。

  2011年9月15日頃~2011年12月15日頃の3ヶ月間
  2013年4月4日頃~2013年6月4日頃の2ヶ月間
  2013年10月15日頃~2014年4月10日頃の6ヶ月間

 このうち、2011年10月16日~10月18日のログを見ますと28MHzでヨーロッパから北米まで多くの局と1st 2WAY QRP QSOが出来ています。

JA1KGW's log
 【図1】ログ帳(2011年10月16日~18日)

 同じく、2014年3月23日~4月5日までのログ帳のページを見ますと、やはりヨーロッパから北米までオープンして、2WAY QRP QSOが出来ています。

JA1KGW's log
 【図2】ログ帳(2014年3月23日~4月5日)

 以上のことから、2014年の秋本番を迎えた現時点から来年2015年の春先にかけて、過去2年と同じようにHFのハイバンドがオープンするかどうか大変な楽しみです。サイクル24が下降期に入りますのでどうなりますやら、楽しみに電波伝搬を眺めています。

編集担当から

 太陽活動による電波伝搬への影響は、Esに代表されるハムにとっては良い効果の他に、各種現象や太陽雑音によるハムには悪い効果に分別できると思います。学生の頃は後者の方は体験がありませんでした。その後職場から毎年送り込まれる越冬隊員の方々から、衛星通信用のパラボナ調整時に太陽雑音が邪魔で……との事でスペアナ画面を見せられた際に、なるほど、後者の影響は短波/超短波帯だけでは無いのかと妙に納得した記憶があります。
 さて、公開されている太陽活動の資料に対して、青山さんのDX交信時期を赤色で落とし込んで見ました。
黒線が月間値(月次最大値なのか、算術平均値なのかは不明ですが)、青線が近似値(これも最小二乗法なのか不明ですが、エンピツ舐め舐めな気がします)で、DX時期はちょうど近似曲線より月間値が飛び抜けて高い時期に一致していると思います。また、逆に大きく落ち込んでいる時期が前後にあります。つまり、偏差が大きくなる時期がチャンスなのかもしれません。そうしますと、今後サイクル24が終息して行く中で、コンディションが急激に悪化したら、チャンスは間もなくという良い知らせなのかもしれません。
僕もずっと手書きログ帳です、HiHi。(JO1UBD)

NOAA data
 【図3】太陽活動とDX時期の関係


編集担当から

 8月号で予告の通り、林さんの”球Rig”報告です。すでに完成され、初QSOも成功しております。半世紀前のシャーシーを用いたその姿は、懐かしみを感じる方も多いのではと思います。

「6L6 単球 水晶発振QRP送信機」

“Simple Tetrode Oscillator Transmitter”

#906 VE3CGC 林 寛義(Hiro Hayashi)

 1941年度版のARRLハムラジオハンドブックに掲載されていた、6L6 単球 水晶発振QRP送信機と部品配置を同じにして、2年を費やして組み立てました。詳細は私のブログ 2007年2月6日に書いてありますので、以下を読んでください。

  ・VE3CGCのブログの2007年2月6日付けの記事、
または、
  ・A 6L6 QRP CW transmitter (1941yr)を参照下さい。

 本年の2月より、同じものを手持ちの部品を使って、組み始めました。基本的には同じ送信機ですが、手持ちの部品を出来るだけ使うつもりで、前回は電源部は組み込んでありませんでしたが、今回は5Y3とトランス(B+288V dc)の電源部を組み込み、シャーシーは1940年生産の受信機 Lafallete D-26 を塗装して、使いました。古い物なので、錆もあって、見栄えを良くするため、黒に塗り直しました。

 配線図:1941年度版のARRLハムラジオハンドブックの138、139頁に記載してある配線図をもとに、電源部を加え、製図をし直しました。最近は配線図を画く無料のソフトがありますが、つい手書きで素早く書いてしまいます、Hi Hi。

 シャーシー:アメリカのラジオメーカー製のLafayette モデルD-26 生産番号 85028 Super HETとネームプレートに刻印されているもので、以前から使い方を考えておりましたが、今回使うこととしました。その理由は1940年に作られた年代もの、中波、短波受信機6球スーパーヘテロダインで昔は高級受信機であったようです。シャーシーにはGT管のソケットも付いていて、しっかりしていたからです。

 部品類:真空管式の自作機では、部品が売っていないので、集めるのにとても苦労します。今回は新たに購入せず、必要な部品は手元に全部ありました。工夫をした部品や、容量の若干違うものもあり、組みあがって動作しましたので、ラッキーでした。

 電源:ハンドブックの説明によると、B+電源は450Vくらいが必要とありますが、2007年に自作した時は400Vで約3W出ました。今回は電源用のトランスが2次側300V acでB+は計測して288V dcあり、パワーの出る6L6にはもう少し高い電圧が欲しいところですが、他に適当なトランスがなかったので、使うことにしました。

 電源回路のブリーダー:電源部のスイッチを切った時、ブリーダー抵抗器は平滑回路に取り付けてあるフィルターコンデンサーに帯電している電荷を放電し、感電しないようにします。目安として、B+電源の電圧x100オームで計算でき、これで計算した抵抗を取りつけますが、今回はこれに見合った抵抗で、ワット数のあるものがなかったので、10Kオーム、3Wのものを2個直列にして使いました。

 真空管:電源部に5Y3、送信機部に6L6を使いました。どちらも私はスペアを持っているので、使うことにしましたが、6L6の代わりに6V6でも動作します。また、電源の整流部には他の整流真空管、または、ダイオードを使ってもよいでしょう。

 真空管ソケット:5Y3、6L6はGT管でシャーシーにはしっかりしたソケットがまだ3個取り付けられてあり、そのまま利用しました。組みあがってから、通電テストの時、動作が不安定で、今まで経験したことがなく、戸惑いましたが、1940年に作られたことで、ソケットの金属部分がさびていると思い、接触を良くするために、細いやすりで丁寧に磨き、マルチパーパスオイル(潤滑、クリーン、腐食止め)を綿棒ですこし塗り、問題は解決しました。

 タンクコイル:この送信機は40mバンド、80mバンドのCW、2バンドにするため、一つにしたタンクコイルでうまく同調が取れるように試行錯誤とコイルの容量計算をし、使う可変コンデンサー1個(397pF)で2バンドに出られるように工夫しました。コイルのボビンは直径40mm、エナメル銅線はAWG 16番線(直径1.3mm)を使いました。この組み合わせはコイルのQを良くするためにいい効果がありました。40mバンド部は15密巻き、80mバンド部は21密巻き、アンテナにつなげるコイルは40mバンド用、80mバンド用のコイルにサンドイッチのように挟まれるようにし、4密巻としました。バンドの切り替えは、私の場合、ワニ口クリップでしますが、スイッチで切り替えてもいいでしょう。コイルの容量はあまり気にせずとも、同調を取る時、可変コンデンサーでうまく出来ます。

 クリスタル:クリスタル発振の真空管式送信機では、FT-243が普通使われます。1940年、1950年代の本を見るとFT-243が良く使われ、このクリスタルはe-Bayに今でもよく売りに出されますが、少し値段が張るようです。

 クリスタル用ソケット:私が良く使う方法として、GT真空管ソケットはFT-243の差し込みができ、重宝します。別にクリスタル用ソケットを用意する必要がありません、Hi Hi。

 追加部品:今回は1941年度版のハンドブックの配線図に無かったものを2つ取り付けました。送信機のスイッチをオンにした時に、LEDが点灯するようにし、もう一つは、タンクコイルのアンテナに接続するコイルに対するインピーダンス微調整用として、100pFの可変コンデンサーを取りつけました。

 テストQSO:2014年8月4日 UTC11:24、7.042MHz、WB2FQL Garyと40mバンドのQSOができました。当局のパワーは1W、受けたレポートRST337、二局間の距離は667kmでした。CWのトーンがあまり良くないようでしたが、電圧の安定性にもう少し工夫がいるものと思われます。つぎに、80mバンドでは0.5Wのパワーなので、CQを出してQSOを試みましたが、いい結果が出ず、ローカル局 VE3BXI Billにお願いし、2014年8月6日 UTC00:15、3.559MHzでテストQSOしました。二局間の距離は12km、RST 557でした。CWの音がすこし悪く改良の余地ありのコメントがありました。 この点は将来時間をかけて手を入れることを考えています。これを以て、一応、このプロジェクト完了としました。

 感想:今回の自作6L6 QRP送信機はタンクコイル1個で40mバンド、80mバンドの二波に同調させようと考え、コイルを工夫しました。44mm直径のコイルボビンとAWG 16番の太めの銅線で出来上がり、テストのQSOもでき完了しました。40mバンド1Wで667km(東京から岡山くらい)離れた局とQSOでき、うれしかったです。また、CWの音が少し歪んでいるようで、これから改良の余地あり、パワーももう少し欲しいところです。今後の宿題とします。

VE3CGC's QRP

【図1】配線図1

VE3CGC's QRP

【図2】配線図2

VE3CGC's QRP

【図3】組み立て完了後の送信機全体の写真

VE3CGC's QRP

【図4】組み立てたシャーシーの内側

VE3CGC's QRP

【図5】組み立て前のシャーシー、黒のペンキ塗布


編集担当から

 ◆林さん、投稿ありがとうございます。遂に完成したのですね。
僕もARRLハンドブックは、最近になって参照するようになりました。とてもボリュームがあり、”眺め”応えがありますね。
さて、苦労して作り上げた自作Rigでの初QSOは興奮しますよね。それもQRPによる予想外の通信距離は、その感動体験を求めて更に改造/改善や別のバンドへの挑戦など、これからが楽しみだと思います。クラブの皆様にも刺激になったのではと思います。(JO1UBD)

 ◆カナダ在住の林さんから今月も投稿をいただきました。
6L6Gの単球送信機というクラシックなものをありがとうございます。昔の技術の追体験は面白いと思うのですが、日本では「発振即終段」という構成の送信機は許可されないのがちょっと残念です。
6L6(と12AX7)はギターアンプに使われている関係で、今もたくさん生産されてます。若いロックギタリストたちが「やっぱりチューブアンプに限るよな」と言っているのをよく聞くので、あと何十年かは新品が入手可能でしょう。12AX7-6L6で作るとデバイス入手の心配のない送信機になると思いますが、こっちの寿命が先にきそうです。(JA8IRQ)


旧ソ連製双三極管でGGアンプ

#988 JG1SMD 石川 英正

 前回、真空管の製作は、とりあえず”おしまい”と書いたのですが、妖しいヒーターの灯りに誘われ、また作ってしまいました。

 今年になって初めてGGアンプを作ったのですが、ゲインこそ低いものの簡単な回路、発振したりせず安定した動作、再現性の良さに心惹かれてしまいました。
 今回は、6GK5で作ったアンプのオリジナル(GLOW BUGS INFO
というレトロな自作機について書いているブログ、GLOW BUG=ホタルという意味)の再現です。

 ここのブログの文章を読んだとき、「プレート損失12Wの管なのでその倍までは強制冷却しなくても大丈夫、FT-817やIC-703などQRP機ユーザーにはピッタリ」と書いてあったので、この6N7というGT管を使えば、そんなに出力が出るのかと勝手に思い込んでいました。この球のデータシートにはヒーター6.3V/800mAと書いてあり、結構大食いです。

 最初に管を探しましたが、日本でポピュラーではないようです。もちろん秋葉原で扱いがないわけではないようなのですが、6Н7Сというキリル文字に「???」となりました。オリジナルはRCAのようですが、どうも某国でも生産していたらしい…。
 最近の真空管オーディオ機器の流行で、秋葉原にも真空管を扱うお店が何軒かあって、そこにはSovtek、Sylvania、Tronal、Tung Solのブランドでロシア製品が目立ちます。
 ググってみると、ウクライナのサイトでロシア製真空管や高電圧機器を通販しているところがヒットしました。6N7GTの扱いをしていて、1978年製 7ドル強+送料8ドル(2014年7月初め現在)とありましたので、秋葉原で買うより安い!とばかりにポチっとしてしまいました。
 それから待つこと約2週間、その間にはマレーシア航空のウクライナ領内での撃墜事件や過激派との戦闘激化など痛ましいニュースが飛び交い、本当にウクライナから荷物は来るのか?と不安でしたが、なにやら怪しい紙の小箱が届きました。細いポールペンの達筆な宛名書きで、なんか立派な通販サイトに似合わない手作り感満載です。

JG1SMD's GG AMP

【図1】ウクライナから球が到着

 早速開けてみると、プチプチではなく全て雑誌や新聞紙で包まれた真空管が出てきました。しかも4本…なんで? オマケ精神でしょうか。
 通販サイトをもう一度見てみると、4本セットと書いてありました。私の勘違いです。
 しかし、そのうちの1本は明らかに製造時の不良品、ゲッターが飛んでいません。白く管の底部に付着したままになっています。実際に通電してみるとヒーターも点きません。
(後日メールをすると1日で返事が来て、返金するか次回注文してくれるならその際に1本入れると言ってきました。案外親切です。)

 あとの3本を、一本ずつGGアンプにセットして出力がどれくらい出てくるか調べてみます。

#1管 7MHz  出力2W @0.5W入力 プレート電圧230V
#2管 同条件で 出力2.5W
#3管 同条件で 出力3W

 こりゃカスをつかまされた、とその時は思いました。サイトには6N7GTと書いてありましたが、送られてきたのは同じガラス管ですが6N7S、1番ピンがなく内部シールドに繋がっていないものです。それでも一番出力の大きかった#3管をエージングしました。約5時間です。
 結果は、あれ? 3.5W@0.5W入力 プレート電圧230Vです。出力が増えてる。
 一度電源を切ってから、再度試してみましたが同じ。出力が増えています。面白いなぁ。

 #2管も7時間ヒーターに通電して放っておきました。同じように約3.5Wでるようになりました。不思議です。でも出力は期待した10Wには程遠いのです。
 原文をもう一度よく見直してみると、”pair of tied in parallel triodes inside this vacuum tube in the grounded-grids amplifier circuit offers more than six times power amplification”と書いてあります。+8dBくらいしかゲインがないよというわけです。

 Blog著者のQRP機は0.8Wらしいので、このリニアで5Wくらい出てきていたらしいということが分かりました。彼はプレート電圧300Vでドライブしているので、私にはまだ電源電圧を上げる余裕があります。
 一番具合のいい#3管を使い、プレート電圧280V、0.5W入力で駆動すると4.5W出てきました、9.5dBです。6N7は双三極管なので三極管1本分では6dBくらいのゲインになりそうです。

 FT-817で1W入れてみると5.5W 、2.5W入れてみると8W強出てきます。だいたい著者のいうような数字になっています。つまり最初の10Wでるのかな?と思った私の期待はそもそも誤解だったようです、”Maximal plate power dissipation of these twins is 12 watts, so you can got more than 25 watts output power without overheating”。

 最初は7MHz帯だけで試したのですが、タンクコイルを巻き直し、タップを取り他のバンドでも出力が得られるのか試してみました。結果、出力はタンクコイルのLに依存するということが分かりました。24MHz帯は21や28MHz用に取ったタップで同調できるかと思っていましたが、そんなには出力が出てきません。おまけに調整次第では発振するなど不安定です。

JG1SMD's GG AMP

【図2】横着はやめて、結局タップの切り替えで40/30/17/15/10mに出られるようにしました。

 この6N7Sには五角形マークとともに「6Н7С X-79」と書かれており、そのマークから旧ソ連国営Novosibirsk工場、1979年製造であることが分かるそうです(「ラジオ技術」誌2014年8月号特集参照)。写真のとおり並べた6GK5とはずいぶん大きさが違います。

JG1SMD's GG AMP

【図3】これだけでは面白くないので、ほかの双三極管はどんな出力が出るのだろうか、比較してみることにしました。

 計測のしやすさと高電圧を扱うので、バラックではないテストベンチを作ります。双三極管に多いピン配列9Aと9AJに対応できるよう切り替えスイッチも付けました。またプレート電圧を細かく調整できる高圧DC電源を作っています(80mA以下くらいならば安定化出力電圧30~300V)。
 比較対象は手持ちの真空管から選んでいます(このほかに12AX7類似管として有名な6N2Pもあったのですが、買ってきた中古管自体が不良でした。12AX7は9Aなのに6.3V版の6N2Pは9AJであるなどcompatibilityがよくできていることに気が付きました)。

JG1SMD's GG AMP

【図4】テストベンチを作って比較しました。

 ギターアンプに使われている12AX7、自作YAHAアンプに使っている12AU7、相互コンダクタンスが大きい6DJ8を試してみました。結果は図5のとおりとなりました。(入力=7MHzAMキャリア0.5W 50Ωダミーロードを繋いだパワー計で出力を計測)

JG1SMD's GG AMP

【図5】比較結果

 12AX7は健闘し、電圧をあげると出力が出てくれました。12AU7は出力がほとんど出ずダメ。案外いいなあと思ったのは6DJ8で、プレート電圧の最大定格(130V)が大きくないのが残念です。でも100Vくらいの電圧でもドライブできると思えばいいやと考えることにしました。
 優秀なのは前回使った6GK5(三極管1本分しか入っていません)、しかしプレート最大定格は200Vなのでこんなに電圧をかけてはいけません。
 6DJ8は双三極管なので終段をパラで組み、発振段・緩衝増幅段はTr.で作ってやれば100V以下で駆動するQRP真空管送信機になりそうです。006P電池10本で何分運用できるのか?とも思いますが屋外で真空管送信機運用も面白いかも、とアホな構想を練っています。

編集担当から

石川さん、報告ありがとうございます。ますますハマって行きましたね。
 真空管の調達先が海外が主流になって行くのは、もしかしたらトランジスタなどのディスクリート部品も、将来は日本国内の流通在庫が無くなってしまうのではと不安があります。既にDBMのICなど、だいぶ価格高騰していますし。
 無線から離れますが、この夏に自家用車(1990年式)のエアコンを修理する際に、日本製のコンプレッサーなのですが、国内流通在庫はゼロで、欧州に流通していたリビルト品(O/Hして消耗品を交換した製品)を調達しました。その他の部品も欧州や中国で今でも製造されている互換品を探し出しました。探し出せば今でも入手できるのですが、検索サイトは便利そうでも目的を達するには困難でした。
(JO1UBD)


エレクラフト シグナルソースXG3(使用レポート)

#993 JO1UBD 丸山 裕二

 受信機の感度比較や調整、Sメータの簡易校正などに活用できる”シグナルソース XG3″を紹介したいと思います。秋のQRPコンテスト用に自作機を製作中に方には、調整時の信号源として活用出来るのはと思います。

XG3

 【図1】エレクラフトXG3

 受信機を製作した場合に、”受信感度を最大限に調整する”箇所で困るのが、適度な弱さの信号源だと思います。バンド中に見渡して、ちょうど良い強さの局がQRV中であっても、適度なタイミングで送信してくれると良いのですが、また、その受信電界強度も、強すぎず、また、弱すぎず適度なレベルな局が見付けづらいものです。特にVXO機の場合は、その可変範囲に日常からQRV局が出ていれば良いのですが、なかなかタイミングが合わないものです。

 簡単な1石発振回路を作ってみても強すぎて、ATTも自作して接続しても、なかなか適度なレベルにはならないものです。

 今回紹介するXG3は、同じエレクラフトのKX3の受信アライメント調整用としても説明書中で推奨されていたシグナルソースで、出力レベルは最大0dBmと高出力で、送信段のバッファアンプの信号源としても活用できるかと思います。

 諸元では、160mバンドから2mバンドまでのアマチュア無線バンドを網羅し、出力レベルはRigのSメータ振れでちょうどS9となる-73dBm(30MHz以上ではS9+20dB)が予めプリセットされています。

 手始めに、以前に製作したアイテックのTRX-501、TRX602のSメータの校正源として使用しました。メーカー製Rigでは、当たり前ですがきちんとS9でした、HiHi。

 また、外付けのPCからの操作により、その発振周波数の変更やRTTYやCWによるビーコン機能、周波数のスウィープも備わっていますが、これまで使った事はありませんでした。

Elecraft XG3諸元
項目 仕様値
発振周波数
(出荷時)
1.820MHz
3.520MHz
5.3305MHz
7.020MHz
10.120MHz
14.020MHz
18.120MHz
21.020MHz
24.900MHz
28.020MHz
50.120MHz
144.220MHz
周波数ステップ 1~10Hz(1.5~66MHz)
1~12Hz(67~159MHz)
1~24Hz(160~200MHz)
出力値 -107dBm
-73dBm
-33dBm
0dBm
電源 006P 9V
外部入力11~14Vdc
周波数安定度 ±50ppm(最大)
消費電流 25~50mA(006P 9V時)

XG3

 【図2】XG3回路図(1/2)

XG3

 【図3】XG3回路図(2/2)

XG3

 【図3】Macからの操作メニュー

XG3

 【図4】XG3のPCB

XG3

 【図5】単体だとスプリアスが多いので注意

XG3

 【図6】以前に受信部の調整で使用していた局発とATT

 秋のQRPコンテストまであと2ヶ月。昨年時間切れで断念した15mDSB/6mDSB機を仕上げて、今年こそは自作機部門に参加したいと思います。


QRPクラブからのお知らせ

全国集会参加希望者募集終了のお知らせ

 会報8月号でお知らせしました2014年度 JARL QRP CLUB 全国集会の参加者募集につきまして、8月31日の段階で定員の20名に達しましたので、募集を終了いたします。参加表明者のみなさんには、後日詳細なご案内を個別にお送りいたします。

 迅速なご応募,ありがとうございました。

 今回は宿の都合上20名という少数の募集になりましたが、3エリア~4エリア方面からのご応募が相継ぎ、ありがたく思います。また遠路お越し下さる方もご応募いただきました。重ねて御礼申し上げます。

2014年度全国集会幹事:
JA3JJE 南、
JR3TGS 稲田、
JG3ADQ 永井、
JS1BVK 山田。


2014年度QRPクラブ主催コンテスト開催のお知らせ

 11月3日(月)にQRPコンテストを行います。昨年、皆様から多くのご意見が寄せられました。ご意見の全てを反映することはできませんでしたが、判り易い規約になったのではないかと思います。
 自作部門も残してありますので、自作派の方も是非ご参加下さい。規約の詳細はQRP Clubのホームページでご確認ください。

  ◆2014年度QRPコンテスト規約


編集後記

JO1UBD 丸山 裕二

★ハムフェア2014は、いかがでしたでしょうか? 普段はQSOだけの交流だった方々とのアイボールQSOは、話題が尽きなかったのではと思います。また、各ブースをまわると、真似してみたい、追試してみたいなど、新たな刺激を頂きました。

★QRPクラブブースで会員へ配布されました名札は、各ブースを訪問時には、話題が自然とQRPへ流れるような目印になったのではと思います。

Name Plate

 【配布された名札】

★会場で珍しい物を入手された方、また、入手されたジャンクを手直し中な方、会報への投稿をお待ち致します。

また、QRPコンテストの準備レポート、夏の移動運用レポート、また、運用時の工夫など、皆さんからの投稿をお待ち致します。
投稿の宛先は、qrpnews@jaqrp.net です。(@を半角に変えてください)

JA8IRQ 福島 誠

★9月号をお届けします。今回はハムフェアの展示品解説を特集してますので、画像が多くダウンロードに時間がかかったかもしれません。投稿記事は真空管工作が重なりましたがタマタマであります。

★なお、投稿は製作記事のほか、運用報告、DXリポートなども歓迎いたします。会員の皆さんの日頃のQRP活動をリポートしてください。

★今回のハムフェアでは正員全員の名札をつくって会場を訪れた会員に配布しました。これは会場内でのコミュニケーションに効果があったようで、私も他のブースを見に行った時に「QRPクラブの会報いつも読んでますよ」などと声をかけられたりしました。次回も作成したいと思ってます。

★自作品の展示物では、JA1IXI大和田さんのVoice Key やJF2NMY高木さんの1Vトランシーバなどが記憶に残りました。思いついたことを形にして、実用的なものに磨きあげる会員がたくさんいるということは私たちの会の誇りです。またJA3JJE南さんの自作Lメーター(アナログ式)のように、一見普通の回路ながらポリバリコンの羽根をばらして周波数直線型に加工して再組立てするというクレイジーさにもしびれました。

★ハムフェア会場ではクラブの役員会を行い、2016年のQRPクラブ60周年行事について議論いたしました。
 クラブの還暦となる60年の節目をどう祝い、どのように次世代につなげていくかを会員のみなさんと考えていきたいと思っております。



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