JARL QRPクラブ会報 2016年9月30日発行 vol.59-5

投稿者: | 2016年10月2日







JARL QRPクラブ会報 2016年9月30日発行 vol.59-5 The JARL QRP Club

JARL QRPクラブ会報 2016年9月30日発行 vol.59-5

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JARL QRPクラブ会報 2016年9月30日発行 vol.59-5


No. 2016年9月号 目次 コールサイン 筆者
1 【製作】50MHz AM QRPpトランシーバーの製作 JA8CXX #971 高野順一 
(Junichi Takano)
2 【製作】AYU-40とSR-7を利用したQRPトランシーバ JA1MOR #1116 天野智由
(Tomoyuki Amano)
3 【製作】144MHz用ロッドアンテナ使用携帯型GPアンテナの製作 JA3HKR #982 吉田 清和
(Kiyokazu Yoshida)
4 【製作と運用】アパマンQRPperの挑戦-自作CW送信機とベランダ・ホイップによる運用 JN1JYD / NY9N #1062 臼井 健一

(Kenichi Usui)
5 【告知】6石スーパープロジェクト JI3BSB #364 山本 節也
(Setsuya Yamamoto)
6 【お知らせ】 QRPクラブからお知らせ JA8IRQ #678 福島 誠
(Makoto Fukushima)
7 【編集後記】 JA8IRQ #678 福島 誠
(Makoto Fukushima)


【製作】50MHz AM QRPpトランシーバーの製作

#971 JA8CXX 高野順一

高変調度と低スプリアスの実現を目標に、50MHz AM 定格出力200mW のトランシーバーを製作しました。

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【図1】外観写真

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【図2】内部写真(上側)

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【図3】内部写真(下側)

概要

  • (1) 各ユニットの回路は本やWEBの記事の中から気に入った回路を選び、それらを組み合わせて信号レベルのバランスを調整しながら、一台のトランシーバーとしてまとめ上げました。

  • (2) 平均変調度を高めつつ、過変調を防止するために、変調器に自動レベル制御付きのマイクアンプIC (TA2011S) を使用。

       しかし応答遅れがあり、過大な音声入力に対しては、最初の数十ミリ秒間適正レベルを超えるので、ダイオードリミッターを追加してピークカットしました。

  • (3) 基本波近傍の帯域外領域の不要発射を無くするため、300~3,000HzのBPFを変調回路に挿入して、占有帯域幅を制限。

  • (4) 送信部はVXO(可変周波数水晶発振)の39.77~40.00MHzとLO(局部発振)の10.7MHzを混合して50.47~50.70MHzを得る周波数合成方式としました。
       この方式ではスプリアスの発生が問題となるため、VXO、LO、混合の各回路ごとに複同調のBPFを使用し、また終段電力増幅の後には4段のLPFを挿入して、スプリアスの低減に努めました。

  • (5) 送信部の混合回路にはFMラジオ用IC(TA7358AP)を使用しました。
       スプリアスの発生を抑えるため、混合回路の入力信号は必要最小限の低レベルになるように配慮しました。

  • (6) 定格出力200mWの場合、理想的なAM変調であれば最大出力は4倍の800mWになるので、終段のトランジスタは1Wクラス用の2SC1970を使用しました。
       当初、0.3mm厚の絶縁放熱シートを挟んでシャーシに放熱する方法にしたのですが、全く出力が得られませんでした。
       2SC1970はコレクターが放熱フィンに接続されているため、コレクターとシャーシ間の静電容量のために、50MHzではアースショート状態になってしまったようでした。
       解決策としてアルミ板で小さな放熱器を作り、2mm厚のプラスチック(ABS)絶縁板を挟んで取り付けたところ、希望する出力が得られました。

  • (7) 終段・励振段トランジスタのコレクター変調は定番の変調方式ですが、深い変調をかけることはなかなか困難であるようです。
       この作品では変調トランスの出力側にRC並列回路を挿入して、変調器の低周波出力を減衰させずに、終段トランジスタへの直流供給電圧を下げることによって、高い変調度を達成することができました。

  • (8) 受信部はAMラジオ用IC(LA1600)を使用した10.7MHzのシングルスーパー親受信機に、クリスタルコンバーター(50MHz→10.7MHz)を前置きしたダブルコンバージョン方式としました。

  • (9) 送受信周波数の下限は50.47MHzに設定しました。
       50.48MHzで常時発信されているビーコン(JH8ZND/b北海道千歳市)を受信することによって、受信機やアンテナの調整や状態把握に役立つと考えたからです。

  • (10) 全てユニバーサル基板(片面)で製作を進めましたが、送信部電力増幅段で異常発振とみられる症状が現れました。
       回路に色々対策を講じても効果がありませんでしたが、ランド方式ベタアース基板で作り直したところ良好な結果が得られました。
       受信部クリスタルコンバーターもベタアース基板で作り直してみましたが、こちらは特に変化が感じられませんでした。

  • (11) 4月末に完成し、ダイポールアンテナ(地上高9m)を使用して、5月末までに1エリア東京都の1局、4エリア山口県の1局、8エリア札幌市内の4局との交信が出来ました。
       (6月~8月末まで、ハムフェア2016自作品コンテストに出品のため、運用なし。)

      


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【図4】50MHz AM QRPpトランシーバーブロックダイアグラム(図をクリックすると拡大します)


50MHz AM QRPpトランシーバー

【図5】50MHz AM QRPpトランシーバー回路図】(図をクリックすると拡大します)

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【図6】50MHz AM QRPpトランシーバー変調波形





定格・仕様
送信部
終段素子 2SC1970シングル
送信周波数 50.47~50.70MHz
送信出力 200mW
変調方式 終段・励振段コレクタ変調
付属回路 自動レベル制御+リミッター付きマイクアンプ
受信部
受信方式 ダブルコンバージョン・スーパーヘテロダイン
中間周波数 第1IF : 10.7MHz 、 第2IF : 455kHz
選択度 ±3kHz (-6dB) 、 ±9kHz (-40dB)
共通
電源電圧 DC12V
消費電流 受信時 55mA
送信無変調時 220mA 、最大変調時 350mA
外形寸法 180(W)×70(H)×150(D) mm (突起部含まず)
重量 1.3kg


 ◆ハムフェア2016自作品コンテスト自由部門に出品したところ、最優秀賞をいただくことができました。
 助言してくださった方々および参考にさせていただいた資料の著者の皆様に感謝申し上げます。

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【図7】カップと作品

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【図8】賞状

【編集部から】

(JA8IRQ)

 高野さん、最優秀賞おめでとうございます。また、すばらしい作品の投稿ありがとうございます。美しいパネルや内部の配線なども完成度の高さを感じさせます。


【製作】AYU-40とSR-7を利用したQRPトランシーバ

#1116 JA1MOR 天野智由

マルツパーツでCQ ham radio 2009/7月号の 7Mhz CW送信機付録基板とパーツ一式を販売していたので取り寄せ、アイテックSR-7の基板と同一のケース(リードのP-1)に入れ、7Mhz QRPトランシーバーを作成しました。

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【図1】

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【図2】

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【図3】写真


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【図4】接続図(図をクリックすると拡大します)

 スペースの関係で送信基板は、縦に取付け、VXOはスーパーVXO(可変幅7.003~7.017 Xtal 7.015 2個パラ 基板の表、裏にハンダ付け)。LはFCZ1.8と15uHを使用。

 SR-7のVFOまわりのコンデンサーは、マルツパーツで温度補償用のCOGまたはCHの積層セラミックコンデンサを購入し使用。IFにはmurataの455セラミックフィルター(CFM455J1 2.7Khz -6dB)を使用。これだけでは帯域が広くCWの運用には向かないため、AFフィルターを挿入しています。

 SR-7のAF出力は手持ちのトランス(SD-32)で取り出しています。AFフィルターのOUTに秋月で購入したmini AF AMP HT82V7329を挿入しています。(送信時、このAmpの出力を低減しモニタしています。Ampの出力側はGにおとせない様です)Phoneジャックを付けましたが前記の理由で直接接続できないので、トランスをいれるか思案中です。

 IFの帯域がCWに対応していないため近接に強い局がでるとAGCがきき目的の局の信号を見失うおそれがあります。

  • SR-7の電源はUM-3 2本で3V
  • AYU-40電源は006P または 外部電源
  • SR-7の受信周波数6.995~7.045Khzに設定
  • SW ON 10分もすれば、周波数変動はあまり感じられません。
  • 組込んだスピーカーが小型のため音量を上げるとひずみます。

 その他、以下を組込んでいます。

  • (1)受信機の前段にアイテック7MHzのRF Pre Amp
  • (2)キャリブレーションのエレキー基盤

製作にあたり、以下の書籍を参考にしました。

*ランド方式で作る 手作りトランシーバ入門 JF1RNR著

* ビギナーのためのトランシーバー製作入門 AM SSB編(別冊CQham radio 94/5) JA7CRJ著

*CQham radio 2009/7 (付録基板を使って 7Mhz CW送信機を作ろう)

【編集部から】

 SR-7はアイテック電子研究所の7MHz帯受信機キットで、ラジオ用ICのLA1600を使ってシンプルにまとまっていましたが、残念なことにアイテックが業務終了してしまいました。多くのQRP愛好家が、SR-7をいろいろに改造して使っていました。会員のJR7HAN花野さんは自作のフィルターを入れてミズホのQP-7と組み合わせて使っています。

 天野さんは、継続更新時のコメントに「AYU40とSR-7を組み合わせて使っている」とあり、原稿を書いていただきました。入門者向けのキットは作ってそのまましまい込むことが多くなりがちですが、こうやってトランシーバにまとめると実用に使えます。

以下、質疑応答。(JA8IRQ)

(Q)送信はダイレクトのVXOで受信機はSR-7のVFOもそのまま生かしてる、ということは送受信別の周波数でキャリブレーションとりながらの運用になるのでしょうか?(JA8IRQ)

(A)その通りです。 AYU40,SR-7は送受信時とも生きてますがAYU40の出力がQRPp(約150mw/9v時)のためSR-7側に特に不都合は、ありません。
送信時TX-Bが9vになるのでリレーを使用しSR-7のAF出力を下げて送信出力をSide Toneとしてモニタしています。(JA1MOR)

 


【製作】144MHz用ロッドアンテナ使用携帯型GPアンテナ

#982 JA3HKR 吉田 清和

 山歩きに加えて、写真趣味と無線趣味を両立させようとすると、それぞれ同時に持ち出す機材の選択にいつも頭を悩ませております。

 このうちアンテナのいくつかについては、本クラブ会報2014年1月号に「簡易アンテナ3題」として紹介させていただきました。今回は、新たに144MHz用としてロッドアンテナを用いたアローラインタイプのものを製作しましたので紹介させていただこうと思います。

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【図1】写真

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【図2】写真

 完成した外観を写真1に、分解した状態を写真2に示します。

 手持ちに短いロッドアンテナがあったので、1本をラジエーターに、3本をラジアルにしました。いっぱい伸ばした長さが少し短かかったので、3mmネジの六角スペーサーを何本か継ぎ足してあります。

 中心になる部分はアルミ棒と樹脂を使ってちょっと手の込んだ細工をしています。ラジアルをねじ込むタップ穴はバイスで固定してあけたのですが、ナナメに均等に3個をあけるのは難しいです。予定よりラジアルが少し下向きになったような気がします。
 ラジエーターをねじ込む短いスペーサーはポリカーボネイトのビスでラジアル部分と絶縁しています。それぞれに1.5D2Vの短いケーブルを接続し、反対側にBNC-Jジャックを付けています。

 調整は、長めのスペーサーを取り付けたロッドアンテナを取り付け、アンテナアナライザーをつないでロッドアンテナの長さを伸縮して最適長さを決定します。私の場合はラジエーターよりラジアルが少し長いときが最良という結果になりました。ロッドアンテナをいっぱい伸ばしたときにこの最適長さになるような長さのスペーサーに取り替え、完成とします。

 写真2のように、ポールも短い釣り竿にしましたので一式がリュックに収まりやすくなりました。

 1W QRP機やFT817と組み合わせて運用していますが、144MHzはノイズも少ないこともあり、聞こえている局をコールするとたいてい応答してもらえています。

山の上やハイキングコースでのお手軽運用には重宝しています。

【編集部から】

 吉田さん、投稿ありがとうございます。さらっと書かれてますが、ラジアルを傘状に3本止めるために斜めに3個、タップで穴をあけるというのは、アマチュアには難易度の高い工作技術ではないかと思われますよ。脱帽です。(JA8IRQ)


【製作と運用】アパマンQRPperの挑戦

-自作CW送信機とベランダ・ホイップによる運用

#1062 JN1JYD / NY9N 臼井 健一

 トリオTS-130Vで開局して以来、今年でアパマンハム歴36年目を迎えました。開局以来、小電力、小空間、低地上高という制約ある環境にも負けず、アマチュア無線を楽しんでまいりました。

開局したての1980年代当時は、団地1階ベランダ内にかろうじて張り巡らされたワイヤー・ダイポールと、10W(SSB)という設備でもって、海外との交信を楽しみ、WACまで完成させることができました。集合住宅からの小電力によるDX通信の可能性、手ごたえを十分に感じとれた経験でもありました。

 いまだにアパマンハム生活は続いておりますが、10年ほど前に高台のロケーションのよい集合住宅に引っ越しました。ここでは、ベランダに取り付けたモービルホイップを主に使用していますが、電波の飛びは従来とは比べものにならないほど抜群に良くなり、アマチュア無線活動もさらに本格化。

 特に最近は、JT65やJT9などのディジタル通信が脚光をあびておりますが、これはまさに私のようなアパマンハムのためにある通信モードだと言っても過言ではありません。現在その運用にもハマっているところです。

さてそんな中、週末に秋葉原を散歩していたとき、マルツのお店でCWのQRP送信キットなるものに出会いました。これがQRPpを始めたきっかけです。

 私自身これまでは、ほとんど半田ごてを握ることがなく、唯一、半田付けするのは同軸ケーブルにコネクタを取り付ける時くらいという大変お恥ずかしい状況です。それで少しはアマチュア無線技士の”技士”にふさわしいことでもやってみようかという思いと、また、0.5Wという非常に小さいパワーで一体どこまで電波が飛ぶのだろうか?ロケーションもよくなったので、ベランダ・ホイップでも、もしかしたら遠くまで飛んでくれるのでは?というちょっとした興味本位がきっかけで、このQRP送信機のキットを衝動買いしてしまいました。

専用のケースまで付いていましたので、穴あけ加工など面倒なことは不要で、必要な材料はすべてあらかじめ用意されていましたので、これなら全く経験のない自分にでも、確実に組み立てられるだろうと思ったしだいです。

 帰宅してすぐキットを作りはじめましたが、作業にとりかかると、作る楽しさにますます惹かれ、結局その日は夕食も食べずに4時間ほど作業に熱中。部品点数も少なく抵抗値や極性などを間違えずに、図面通りに半田付けしていけばよいので、特段大きなミスもなく仕上がりました。苦労した点といえば、コイルの製作くらいでしょうか。慣れないためこれにはかなりの時間が費やされました。

 基板への部品取り付けやスイッチ、コネクタ類への配線を終え、最期の調整もそれほど難しいものではなく、電波がきちんと出ていることを、手持ちの無線機IC-7410で確認できました。

 このあたりの組み立て、配線、調整には、今井栄著(CQ出版)「作りながら理解するラジオと電子回路」がとても参考になりました。自分が苦労して組み立てた送信機から電波が出たときの達成感、嬉しさは今でも忘れられません。

 その後、諸先輩方の製作・改造例の記事をWebで拝見し、水晶発振子をパラ接続したり、ポリバリコンやFCZコイルなどを追加で取り付けて、周波数が可変できるように改造を試みました。7.010MHzの水晶発振子を3つパラに接続してありますが、面倒くさがり屋なものですから、写真1のとおり、大変いい加減な配線でお恥ずかしい限りです。

 さらに追加インダクタの値をいろいろ変えて、トライ&エラーを繰り返した結果、現状では、7MHz帯は出力0.5W、送信周波数7.000~7.013MHzまでの間で周波数が可変できています。もう少し工夫すれば可変範囲を増やせるのではないかと感じておりますが、なかなかそれに費やす時間がとれずにおります。

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【図1】7MHz帯CW送信機周波数可変改造部分

 1台目があっさりうまく出来てしまったので、調子に乗って今度は10MHz帯用にもう一台同じキットを買って来てしまいました。しかし、すでにケース付きのキットはなくなっておりましたので、仕方なく2台目はタカチYM-130のケースを別に購入し、電動ドリルを使って自分で穴あけ加工いたしました。

 実は電動ドリルすら所持していなかったので、今回の製作のために、近所のホームセンターへ買い出しに行ったり、バリ取りツールなど必要なものを一式購入したりと、結構な出費になってしまいました。

 すでに1台完成させているので、2台目は作りはじめたら基板完成までは早かったのですが、今度は、ケース加工に多大な時間を費やすことになってしまいました。測定の結果、こちらは出力0.4Wと7MHz帯の送信機よりも若干出力が下がってしまいました。

 また1台目同様、10.130MHzの水晶発振子を2個パラに接続。ポリバリコンとFCZコイルを追加で取り付け(追加インダクタは使用していません)、送信周波数は10.119~10.134MHzまで可変できるようになっております。ただ、若干、低い方の周波数で動作の不安定感が残ってしまいましたが、運用自体は10.130MHz前後が中心なのであまり影響はありません。

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【図2】10MHz帯CW送信機周波数可変改造部分

 正式に運用するには、送信機増設に伴う変更手続きへの対応が必要となります。久しぶりの保証認定手続きでしたが、一部単純な記載ミスで訂正し再提出したものの、大きな問題はなく、2台の送信機増設の変更許可を得ることができました。

 それから、受信機が必要になりますが、部屋の片隅に眠っていた八重洲無線のFRG7を活用してみることにしました。35年以上前にBCLをはじめるために購入したものですが、いまのところ問題なく動作しています。これで7MHz帯のCWを受信するのは混信がひどくて結構しんどいのですが、ファインチューニングを使いながらなんとか強そうな電波を拾い上げることができます(写真3)。

 使用しているアンテナですが、集合住宅ベランダ手摺部分に第一電波工業・ダイヤモンドのMD200という全長2mほどのモービルホイップを取り付けています。MD200は、本体エレメント部に交換コイルを取り付けることで、多バンド化に対応したアンテナですが、私はこの本体エレメント部分のみを購入し、コイルは自作しております。コイルは100均ショップでよく見かけるプラスチック製の容器(直径約13cm、高さ約12.5cm程度の大きさ)にアルミ線を十数回ほど巻き付けた、これも手抜きというか大変いい加減なコイルです。

 それに、屋外アンテナチューナーとしてSG-230を接続してマッチングをとっています。これで3.5MHz帯~10MHz帯までのHFアンテナとして使用しています。ちなみに14MHz帯から上のバンドはモノバンドのモービルホイップを交換しながら運用しています。

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【図3】自作送信機とFRG7を受信機としたQRPpシステム

  0.5Wによる現在までの運用状況について報告させていただきます。これまで延べ95局と交信しております。7MHz帯は5と8エリアが、10MHz帯は8エリアがそれぞれまだ未交信です。各バンドのエリア別交信局数は図1、図2のとおりです。

 1エリア関東圏内の相手が599で入感し、他に誰も呼んでいない時にコールした場合は、かなり高い確率でピックアップしていただけます。

また、他のエリアが相手の場合は、599で入感していて、他に誰も呼んでいない状態において、3~4回ほど繰り返しコールサインを送信して、かろうじてピックアップしていただけるといった状況でした。

 いただくレポートは51や41か多く、ノイズや混信もあったりと結構厳しい状況下で、かろうじて拾っていただいているようです。

 2014年にQRPクラブコンテストにこのシステムで参加させていただきました。7MHz・自作部門で16位/23局中の成績でした。個人的にはこの送信機とこれまでの交信実績に大変満足しています。当面はAJDやJCC100あたりを目標にチャレンジを続けたいと思っております。

また、もし時間の余裕があれば、21MHz帯や50MHz帯などハイバンドの送信機の自作にもチャレンジしてみたいと思います。いつか海外からもお呼びがかかることを期待し、アパマンQRPp運用のチャレンジを続けていきたいと思います。

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【図4】7MHz帯エリア別交信局数

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【図5】10MHz帯エリア別交信局数

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【図6】自作QRPpシステム諸元と運用実績まとめ

(参考図書)

作りながら理解するラジオと電子回路 今井 栄著 CQ出版(入手可能)

短波CW送信機の実験 高田 継男著 CQ出版(品切)

【編集部から】

 臼井さん、投稿ありがとうございます。こちらもAyu40ですね。
 『これまでは、ほとんど半田ごてを握ることがなく、唯一、半田付けするのは同軸ケーブルにコネクタを取り付ける時くらい』という方は、今のアマチュア無線家の大多数だと思いますが、一台キットを作ってから自作にはまっていく様子に共感いたしました。次の製作も、ぜひ投稿してください。(JA8IRQ)


【告知】6石スーパープロジェクト

#364 JI3BSB 山本 節也

 メーカー製には及びませんが、実用になる6石スーパーラジオを製作しました。
会員の皆さんを対象とした、基板+主要部品セットの頒布をおこないます。詳細は下記の通りです。

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【図1】 6石スーパー試作の様子

  • 基板、バーアンテナ、バリコン(ダイヤル含む)、IFT、簡単な製作マニュアルのセット
  • 製作、調整は自己責任。アフターサービスはありませんので、ご了解を
  • 先着20人限定。人数に達しない場合は、プロジェクトは中止
  • 頒布金額は1,800円(送料含む)。利益がでた場合は、クラブに寄付。
  •  頒布を希望される方は、私のコールサイン@yahoo.co.jpにメールを下さい。
     メールには住所、氏名、念のため連絡のとれる電話番号を記入下さい。
    プロジェクトが成立すれば、メールで振り込み先をお知らせします(振り込み手数料は負担をお願いします)。
     締め切りは10月末日ですが、20人に達すればその時点で打ち切ります。【10月17日時点で申込が満数となり、受付は終了いたしました】


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    【図2】JI3BSB 山本さん設計の6石スーパー回路図(クリックすると拡大します)
    【編集部注】10/9に回路図の画像を鮮明なものに入れ替えました。

    【編集部より】JI3BSB山本さんよりFBな企画が提案されました。
     バリコン・バーアンテナ、IFTなど主要部品つきですので、あとは手持ちの部品を使ってラジオ作りが楽しめます。
     対象は会員のみですからご注意ください。QRPクラブでは会員によるこのような呼びかけも歓迎いたします。(JA8IRQ)

    【頒布終了】予定数の申込があったので、この企画の受付は終了しています。


    【告知】QRPクラブからお知らせ

    #678   JA8IRQ 福島 誠 (Makoto Fukushima)

    QRP入門ハンドブック発売

     私たちJARL QRP CLUBで編集したQRP入門ハンドブックが8月22日にCQ出版より全国発売されました。

     税込み定価2,592円、ISBNは9784789812795です。

     QRPクラブでは6月以降、3000円以上の寄付をいただいた会員にハンドブックを送る、ということにして事実上の予約を集めておりましたが、合計182冊となりました。書籍は8月20日ころまでに会員に届いており、全国の会員から「到着したので、さっそく読みました」という声が続々と会員用メーリングリストに届きました。8月20日~21日のハムフェア2016ではCQ出版のブースで販売されました。

     
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    【図1】QRP入門ハンドブックの表紙

     
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    【図2】ハムフェア2016でのCQ出版のブース

     なお、十分に注意しましたが以下の誤植がありました。申し訳ありません。他に誤植などを見つけた方がおられれば、会報編集部あて連絡ください。今後の重版時に修正いたします。

    QRP入門ハンドブック初版正誤表

    (1) (p.56) QP-7の発振回路のトランジスタ
    (誤) 2SC954
    (正) 2SC945

    (2) (p.82)「往年のQRPキット」の写真のキャプション違い、写真3-4-8
    【誤】FUJIYAMAの完成後の内部写真に写っているスピーカの配線以外はビニル線などによる配線を一本も使用していない基板とケース一体型の構造
    (JF1DKB 高野 成幸さん提供)

    【正】 JARL QRPクラブの正式プロジェクトとして開発・頒布された“EQT-1”は,「Class-E」(ファイナルアンプ, 80%ほどの効率),「QRP」, 「TRX」の三つの頭文字を取って命名された100mW QRPp 7MHz CW TRX.送信とともにAFアンプも省電力化されていて,今では珍しいクリスタル・イヤホンが採用されている.筆者が幼少のころにゲルマ・ラジオに触れてから半世紀弱経過したが“,EQT-1”のクリスタル・イヤホンは今でも現役で使用可能だ.

    (JF1DKB 高野 成幸さん提供)

    (3) (p.137)コラム1 究極のQRPコンペティション
     表の中、第3位のコールサイン
    【誤】 JG6FDK/1
    【正】 JG6DFK/1

    (4) 本文ではなく、カバー裏の広告
    QRP入門ハンドブックの著者
    【誤】 JARL ARPクラブ
    【正】 JARL QRPクラブ

    ★ JA1AMH高田さんを送る会から

     5月7日に秋葉原の万世橋会館でQRPクラブ会員を含む有志が呼びかけ人となり、「JA1AMH高田さんを送る会」を行いました。当日は36名の参加者で高田さんの思い出を語りました。
     当日いただいた会費は会場費、飲食費、写真代、お花代などに支払ったあと20,440円が残りましたので日本赤十字社の平成28年熊本地震災害義援金に送金いたしました。

     ご参加の皆さん、ありがとうございました。

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    ★【再掲】 11/3 JARL QRP Club 60周年記念 2016年 QRPコンテストの規約が発表されました

    自作機部門が評判のQRPコンテストは11月3日(木)に開催されます。今年は60周年を記念して、入賞者に当クラブ開発のキットJP-60が授与されます。詳しくはこちらにコンテスト規約がありますのでご確認ください。

    ★【再掲】11/19 QRPクラブ創立60周年記念式典とパーティを準備中

    以下のとおり、記念式典とパーティを行う予定です。会員のみなさんはぜひご参加ください。

    JARL QRP CLUB 創立60周年を 記念して下記の式典と懇親会を来月に開催しますので 参加表明 を今月末までにお願いします。

    1.会員番号
    2.コールサイン
    3.お名前
    4. 記念式典か懇親会の何れかを欠席する場合、その旨を記入。
     

     尚、特に断りない場合は記念式典、懇親会両方に参加されるとみなします。欠席される場合「不参加」を通知する必要はありません。

    以上を記入して jaqrp_60y@jaqrp.net (@は@に置き換え)宛にメールしてください。

    日時:11月19日(土) 午後3時 から 午後7時
    会費:5,000円(懇親会飲食代,式典のみ参加は無料)
    場所: 以下

    *記念式典会場(第一会場) 来賓挨拶等を予定しています
      午後3時 から 午後4時  (参加費 無料)
     
    「銀座キレイが丘(別館)」

    東京都中央区銀座7-13-8 第二丸高ビル 9階会費室

    昭和通り沿い「コートヤード・マリオット・銀座東武ホテル」の並びです。宿泊の予約はインバウンドの関係で幹事としては手配しませんので地方から上京の方は各自で予約してください。

    式典内容:

    1.来賓挨拶
    2.来賓記念公演
    3.JP60 開発秘話公演
    4.賞状授与式
    5.ジャンクオークション

    詳細は後ほど案内いたします。


    *懇親会会場(第二会場)  宴会を行います
      午後4時 から 午後7時 (参加費5000円)

    「Sun-mi高松7丁目店」

    東京都中央区銀座7-13-20 銀座中村ビル 1階
    第一会場の隣接するビルにあります。

    懇親会会場(第二会場)  お食事と宴会

    二次会は予約していません。近くにライオン銀座店があります。
    また今年は全国集会は実施しません。記念式典・懇親会がその代わりです。

    ★ そのほか、QRPクラブに関する連絡先のメールアドレス

    ◆ QRPクラブの活動全般についての質問、ご要望、ご意見は qtc@jaqrp.org (@は@に置き換え、以下同じ)までお願いいたします。メールには必ずお返事を出します。
    ◆ アワード関連についての問い合わせ先はアワード担当へ award@jaqrp.net
    ◆ コンテストについての問い合わせ先はコンテスト担当へ contest@jaqrp.net
    ◆ 毎月開催している秋葉原懇親会については1エリア懇親会担当へ ja1@jaqrp.net
    ◆ 60周年記念式典の予約申し込みは jaqrp_60y@jaqrp.net (会員のみ)

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    編集後記&近況報告

    #678 JA8IRQ 福島 誠

    ◆ 遅くなりましたが9月号(普通版)をお届けします。ハムフェア関係の記事が多かったため、そちらは別冊として先に発行しています。今月は期せずして製作記事がたくさん集まりました。

    ◇ JA8CXX 高野さんのような一から設計した回路で自作機を作るのは設計・工作とも技術力が要りますが、実績のあるキットを組みたてるのはそれほぞ難しくありません。ぜひ、簡単な送信機キットを作って、受信機と組み合わせて交信にチャレンジしてただきたいと思っております。

    ◇ QRP入門ハンドブックの表紙になったJH2HTQさんの「QP-7+JR599」という組み合わせもあります。(元記事はクラブ会報の2014年7月号にあります)。ちょっとした工夫で「自分だけのアマチュア無線機」ができあがります。

    ◆ 90㏄のスーパーカブで北海道を旅行中の会員 JI6LEV/1志氣さんが、今年も私の勤務先に来てくださいました。「QRP入門ハンドブック」お買い上げいただきました。

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    【図1】スーパーカブで旅行中のJI6LEV/1志氣さんとJA8IRQ福島

    ◆ 60周年記念式典の案内を一部書き換えました。懇親会の会費は6000円ではなく5000円でしたので訂正してあります。(10月18日追記)

    ◆ 10月号以降の原稿を募集中です。あなたの実験、製作、運用レポート、小ネタなどを編集部あてお送りください。パソコンが苦手な方は福島あて直接の郵送でもかまいません。(住所はMLや紙版会報などで確認してください。)宛先は qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。