JARL QRPクラブ会報 2020年3月10日発行 vol.62-05
JARL QRPクラブ会報 2020年3月10日発行 vol.62-05
No. | 2020年 3月号 目次 | コールサイン | 筆者 |
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1 | 【運 用】【奄美の島でけんむん(注1)と遊ぶの巻】 | JR3ELR/1 | 吉本 信之 (Nobuyuki Yoshimoto) |
2 | 【運 用】冬の庄内寒中打電の巻 | JR3ELR/1 | 吉本 信之 (Nobuyuki Yoshimoto) |
3 | 【お知らせ】2019QRPコンテスト参加者からのコメント | JA8IRQ | 福島 誠 (Makoto Fukushima) |
4 | 【お知らせ】QRPクラブからお知らせ | JA8IRQ | 福島 誠 (Makoto Fukushima) |
5 | 【編集後記】 | JA8IRQ | 福島 誠 (Makoto Fukushima) |
【運 用】奄美の島でけんむん(注1)と遊ぶの巻
#0033 JR3ELR/1 吉本 信之
請島(うけじま・注2)に上陸して打電交信を成功させ、奄美諸島有人島全島運用を達成しました。
今回の渡海日は北風による欠航が多発する12月15日日曜日の日帰便が出る日です。前日奄美空港経由宇検村の海辺でロケの良い定宿に入り機材の最終点検を兼ねて試験運用を行います。上陸予定の請島は島民数が実質50人に満たない島で機器の故障や欠品があると致命傷で再挑戦も困難を極めます。2階の窓から30mLWを海の際の手すり迄伸ばして4交信済ませて点検OKとしました。
【写真1】
【島随一の展望台】
15日当日は12月には稀な晴、無風、凪(なぎ)の絶好の日和でしたが過信は禁物絶対に当日中に奄美大島本島に戻らないと確実に島に幽閉されます。船の出航時刻10時には少し時間があるので奄美大島一の遠望地、高知山展望台に寄り道して加計呂麻島とその先の海の状態を確認しました。(写真2)
【写真2】
【請島打電】
「島人だって酔う!!時化(シケ)の時は乗らん。」と言わしめた町営船せとなみ。逆に奇跡が起きた冬の凪の日帰り船には満席近い20名程の客を乗せて出航しました。
船の向かう先、請島と隣の与路島は奄美群島の有人島で一番行きにくい島です。それだけに時空を超えた出会いが待っていました。(写真3,4,5,6,7)
【写真3】
【写真4】
【写真5】
【写真6】
【写真7】
昼飯と打電の場所は墓地前のゲートボール広場の端、木陰のベンチです。後ろの木の枝に「ハブ棒(注3)」を拝借してワイヤーを引っ掛けて帰り船が来る迄の間打電しましたが、非常事態発生!!前日迄動いていた15年以上使い倒した割箸パドルが錆で符号が出なくなっています。即座に使い捨てのT字カミソリで接点を磨き5分程度の中断で打電を再開し7/10MHzで13交信をこなして島を後にしました。
【写真8】
【けんむんの住む家で】
与路島、請島の渡海は飛行機と船の都合で奄美大島側で前後1泊が必要です。今回奄美大島で最後の一泊に選んだのは奄美大島の中で空港から一番遠い秘境「白浜集落」のハブが住み着く古民家です。冬場のハブは動きが鈍くさほど心配しませんが、便所とふろ場と寝室は念を入れて確認しました。夏場だと奄美の古民家は天井裏からネズミとハブの戦いが聴こえてくることがあり賑やかですが冬場は静かで安眠できます。アンテナは「けんむん」が住む樹齢百年超えのガジュマルから垂れ下がる気根に備え付けの「ハブ棒」でワイヤーを引っ掛け3.5/7MHzで8局交信しています。(写真9,10)
【写真9】
【写真10】
de.JR3ELR/1
注1:沖縄全般の「きじむな」、大宜味村の「ぶながや」と同じ赤い髪の子供の妖怪、宇検村付近は河童の恰好をしています。
注2:鹿児島県奄美大島の南に位置する50人ほどの島です。
注3:全長2mほどの堅い木の棒。根元の太い方を赤く色付し、この部分でハブの頭を一撃で仕留める。ハブの格好の産卵場になる珊瑚を積んだ塀に立てかけてあります。
【冬の庄内寒中打電の巻】
#0033 JR3ELR/1 吉本 信之
2019年の旅の締めは奄美のはずが、往復4100円の激安価格に思わず釣られて12月18日から気温差-20℃の冬の山形県の日本海側、庄内平野へ一っ飛びして一泊二日の打電旅をしてきました。
今季は幾ら暖冬だといっても12月の月山(写真1)、鳥海山(写真2)は真っ白です。
【写真1】
【写真2】
無線道具は何とか耐えていましたが、10年間以上連れまわして酷使したSDカードは媒体エラー!!
庄内の地でオシャカになりました。(写真3)
【写真3】
日暮れ直前の人影が途絶えた鶴岡城址公園で2局(写真4)、外気温3℃の加茂水族館で1局(写真5)の交信を済ませて2003年以来ご無沙汰だった庄内平野を後に2019年の旅のしめくくりとしました。
【写真4】
【写真5】
加茂水族館の光る下村クラゲ(注)とミズクラゲの大水槽(写真6)に感激しまくった庄内平野の旅でありました。
【写真6】
注:ノーベル賞を受賞された下村博士が研究した発光クラゲ。
de.JR3ELR/1
【お知らせ】2019QRPコンテスト参加者からのコメント
昨年11月3日に行われたQRPコンテストの結果が公開されました。
このコンテストは交信相手もQRPであることが条件であり、また自作部門があるなどユニークなものとして人気があります。
今回の結果はマルチバンド自作部門一位が7K1CPT/1さん、マルチバンド一般部門一位がJJ1NYHさんでした。詳しくはこちらのPDFファイルをごらんください。特に自作部門の第一位は運用・自作ともに優れた技能を持つ「QRP名人」として栄誉を讃えたいと思っております。7K1CPT/1山田さん、おめでとうございます。
参加者のコメントの中から自作部門の会員が書いたコメントを紹介します。(JA8IRQ)
7L1WRK/1
午前中、団地の美化ディに参加していたため 3時からの参加となりました。交信いただいた各局ありがとうございました。
デジタルモード (FT8等 )のように既存の電信電話以外の QRP運用に適したモードによる部門や 144、 430MHzのハンディ機で参加する部門なども QRPコンテストの新種目として開催してはどうでしょうか。
次世代をになう若手アマチュア無線家のモチベーションアップにつながるのではないかと考えております。
Rig: 50MHz自作機、 QRPリニア
【写真1】7L1WRK/1さんの50MHz自作機、 QRPリニア
【写真2】7L1WRK/1さん運用の様子
【写真3】7L1WRK/1さんのアンテナ
JA0IXX
9月に製作した 954(Acorn管 954のAutodyneで 4時間ほど参加しました。
7MHzはスキップしていて聞こえたのは専ら 6や 8中心でしたが、スーパーヘテロダインで聞こえる局はこの 0V1で全部了解できるし、混信やドリフトの問題も無くエンジョイできました。
Condxが良ければもっと楽しめたでしょう。
オートダインは周波数の引き込みで送信機のゼロインがやり難いのですが、システム改善と操作訓練が奏功し手際よくこなすことができました。
今回は 100年前黎明期のアームストロングの回路と 1943年製の真空管を組み合わせて参加しましたが、新たな気付きもあり有意義でした。交信してもらった方々有難うございました。
Rig: 終段 VMP4 出力 4.2W, Autodyne(954 954)
【写真4】JA0IXXのリグ一式
【写真5】オートダイン受信機
【写真6】エーコン管のオートダイン受信機内部
JA1KEG
2Wで始めようと思いましたが、結局5Wでの参加になりました。
Rig: K2
JA3KQN
夕方までの運用でしたが楽しめました。次回は 1W, 0.5Wなど更に出力を下げて運用しようと考えています。
Rig: KX1
JA4MRL
今回はCONDX悪かったですね。呼んでも届かないことが多く QSBも深くて応答のタイミングが難しかったです。
Rig: K2
JA4NUE
他の行事と重なり 時間が取れなく1局のみの QSOでした。
Rig: KEM TRX7
【写真7】JA4NUEのトランシーバ内部
【写真8】JA4NUEのトランシーバ外観
JA5DIM
コンディションがさっぱりなので、 7MHzシングルバンドでエントリーしました。最近時間が取れなくてあまり運用していなかったので、久しぶりに楽しむ事ができました。
QRPコンテスト参加局以外はあまり聞こえず、 QRMに悩まされずにのんびり運用できました。
Rig: K1
JA8CXX
7メガバンドは夕方に国内スキップとなりましたが、コンテスト終盤の 20時過ぎには再び 1、2、 9エリアが入感して交信できました。
コンテスト時間の短縮を要望する意見もあるようですが、私は時間が長いほうが刻々と変化するコンディションを楽しめて好きです。
Rig: 2014年自作の7MHz CW TRCV
【写真9】JA8CXXの自作7MHz CW TRCV
【写真10】JA8CXXのQRPシャック
JF1XVD
時間がなくてやっと参加。
Rig: 2SC1971約2W
【写真11】JF1XVDの自作50MHzトランシーバ
【写真12】自作50MHzトランシーバの内部
JH4GCN
強力に入感している各局をよびました。20QSOもでき満足です。楽しく交信できました。ありがとうございます。8エリアと交信できて感激です。
Rig: 0.5W 7MHzTRCV(2SC2053)
【写真13】JH4GCNの7Mトランシーバ
JH6KEE
パワーを少し絞って楽しみました。
Condxが悪いのではないかと心配していましたが11QSOも出来ました。
Rig: SST 40
【写真14】JH6KEEのSST40内部
JK1TCV
QRP 5Wで参加しました。
Rig: K2
JR1CHU
楽しい QRP TEST有難う御座いました 7MHzのCONDXが下がってからの参加でした。
Rig: mcHF
JR2BMU/1
使い始めてまだ半月しか経っていないのでお試しで参加しました。計 6局でしたが、各地の方々と無事に交信できて満足しました。
Rig: CW bear 7MHz(オリジナル )
【写真15】JR2BMU/1の自作CWトランシーバ
JR7SOX
コンディションは良くなかったですが楽しめました。
【写真16】JR7SOXのKD1JV Tri Band CW TRCV
JJ1FHR/1
天気予報が心配でしたがなんとか持ちこたえてくれました.山での運用ということで短時間で集中して運用しました.
RIG:7 21 50MHz 3バンド TRCV(RD06HVF1) 50MHz 1W
JN3DMJ
集計ありがとうございます。当局は常時 QRP 運用ですが、このコンテストでは交信相手が全て QRPなので興味深く楽しめました。
また多くのクラブメンバーと QSOすることができ FBでした。 QSO頂いた局ありがとうございました。
Rig 1.9MHz; TX:2SC2078 (5W), RX; FT 817ND, 3.5MHz; 2SC2078 (5W)、 RX; FT 817N, 7MHz; SST40改造(2W)
【写真17】JN3DMJ自作3.5MHz用送信機
【写真18】JN3DMJ自作1.9MHz用送信機
【写真19】7MHz; SST40改造(2W)送信機
以上
【お知らせ】 QRPクラブからのお知らせ
#0678 JA8IRQ 福島 誠
★ 新役員が決まりました
2月25日付けで選管からの発表があり、以下の新役員が決まりました。
4月以降は3年の任期で新役員がQRPクラブの運営にあたります。
- 会長 JR1QJO 矢部 伊知郎 (当選)
- 副会長 JE1ECF 斎藤 毅 (当選)
- 事務局長 JN3DMJ 松本 貢一 (当選)
- 会計 (立候補なし )
- 監査役 JR7HAN 花野 峰行 (当選)
- JE1UCI 冨川 寿夫(当選)
※現会長の「JA8IRQ 福島 誠」は3月末をもって退任となります。★会員継続手続のご案内
QRPクラブの会員は、毎年正員としての会員資格を更新するしくみとなっています。4月以降も正員であることを希望する会員は、QRPクラブのウェブサイトにある『新規入会・会員継続申込』から所定事項・近況報告をご記入の上、申込をお願いします。
住所やメールアドレスなど会員情報に変更がないかたは、記入を簡略化できるようにいたしました。また、申込時に連絡先のメールアドレスにメールを送ることでアドレスの記入ミスがわかるようにしました。会員継続の手続きがない場合、4月より準員となり会報への投稿や会の活動への参加に制限があります。
なお、近況報告は会員の年1回の活動報告で、会員継続の条件でもありますので忘れずにお書きください。近況報告はメールニュースなど会報に掲載させていただくことがあります。
退会したいという会員は役員会あてメール(qtc@jaqrp.org @は@に修正してください)に退会届を送ってください。● 会員継続手続きがエラーが出てうまくいかないというメールが時々届きます。どうもシステム上のエラーのようです。お手数ですが、時間をおいて何度かやってもうまくいかない場合は役員会 qtc@jaqrp.org (@は@に置き換え)までお知らせください。
★ QRPクラブに関する連絡先のメールアドレスは以下のとおり
◆ QRPクラブの活動全般についての質問、ご要望、ご意見は qtc@jaqrp.org (@は@に置き換え、以下同じ)までお願いいたします。このメールは役員と監査役に届きます。メールには役員から必ずお返事を出します。
◆ アワード関連についての問い合わせ先はアワード担当へ award@jaqrp.net
◆ コンテストについての問い合わせ先はコンテスト担当へ contest@jaqrp.net
◆ 会報への投稿などについては編集部へ qrpnews@jaqrp.net◆4月以降の原稿を募集中です。あなたの実験、製作、運用レポート、小ネタなどを編集部あてお送りください。原稿にはテキスト、またはワードの文書で何枚かの画像を添えて、メールでお送りください。宛先は qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。
編集後記&近況報告
#0678 JA8IRQ 福島 誠
◆今回は一人で編集してみました。もう一回くらい今月中に発行する予定ですが、4月以降は新事務局長のJN3DMJ松本さんが編集担当をやってくださることになっています。
再免許はしたものの、TSSへの保証認定の書類(電子申請)がなかなか書けません。これもあまり先延ばししないようにしなくては。