JARL QRPクラブ会報 2015年7月18日発行 Vol.58-4
No. | 2015年7月号 目次 | コールサイン | 筆者 |
---|---|---|---|
01 | 2015 CQ-WPX-CWコンテストと オートダイン受信機 |
JG3EHD | 西村 庸 |
02 | 10回目のJD1小笠原 報告編 | JE1ECF | 斎藤 毅 |
03 | 60周年記念キットの開発進捗 | JE1ECF | 斎藤 毅 |
04 | 21MHz DSB QRPp機の製作 | JG1SMD | 石川 英正 |
05 | QRPなDXの世界 | JA1KGW/JA2OP | 青山 憲太郎 (Kentaro Aoyama) |
06 | 小ネタ:マイクジャック用ナット回し | JG3ADQ | 永井 正範 |
07 | 圧着端子の事 | JO1UBD | 丸山 裕二 |
08 | 【速報】 ハムフェア2015 小間抽選会 in 東京ビッグサイト |
JE1ECF | 斎藤 毅 |
09 | 第3回 北海道ハムフェア出展のお知らせ | – | – |
10 | 編集後記&近況報告 | JO1UBD | 丸山 裕二 |
11 | 編集後記&近況報告 | JA8IRQ | 福島 誠 |
2015 CQ-WPX-CWコンテストとオートダイン受信機
#979 JG3EHD 西村 庸
5月30日~5月31日に開催されたCQ-WPX-CWコンテストに14MHzモノバンドQRPpで参加しました。
宇宙天気情報センターが発表している太陽黒点数のデータを見ると、昨年に比べ最近は黒点数(SSN)が減少しています。
最大値は150を超えてますが、底では10台。上り下りはジェットコースターのようです。しかも100超えはそれほど長く続いていません。
この時期にQRPp(公称出力400mW)とホイップANTでQSOできるか確かめました。
私の電力計は最小レンジが5W、最小目盛りは0.5Wですからこのあたりの誤差は大きいです。
送信機の出力端子に51Ωの抵抗を接続し、両端の電圧を測って求めた値が約400mWです。実際にANTに行ってる電力は不明ですので公称出力としておきます。ANTは全長約2.9m、高さは約35mです。
QRPpでのコンテスト参加は昨年のIARU-CWコンテストについで2度目です。
これだけでは面白くないので、受信機は後述するオートダイン受信機を使いました。
この受信機を使った結果としては大失敗、現在ではコンテストにはとても使用に耐えないシロモノでした。
結局受信機はダイレクトコンバージョン(DC受信機)+クリスタルコンバータの組合せとなり昨年のIARU-CWコンテストと代わり映えしなくなりました。
初日は6:00UTC頃から受信のみオートダインで四苦八苦、2日目は6:00UTC頃からオートダインをあきらめ約3時間ほどQRVしました。
結果は6QSOで内4QSOは”太平洋横断”ができました。初日のSSNは27、2日目は47でした。(昨年のIARU-CWコンテスト時は100を超えていました)
このコンテストの1週間後には100を軽く超えていましたので、少しタイミングが悪かったようです。
ローカルのOMは「QRPは受信する側にもマルチを与えないといけない」と言います。
まさにその通りです。弱い信号を受信してくれてこそ初めてQSOが成り立ちます。
QRPでDXCCが300出来ても、半分は受信してくれた局のおかげです。
コンテストはコールサインと数字の交換だけですが、QRPpでは応答があると不思議に感じます。
しかしこれから太陽活動が衰えると、今まで通り楽しめるかどうかわかりません。
オートダイン受信機
コンディションが悪くてQSOできないなら元々と思い、最初オートダイン受信機を使用しました。(図1オーディオ部分省略、写真1~4)
使用したFET3SK39は、ジャンクのFMチューナフロントエンドユニットからの取外し品で初期のMOS-FETです。
この受信機は約6.5MHz~11MHz付近まで受信できますが、プラグインコイル式のため今回14MHzバンドのほぼ全体をスプレッドできるコイルをデッチあげました。
コイルボビンは¥100ショップで見つけた子供用玩具(粘土細工の粘土を伸ばすローラ)にオクタルプラグを接着したものです。
再生コイルのタップ位置を調整し、早速SSGから信号を受信しました。
非常に静かな受信機です。ミキサノイズは無し、ノイズっぽいオーディオICも使ってないので少しゲイン不足ですが静かな受信機です。
検波器の再生を強め少し発振させて0dB(1μV)を入力すると、ビート音はR5、14MHzでも十分使えそう・・・とこの時点では思いました。
ANTを接続し実際に受信してみると、聞こえてくるのはキークリックのみ!です。
しかもダイヤルを回しても同じ。どの周波数を受信しているのか不明です。
クリック音でもコールサインと数字は判別できますが、自分の送信周波数を相手にあわせるのが不可能です。RFゲインを絞ってもATT(1/10程減衰)をONにしてもほとんど効果なしです。少し弱い信号を受信してもチャピッて聞こえます。
夕方近くになると今度はダイヤル1面で短波放送を受信。老舗の短波放送局が次々と閉局しても未だ健在な局は多いです。「大昔はこれでQSOができた」というのは信じ難いです。
しかも当時はRF増幅なしで検波コイルにリンク結合で直接ANTを繋いだ受信機も存在したというのは現在では考えられません。昔の短波帯はとても静かで局数も僅かだったのでしょう。SSGを接続した時と同じ状態かもしれません。
オートダイン受信機の実用性(CWによるQSO)
現在では”実用性なし”と言えます。特にコンテストでは全く無しです。
再生検波/発振が強力信号に無防備なのと相手の信号に周波数を合わせるのがほとんど不可能です。周波数がずれると呼んでも全く応答無し。トランシーバ全盛時代ですから当然のことで、通常は自分の送信周波数以外を受信する局はいません。
バンドスプレッド無しですが、7MHzを受信すると運がよければ何とかDXのCWは受信できました。(Wの西海岸は結構聞こえます。)
送信機と組合わせず受信機だけの単独使用ならかろうじて(CWのみ)使えます。
オートダイン受信機は入門用?
昔はそう言われていました。しかしベテランが作るのと初心者が作るのとでは性能が大違い!とも言われていました。
入門者向けなら誰が作っても性能に大差ないはずでこれも”誇大宣伝”の疑いありです。現在ではダイレクトコンバージョン受信機が入門用でしょう。
もっとも現在ではハムの入門に受信機を作る人など殆んどいないと思います。技適対応のトランシーバ全盛時代です。
それでもオートダイン受信機を実用化する!!
自作機器はシャックの飾りやQSLカードの写真のネタではありません。
実用し、動態保存をしないと何の意味も無いと思っています。以下は私の想像。実現性は?です。
1.再生検波/発振のFETへの入力レベルを自動的に制限する。
検波器のダイナミックレンジが極端に狭いので入力レベルは10μV位とする。
高速アタックのAGCでフロントエンドのPINダイオードを制御する。
”信号の強弱に関係なく同じ大きさで聞こえる”位の性能が必要です。
2.再生発振のヒステリシス特性の改善
この対策のアイデアは無しです。これが原因で強いCWは受信ができてもすぐ
にキークリックになってしまいます。
1.を解決すれば改善されるでしょうが、再生発振のツマミをギリギリの位置に
調整すると困難です。
3.135KHzや475KHz帯で使用する。
スーパーヘテロダイン登場後も中長波帯では実用されていました。
但しコイルの製作は少々困難です。
4.AMでローカルQSO専用とする。
以上のうち4が最も可能性がありますが、SSB受信は無理としてもCWのDX通信用として実用にしたいです。
参考文献は下記の1)、と2)です。古くはタマを使用した例ばかりで、ソリッドステート使用例は少ないです。
1)CQ ham Radio JA1FG 梶井謙一 CQ出版 1977年?月号
2)電子展望 鳥取大学 松岡節 誠文堂新光社1978年3月号
【図1】回路図
【写真1】前面パネル
【写真2】内部
【写真3】内部
【写真4】コイル
編集担当から
西村さん、投稿ありがとうございます。
”オートダイン”は、ハムを始めてからずっと後の方で聞いた言葉でした。”レフレックス”、”超再生”はハムになる前に聞いた言葉でした(子供の科学誌のカマボコ板工作シリーズ)。さて、ここ最近は受信機を作った記憶が無いので、年末までに計画したいと思います。日本での唯一の短波放送であるラジオたんぱ(ラジオNIKKEI)は、インターネット配信の”radiko”で聞いています。”radiko”だと何故かステレオで配信されています。(JO1UBD)
10回目のJD1小笠原 報告編
#696 JE1ECF 斎藤 毅
2006年クラブ50周年記念ペディションから毎年行っているJD1移動運用も、今回で10回目となりました。
今回は初心にもどり、記念局運用に徹しました。
皆さんもご存知の通り、交通手段は船しかなく、片道25時間半かかります。
写真1
船でのすごし方は悪天候時をのぞき、日中はMM運用、夜はログ整理(PC入力)になります。正式に船舶会社に許可をとって運用しているのは私ぐらいでしょうか。
船での運用場所はAデッキ後方(写真2)の船舶アンテナから最も離れた位置です。
2013年まではAデッキ上部(写真3)を使用していましたが、2014年からはAデッキ下部(写真4、5、6)を使用しています。
Aデッキ上部は電波の飛びは抜群であるが、煙突からのスス、喫煙場所であること、アンテナの設置場所により航海中の風をもろに受ける、天候に左右される等のデメリットが多い。
Aデッキ下部は上部でのデメリットはなく、加えて、AC電源が使用できるメリットがあります。
おがさわら丸では船室や通路にACコンセントがあり、携帯電話の充電やノートPCの使用、バッテリーの充電が可能です。
今回から運用変更点は復路において、船内AC電源を使用しました。(写真7、8、9)
MM運用ではここ数年、通常運用と異なり、QSO中はGPSとにらめっこ状態です。そう、交信局ごとに異なる緯度経度を測定しています。
父島での運用は境浦ファミリーのシャックをベースに運用しています。シャックは改修工事が終わり、(写真10、11)アンテナ(ヘキサビーム:HFハイバンド&50MHz帯用で2エレ動作)も新調されていました。(写真12)
今回は三日月山ウェザーステーションでも運用しました。(写真13)
今回は日中のコンディションが悪く、昼間は原付で観光が出来ました。50MHzのコンディションには恵まれたようです。
【図1】運用許可願い
【図2】運用許可書
【写真1】航路
【写真2】運用場所
【写真3】2013年までの運用場所
【写真4】2014年の運用場所
【写真5】2014年の運用場所
【写真6】2014年の運用場所
【写真7】電源ルート
【写真8】電源ルート
【写真9】電源ルート
【写真10】シャック
【写真11】シャック
【写真12】アンテナ
【写真13】三日月山ウェザーステーション
【おまけ1】
【おまけ2】
編集担当から
斎藤さん、移動運用お疲れさまでした。
海上伝搬は飛びそうですね。子供の頃に、東京~松阪間にフェリーがあったので、お伊勢参りでよく乗った記憶がありますが、さすがにムセンをやるような発想はありませんでした。
最近は花火大会の見物で、たまにプレジャーボートに乗る機会があるので、マリンVHFが操作できるように8月の四海通、9月の三海通に挑戦予定です。(JO1UBD)
60周年記念キットの開発進捗
#696 JE1ECF 斎藤 毅
まず、名称略名の変更 JA-P60 ⇒ JP-60 としました。
次に、CYTECさんよりデモ機完成の報告(写真送付)がありましたので会報へ掲載します。
デモ機には手持ちのケースが用いられています。255x200x50mmと言うサイズです。
Sメーター(レベルメーター)は入手できた個数や形状のばらつきがあります。
よって、メーターのケース加工穴は施工できません。
また、アナログメーターのほか、LEDレベルメーター用のICの提供もあることから、オプション対応となります。
開発当初、2SC1815Yの使用を想定し部品購入を済ませています。開発時にGRランクで可能となりましたがキットではこのままYランクを採用したいと考えています。
これまで3回、基板を起こし現在に至っています。基板化する度に異なった問題が生じたようですが今回のデモ機にこぎつけています。
6月20日に久喜を訪れた時に当該デモ機を拝見しましたが、以下のようでした。
①実際に受信音を聞いてみると夏場のコンディションと言うこともあり、DXや国内が結構聞こえていました。(21.134~21.224MHz程度)
②今回、AGCを介したあとにSメーターを振らせていますが、S5程度まで振れが重く、それ以上ではコンスタントに振れているようでした。ミズホのSB-8Xを思い出しました。⇒メーターの触れについては改善依頼をしました。
※今回、DC受信機にAGCを盛り込むということを初挑戦しています。CYTECさんからはもう少し時間がほしい旨、言われましたが開発時間に制限があることから、使用可能レベルに留まっています。
③AFボリュームを回しきった時にやや発振気味になっていました。CYTECさん的には改善したいとのことでしたが、受信機を音量最大で扱う頻度を考えると目をつぶってもいいと思われます。又、イヤーホンではこの発振は再現しませんでした。
④中国放送の回り込みについての100%解消は不可能のようです。以前の試作機や自分の自作機と比較すると軽減はされているようです。
⑤出力についてはドライブTrのftが高いことでパワーを得ようとすると発振しやすいことから1Wをやや切る値に留めているとのことです。
今後の作業予定
①デモ機が出来たことでデータの整理を行っていただいています。回路図の修正が終わった時点で部品収集(抵抗、コンデンサ、受動部品)、セット構築を行います。
②取説の作成
③ケース選定後に穴あけ作業
④記念モデルステッカーのデザイン完成
⑤ハムフェアでデモ機の展示と頒布受付
【写真1】前面
【写真2】背面
【写真3】内部
【写真4】メイン基板
【写真5】VXO基板
編集担当から
”やや発振気味”との現象は、スピーカーからの振動ですかね。ディップメータの筐体を叩くと機械変調がかかるのと同じ原理かと思いました。(JO1UBD)
21MHz DSB QRPp機の製作
#988 JG1SMD 石川 英正
JE1ECF斉藤さんが、JapanPepper-60プロジェクトに取り組んでおられますが、たまたま私もこの年始の時期にJF1RNR今井OMの著作を参考に、21MHzのDSB QRPp機を作っておりました。
JP-60プロジェクトとは内容が異なりますが、先日初交信ができ、改めて自作機の楽しさを自覚しました。JP-60はもっと出力があり、受信部のつくりも違いますので相当期待できると思います。
【ブロックダイヤグラム】
水晶発振子、バリコンほか、主要な部品は秋葉原のパーツ屋さんで探しました。
VXOはあまり欲張らず 60kHzくらいの可変域にとどめています。
DC受信機は結構な感度があって、VK/DU/YBなどのDX局も聞こえてきます。しかし中国局の混信がどの周波数にも入ってくることがあり、高周波増幅段の感度は抑えざるを得ませんでした(少し抑えるとあまり気にならなくなります)。またLCの低周波フィルターを入れていますが、これで耳障りなノイズがバッサリ切れてとても聴きやすくなりました、耳心地よくなった感じです。
アンテナは電圧給電型の垂直アンテナ(Zeppアンテナを縦にしました)で、エレメント長は約5mで釣竿に沿わせたもの、本体のRF出力は500mWになりましたので、サイドバンドあたりでは250mWです。電源には小型の鉛蓄電池にしました。
このセットを利根川の土手に持っていき、夏至直前の日曜日に初めて国内局とのQSOに挑戦しました。コンディションは上々、さまざまなラグチューが聞こえてきます。5エリアの移動局を呼んでhis59-my52で初交信成立。その後4エリアの移動局とはカスカスでしたが何度かの確認の後にやっとRSレポートの交換が出来ました。
この出力でも 楽しめますので、JP-60プロジェクトにはとっても期待しています。
【21MHz DSB QRPp機内部】
【21MHz DSB QRPp機内部】
【運用時の様子】
【電圧給電型アンテナ】
編集担当から
石川さん、投稿ありがとうございます。
石川さんも21MHz/DSB機に刺激されたようですね。21.250MHzの水晶は、aitendoの水晶でしょうか?
以前にサトー水晶の10.700MHzを2逓倍して15mDSB機を製作しました。(JO1UBD)
QRPなDXの世界
世界のQRPper
#377 JA1KGW/JA2OP 青山 憲太郎 Kentaro Aoyama
~GM3OXX/QRPper、Georgeさんの自作シャックなどの紹介(No.2)~
“海外のQRPer(No.1)の紹介をJA2LDP/QRPpのJT65運用の若原OMの紹介からスタートしました(日本も世界の中の一つの国)。しかし、JA1KGW局が5Wで QRP QSOの運用を始めたのが、1993年6月12日で、03:47 JST 21.310MHzでG3NSY、FredさんとのQSOが初めてでした。このとき相手のG3NSY、Fredさん、FT-101、100Wリグと3エレメント八木との組み合わせでした。その後、JA6PA、原田OMとの出会いから2WAY QRP QSOの運用を意識的に開始して、1997年5月18日、19:20JST 14.025MHzでBV7FC/QRP、
Leoさんとの2WAY QRP QSOが記念すべきQSOとなりました。
今月の“海外のQRPper”はNo.2として今までも折に触れて紹介をしてきたGM3OXX/QRPper、Georgeさんの自作シャック及び手紙などを紹介します。
第1回目の2WAY QRP QSOは2000年9月5日、05:55 JST、14.058MHzででした。GM3OXX/QRPper、Georgeさんは、自作の1WリグとDPとの組み合わせでした。爾来、2011年9月14日、21:02 JST、18.086MHzでの2WAY QRP QSOまで33回を行いました。下記のGM3OXX/QRPper、Georgeさんからの27回目のQSOの時、JARL経由で届いたQSLカードです。
【QSLカード裏】
【QSLカード表】
QSLカード裏面での記入文字は必ず赤ペンです。QSLカードの表面の絵柄は何時も同じでレシーバーを耳に当てた“わんちゃん”です。このレシーバーにはG-QRPクラブの会員番号126と書かれています、因み、JA1KGW局のG-QRPクラブの会員番号は10861ですから、素晴らしいOMさんであることが判ります。
Rigは自作の1W機で、アンテナは、広大な庭を利用した139メーターのループ・アンテナです。カードによれば、G-QRPクラブのQRP MASTERを始めDXCC、WAC、WAS及びWAZなどを獲得していてアクテイブな運用が忍ばれます。電波伝搬状態の良いサイクルの最盛期には、所謂“QRP ウィンドウ 周波数”でCQをだしていると良くGM3OXX/QRPper、Georgeさんから呼ばれたことがありました。JARL QRPの多くのOMさんがGM3OXX/QRPer、Georgeさんと2WAY QRP QSOをされていると思います。Georgeさんとの素晴らしい逸話があればご紹介をください。
【GM3OXX/QRPp、Georgeさんからの写真】
次に、GerogeさんからQSLカード、手紙とともに到着した写真2葉のうちの1葉を紹介します。四分割された写真で住居の全貌、綺麗に整備されたシャック、工作室がうかがえます。シャック及び工作室は、自作の木製棚に生成とされている機器が見られます。特に、左右上の写真がシャックですが、上段の棚の中央にアンテナ・マッチング回路及びバンドごとの調整用コイル、中段棚には、各バンドごとの自作1Wリグが整然と配置されています。”シンプル イズ ベスト”を絵に描いたようなシャックで本当に素晴らしいと感銘を受けています。
これらの自作のシャックの内容を説明したGeorgeさんからの手紙は、次の通りです。
【手紙1】
【手紙2】
特に興味が引かれた点は、GM3OXX/QRPper、GeorgeさんのQSLカードがe-BayのQSLカードのコレクター・マニュアのサイトでは1枚が9ドルで売買されていると言うことです。私の手元には、既に30枚以上ありますので、総額が300ドルということです。差し当たりはe-Bayその他のオークションに出品するつもりはありません。Hi
編集担当から
青山さん、いつもありがとうございます。
Georgeさんの写真を見ると、工作室にある”ボール盤”を備えているとは、相当な自作家かと思いました。また、QSLカード売買の市場も知りませんでした。
QSLカードのデータ欄は僕も手書きで、ラミーのブルーブラックのインキを使って万年筆で書いています。それゆえに発行が遅れています、Hi。(JO1UBD)
小ネタ:マイクジャック用ナット回し
#58 JG3ADQ 永井 正範
マイクジャックのナットには外周がセレーション(ギザギザ)になった物があります。
ラジペンで挟んで回す時、力を入れすぎるとセレーション部に傷が付いてしまいますが、さりとて専用の工具は売っていません。
そこで、M5用のワッシャを加工して写真のような工具を作りました。ワッシャは外径12mm、内径5.5mm、厚み0.8mmで、外端から4mmほどをカットし、内径部分は幅6mmにヤスリで削って拡げればできあがりです。指で挟んで回しますが、力を入れにくい場合はペンチで挟んで回せば良いでしょう。
【写真1】マイクジャック
【写真2】加工方法
【写真3】使用方法
編集担当から
永井さん、いつもありがとうございます。
僕も最初はラジペンで回してましたが、最近は写真のような”スナップリングプライヤ”を目的外使用で利用しています。たまたま車イジリで使っていたものです。(JO1UBD)
【写真4】スナップリングプライヤ
圧着端子の事
#993 JO1UBD 丸山 裕二
今月は移動運用とハム工作はお休みして、先日の会員MLでJR4EDG有田OMから指摘のありました”圧着端子の圧着処理後の半田付け”について振り返ってみましたので、報告致します。
5月号で報告したバランを組み立てる際に、平衡出力には圧着端子を使用して、4本のビニル線の銅リード部分を撚ってから圧着処理を行っています。その際に、説明書では”…各端子にハンダ付けします。”とありましたが、僕は圧着処理後に半田付け仕上げをしています。本来は圧着処理のみで良いハズ=何の為の圧着処理なのか等、プロの皆さんからお叱りを受けそうですが、ここの箇所はケース内へ密閉する=可動箇所では無く、また、大電流な箇所でも無いので、圧着処理と半田付け処理の両方をしています。他のケースとして、Rigの電源ケーブル(3.5sqや5.5sqなど)や、可動するような箇所(例えばクルマのエンジンルームに取り付ける後付けアーシングケーブルなど)では、半田付け仕上げは行ってません。逆に、6sqや10sqくらいのケーブルになると、半田付けをするにも相当大きな半田コテが必要になるかと思います。
過去にバラン組立て時に、写真1のような圧着時の断線を経験しています。12本/0.12mm(0.14sq)が4本=0.56sq、”R1.25-3″の規格=0.25~1.65sqの範囲内でしたので圧着処理を行いました。圧着処理により素線自体を潰し切ってしまったのではと思います。そうしますと、逆に圧着処理は行わずに、説明書通りの半田付け処理だけの方が良いのかもしれません。
【写真1】圧着処理時に断線
日常のハム工作の範囲では、写真2のような圧着工具(1.25、2、3.5、5.5の4種類のコマ)で十分に事が足りています。また、ストックしている端子も4種類だけ。数年に一回程度な新品Rigを買った際は、添付の電源ケーブル用として写真4のような”Y型”を数個調達してから帰宅しています。Y型だと安定化電源への接続時に、ターミナルを緩めるだけで済むので好んで使っています。
【写真2】ハム工作はコレで十分(一生持つかと思います)
【Y端子とR端子】
さて、”圧着端子 半田付け”でネット検索をしてみますといろいろと見付かります。多くは圧着処理後の半田付けはNGというのが大半ですが、発熱したという経験談もありました。僕も接続部の発熱は以前に経験がありますが、原因は圧着端子を端子台へネジ締めの際のトルク不足でした。直流48Vで100A程度の箇所で、発火には至りませんでしたが、60度程度に発熱していました。もっとも大電流な箇所(48V/1,000A以上など)では、端子の接続箇所には感熱シールを貼って外観から発熱を発見できるような仕組みがありますので、発熱な現象はすぐに発見されて対策されるかと思います。
また、接地系統の配線では、未だにロウ付けで施工されているようです。特に地面へ埋めるアース銅板と接地配線との接続や等電位ボンディングの格子状結線も同様に、ロウ付けかと思います。新入社員の頃ですが、国外からフルターンキーで購入したシステムの設営時に来日した外国人から、接地系統の施工に巨大な銅板と接地線とを繋ぐ際に「take a weld」と言うので、タイカウエルドという名の材料製品が有って、それで繋ぐんだぁーと思って見学していましたら、鉄道の線路間を溶接する際に使用されるテルミット反応熱で”溶接”していました。その時の火花量にはびっくりした覚えがあります。大電流直流が短絡した時のような白い火花でした。
【海外製品のアースウィンドウの施工例】
最後に、バランキットを何個も作る事により失敗して学ぶ事が多くありました。僕の守備範囲は工担AI・DD総合種/電通の伝送交換ですので、写真4のような接続構造が主流になっていて半田付けは行われません。今回の圧着処理ような電気工事士の範囲は無資格状態です。指摘/補足等ありましたらお願い致します。実技試験があるのでちょっと敷居が高いですが、リタイヤするまでには挑戦したいです。
【Uスリット接続】
【速報】
ハムフェア2015 小間抽選会
in 東京ビッグサイト
#696 JE1ECF 斎藤 毅
7月6日13時30分からの小間抽選会に参加しました。
受付後にくじ引きで抽選順番を決めます。今回は41番目の抽選となり、数年前に参加した場所と同等である場所をゲットしました。離れ小島です。
出展者証を購入すると準備日および当日は開場前に入場が可能です。出展者証は例年通り入口手前の左側にある運営事務局で販売しています。クラブ名を申し出、JARL会員証を提示し割り引き入場しましょう。さらに小中高校生は学生証を提示することで無料出展者証の受取が可能です。
※出展ブースに関する募集要項はQRPクラブニュース5月号に記載しています。ご参照ください。
【QRPクラブのブース位置はJ-25】
【小間抽選会模様1】
【小間抽選会模様2】
【小間抽選会模様3】
編集担当から
斎藤さんのクジ運の良さにより、とても良いロケですね。(JO1UBD)
第3回 北海道ハムフェア出展のお知らせ
9月5日~6日に札幌市で開催される北海道アマチュア無線フェスティバル2015に、QRPクラブおよび札幌QRPミーティングのブース出展がありますのでお知らせ致します。下記の図で赤色がQRPクラブ、隣の黄色が札幌QRPミーティングです。私も会場内にいる予定です。
(JA8IRQ)
【ブース位置】
編集後記&近況報告
JO1UBD 丸山 裕二
★お待たせしました、7月号をお届け致します。
★7月上旬に開催された6Dは、雨天でしたので常置場所から1,200MHzだけの参加となりました。2時間弱の参加で、最長が07Pと09Pでした。
8月のFDには晴天を期待したいと思います。皆様の6D参加報告をお待ち致します。
★アマゾン通販でも販売されているシャンテック電子の2石AMラジオキットを紹介します。最近のトラ技ではDSP処理のラジオが紹介されていますが、JG3EHD西村OMからのオートダイン受信機の投稿を見て、急にラジオが作りたくなりました(Trですけど)。コイルを変えて短波帯へ改造しようかと思います。
【ラジオキット(アマゾン)】
【ラジオキット】お子様への夏の自由研究教材に如何でしょうか?
★以前に紹介したエレクラフト社のRF信号発生器XG3。日本語版の取扱説明書が完成したようで、日本代理店のEDC社より送られてきました。
【XG3の取扱説明書】
★秋月電子に、最近見掛けなかった”生基板”と”ドリル刃”が出ていました。
【生基板は100mmx150mmx1mmで裏面にはエクール貼付け済み。ドリル刃は再研磨品】
★QRPニュースへの投稿は、qrpnews@jaqrp.net までお願いします。(@を半角へ変えて下さい)
編集後記&近況報告
JA8IRQ 福島 誠
みなさん、こんにちは。
QRPクラブ会長の福島です。
ラズベリーパイで遊んでみた(1)
ラズベリー・パイは名刺サイズの基板の超小型パソコンで、6000円以下で購入することができます。従来のArduinoなどのマイコン基板と違うのは、そのままでLinuxが動くことです。私の勤務先(書店)でよくお客様に聞かれるので正規代理店より仕入れてみたのですが、自分でも遊んでみることにしました
ラズベリーパイに関する情報は日経BP社からでているラズパイマガジンという雑誌が詳しいです。
Web上では以下のようなページを参考にしました。
パソコンとして使うならUSBキーボード、マウス、OSを書きこんだマイクロSDカード、HDMIケーブルとそれに接続するモニタ、そしてマイクロUSB型の電源、およびLANケーブルを用意するだけです。モニタは最近の家庭用テレビが使えますし、USB電源はスマホ用の充電器(1A対応のもの)が使えます。黒画面のコマンドラインだけでなくXウィンドウも使えますし、日本語入力システムもWebブラウザも標準で入ってますのでそのままネットワークに接続してFacebookなどを使うこともできます。
【画像1】各ケーブルを接続、電源はスマホ用。 | 【画像2】インストール中 | |
【画像3】スタート画面です | 【画像4】テレビにつないでyoutubeを視聴 |
「ラズベリーパイ」と「アマチュア無線」とでいろいろ検索してみると、デジタルモードで利用している人、FMワイヤレスマイクに使っている人、SDR受信機に応用している人などさまざまな実験が行われているようです。もちろん電子工作用に外部入出力用のピンも出ています。夏休みのちょっとした工作にいかがでしょうか?
JA1AA庄野さん、中日新聞で紹介される
当会の創立者の一人で名誉会員でもあるJA1AA庄野さんが7月15日の中日新聞朝刊で紹介されました。
(デジタル版へのリンク先はこちらです。もしリンク先が読めなければこちらの画像をみてください。)
以下は会長の立場を離れた福島の個人的な考えです。
庄野さんがおっしゃる通り、平和でなければアマチュア無線は遊べません。庄野さんは私の父親の世代にあたりますが、昔のCQ誌などを読んでいると多くの戦前のアマチュア無線家たちが戦場にいき、そこで亡くなった人も多かったとあります。
最近、気になっていることがあります。庄野さんやJH1FCZ大久保さんがやっておられるアマチュア無線家9条の会が今年のハムフェアへの出展を拒絶されたということです。ハムフェアの事務局は、今までずっと認めてきていたものを、なぜ、このタイミングで拒絶したのだろうか、と不思議に思います。
アマチュア無線家は世間的には変わり者とみなされており、QRPをやる人はその中でも、もう一レベル上の変わり者だと思います。もちろんQRPクラブとは関係がありませんが、アマチュア無線家9条の会の人たちもやはり世間的には変わり者とみなされているのでしょう。
私は、人はそれぞれ自分と違う考えを持つ人がいるということに対して寛容であってほしいと思っています。変わり者の小さい声も尊重される世の中であってほしいと思っています。その意味で、今回のハムフェア事務局の決定を残念に思います。
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