2013年3月号 Vol.55-11 3月25日発行
【News】4月26日~6月30日
国際QRPデー特別記念局が
全国5エリアで運用開始!
QRP Club編集部
国際アマチュア無線連合(IARU)第1地域では、1984年4月にイタリアで開催された総会で、 世界のアマチュア局のQRP活動を促進するため、「6月17日」を国際QRPデーと定め、 第1地域以外にも参加を促すことになりました。
これを受けて国際アマチュア無線連合(IARU)第3地域では、 1985年12月ニュージーランドで開催された総会で、6月17日を国際QRPデーと定めました。
JARL QRP CLUBでは、国際QRPデーを意義ある催しにしようと1997年より国際QRPデー特別記念局を開設し、運用してきました。
(過去の経緯はこちらにあります。)
現在は、QRPクラブの主催を離れて各エリアのQRP愛好者が開設をしております。
今年も4月26日から6月30日まで全国の5エリアでQRP記念局が運用されます。各エリアのWEBは以下の通りです。
ぜひ、この機会にQRP特別記念局と交信してみてください。
【FT-817 私の使い方】
FT-817用コンプレッサー内蔵スピーカーマイク接続器の製作
JH7OZQ/1 荒井克典
簡単に説明すると、FT-817をphoneモードで使用する際に使用する小物です。
などの願いを叶えます。
概要
FT-817は小型でとても性能の良いリグです。しかし、マイクの大きさとAMモードの変調には様々な意見があるようです。
原因究明や本体の改造などをせずに、とりあえず「そこそこいい感じにする手軽な小物」がこの接続器です。
3×4cm厚さ2cmの小さな箱は、FT-817運用の楽しさを広げるもう一つの提案です。
小さなマイクと言えば身近にある物としてスピーカーマイクがあげられます。
これを利用できたらいいのですが、コードを切るのはもったいないので接続器という発想になりました。
都合のいいことにスピーカーマイクはコンデンサーマイクを使っているので、ダイナミック型よりも少し高い音まで出ます。
これでAMモードで気になっていた音2のこもった感じは解消です。
さらに、小さな箱ですがコンプレッサーを内蔵して声をある程度一定にしたことで、音の割れた感じもALCによるキャリア出力の低下もほぼ解消しました。
ケース
(図1)ケース加工図 | (図2)モジュラーの穴を加工 | (図3)M8タップでねじ切り |
ケースはこの接続器の構造でとても大事な部分で、見た目も使いやすさも性能にも影響しますので、慎重に加工します。
回り込みなどの心配を減らすため、タカチESW-40Bという内部にメッキシールドしたものを使います。
まず2mm程度のドリルで穴をあけてから目的の大きさの穴をあけます。
モジュラーは丸穴を複数あけてから目的の形にやすりで削り、少しきつめになるように仕上げます。(図2)
スピーカープラグ取付部分はM8タップでねじ加工します。(図3)
プラグカバー取付ねじはピッチが違うため途中できつくなりますが、固定するには好都合です。
プラグとジャック
(図4) | 図5 |
3.5mmスピーカープラグの端子部分を短く切りケースに取り付けます。(図4)
その後リグに差し込んで確実に挿入出来るよう調整します。(図5)
(図6) | 図7 |
モジュラープラグは写真の矢印部分(図6)をやすりで削ります。
図8 | 図9 | 図10 |
モジュラープラグをケース内部からリグ本体に確実に挿入出来るようにします。(図8,9、10)
それぞれのプラグは瞬間接着剤で数カ所とめてから、多用途接着材でしっかりと固定します。
図11 | 図12 | 図13 |
スピーカーマイク用のジャック部分は、はじめに3.5mmジャックをねじで固定したうえで3.5mmプラグと配線します。
その次に2.5mmジャックをねじで固定すれば、狭い部分の配線も難なくできます。
また、3.5mmジャックがボックスの時は、ふたと接触する部分をやすりで削ってからねじ止めします。
回路製作
この接続器の全体の回路図はこのようになります。
(全体の回路図)
図14 アンプ基板の配置図 | 図15 リレー部 | 図16 ボリウム部 | 図17 モジュラージャック |
図18 | 図19 |
FCZのIC用基板を9つランドをつけて切ります。(図18)
リードの細い部分を切ったTA2011を基板にはんだ付けする。(図19)
図20 | 図21 | 図22 |
ICの3番ピンから抵抗器1kをはんだ付け。次は、チップ型コンデンサ0.01μを2個共はんだ付けします。
図23 | 図24 | 図25 |
その他の部品は配置図(図14)を参考に、すき間無くをはんだ付けして回路基板を完成させます。
電源供給、出力調整ボリウムに接続するコードなどを取り付けます。
図26 | 図27 | 図28 |
リレー回路はリレーの端子部に図15のように部品を配置し、はんだ付けする。
図29 | 図30 | 図31 |
出力調整ボリウム部分(図16)も製作して、
(1)アンプ基板
(2)リレー部
(3)ボリウム部
の順に両面テープでケース内に貼り付けて接続します。
FB-225に0.3UEW線を通してRFCを作り最後に取り付けます。
使用方法
図32 使用時 | 図33 取付時 | 図34 取り外し時 |
6mAM最小出力でMTRを5秒間隔で押したとき、操作音で出力低下しないようにVRを調節します。
取付ははめるだけ(図33)、外す時はカードをすき間に差し込みます(図34)。(電源OFF)
【製品紹介】ベクトル・インピーダンス・アンテナアナライザー
SARK-110を使ってみました
#993 JO1UBD 丸山 裕二
スペインのEA4FRB氏が開発したアンテナアナライザーのSARK-110を数日間試してみましたので紹介したいと思います。
購入は中国の Seeed Studio から360ドルで購入しました。
Seeed Studio製品は、日本ではスイッチサイエンスや千石電商でも目にする、いわゆる中国版「秋月電子」と言ったところでしょうか。
2/22に送料無料コースで注文し、翌日にはシンセンから発送され2/26には香港到着。その後通関を経て3/8に配達されました。
まだ到着して日が浅く全ての機能は試せませんでしたが、MFJ-269を第一世代、AA-54を第二世代とすると、SARK-110は第三世代と言ったところでしょうか。かなり高機能版になっています。
製品諸元は、EA4FRB氏のサイト( http://sark110.ea4frb.eu/specifications )にありますが簡単に紹介しますと、0.1~200MHzのアンテナアナライザです。これまで愛用しているMFJ-269(ハム復活後2年の若輩者ですが)に比べると、その小ささに驚きました。
内部構成は、リグエキスパート製AAシリーズやYouKitsのFG-01と同等で、DDSとCPUにより小型化され、市販されている様々なアンテナアナライザとの測定結果比較が公表されています。
説明書は同封されておらず、EA4FRB氏のサイトからPDFファイルをダウンロードすることになりますが、Macユーザゆえ、説明書は読まずに直感で操作しても難なく「それらしい結果」は出てきました。
本体はタバコ大サイズのアルミダイキャストフレームのしっかりしたボディに3インチ液晶、入出力端子になる側面同軸コネクタはあまり目にしないMCXタイプです。【写真1】大きさ比較
【写真2】内部
付属品としてBNC変換ケーブルが1本付いていますが、このケーブルは千石電商(本店2階のSeeed Stadio製品棚、330円)でも販売されていました。
充電はUSBポートからリチウムポリマー電池(3.7V 1,000mAh)に行われます。PCに接続すると、USBドライブイメージになります。
【写真3】ケーブル
さっそく50MHz帯のアンテナに繋いでいろいろと測定してみました(遊んでみました)。
スイッチON後1秒未満で測定は可能になります。中心周波数と掃引幅をそれぞれ設定してスタートスイッチを押せば測定開始です。
測定時間は、掃引幅を変えても1秒程度で終了し、掃引と同時に画面へグラフ模写が始まります。
測定結果は画面にグラフと数値(例えばVSWR、Z=R+jX形式等)になります。
これらデータはCSV形式で、画面表示状態はBMP形式で本体内に保存できます。
保存されるスペース(空き容量は約500KB程度、画像一枚当りが110KB程度)が限られていますので、こまめなFile Moveが必要になります。
これまでMFJ-269を使ってアンテナ調整をすると、周波数毎にメモ書きで記録し、ベストポイントはデジカメに記録等で、若干連続性にかけるデータになっていました。しかし、SARK-110はアンテナ調整の効率化に貢献できると思います。
実際に測定を行いますと、YouKitsのFG-01と同様なVSWRとZの直交グラフが標準モードで、それ以外の測定モードは、スミスチャート、周波数固定、ケーブル測定、フィールドモード(画面表示が見やすい)があります。
測定結果は、グラフのY軸の左側と右側の表示モードをRs、Xs、Rp、Xp、Zs、VSWR、RL、Qなどから選択します。
標準モードとスミスチャートでは、中心周波数と掃引幅を設定し、マーカーは2個まで移動できます。周波数固定モードは、測定値以外に並列共振と直列共振の等価回路値を表示します。僕のようなビギナーには、R+jXで表現されるよりも、uH値やPF値で表示される方が調整手直しが楽になると思います。
【写真4】標準的な測定
【写真5】スミスチャート
【写真6】周波数固定
【写真7】ケーブル特性
【写真8】フィールドモード
測定時の出力される信号はオシロで見ると正弦波、出力は約-4dBmで、10dBmが仕様値です。CalKit QRPパワー計では電力が少なすぎて計測不可でした。逆に小電力でありますので、複数人での移動運用時には、妨害波にならずにアンテナ調整が可能になると思います。しかし、逆に数m離れたアンテナで運用中の場合は、過大入力が心配になると思います。
また、小電力での測定ですので、BPFの調整など自作機の調整にも利用できるかと思います。MFJ-269のような周波数のフラ付きもなく、SG代わりに利用できると思います。
RFケーブル特性の測定では、プリセットされている同軸ケーブル種選択(短縮率)には、日本の5Dなどは無くRG/LMRシリーズになります。
特性測定では、接続箇所のインピーダンス不連続箇所からの反射位置が把握できるようですが、ケーブル選択をいろいろ変えて試しましたが、どうやら「それらしい」表示はされますので、今後の操作課題になりますが、光ファイバーのOTDR測定のような機能を想像しています。ケーブル特性の測定では、画面保存のみが有り、結果記録は出来ませんでした。
【写真9】バンドパスフィルタを調整中
【写真10】ケーブル種選択
【写真11】ブロックダイヤグラム
【写真12】出力波形
【写真13】製品比較
本体の校正機能は、内部の10MHz出力を微調整しますが、まだ試してません。また、測定値の校正は、RF側負荷抵抗を無限大、短絡、50Ω、100Ω、200Ωに切り替えて行います。それぞれ画面を見ながらの操作です(測定時は、25Ω/50Ω/75Ω/100Ωの4種類から選択可能)。
ファームウェアはサイトに公開されている最新版へupdateしましたが、Macユーザにも可能な方法で、SARK-110をUSBドライブとしてファイルをコピー後にSARK-110を再起動するとさせて読み込まれます。
最後に、これまでMFJ-269を使って、jXのプラス/マイナスは手探りで電卓を叩いて正規化してスミスチャートを手書きで作成し、それらしい渦巻きを眺めて手直し構想を立てていました。
このような安価なアンテナアナライザーの出現によって、アンテナ作成と調整がかなり楽になり、また、シミュレーションソフト(Macユーザゆえ、未体験です)も整備されていますので、私みたいなビギナーにも自作アンテナの敷居が大変低くなり、自作アンテナを使ったQRP交信に楽しさを加えるものと期待しています。
DX短信
JA1KGW 青山憲太郞
3月12日と13日の強風により、八木アンテナの反射器の片側(約5メートル)が抜け落ちました。
幸い、隣家に落下したエレメントによる対人対物の被害が無くてホットしています。24日にエレメントの再度の締め付けと落下防止の工事を行いました。
2~3年に一度はタワーを含めてメンテナンスが必要です。
国内出張とエレメントの落下事故で暫くQRTしていました。
今月は、伝搬予測に見られるK指数に就いてです。
下記は、“Dx Summit”のホームページに見られるK指数 (K-Index)です。
K指数の日合計値により3以下では“極めて静穏”、4以上10以下は“静穏”・・・23以上は、“じょう乱(活溌)”と分けて報道されています。
K指数の値が高くなると日本からアメリカおよびヨーロッパの北極付近ルートの伝搬損失が多くなると言われています。
3月10日は、朝10:00JSTに14.06MHzでW7ZOI/QRPとQSO、15:07JSTは24.0906MHzでRN9CX/QRPとQSOができました。
その後、24.0906MHzでSM,IK,DK、LZなどと10局とQSOができましたが、QRP局とは2局のみでした。
海外のQRPer
JA1KGW 青山憲太郞
AE7PG, Alさんとの2WAY QRP QSOと彼の素晴らしい160m loop
今年の1月26日、10:00JSTにWがオープンして、3局とのQSOができました。
この内、2WAY QRPはAE7PG, Alさんでした。2月に入ってAlさんからQSLカードと手紙が届きました。
嬉しいことに彼のCN97、グリッドは新しいもので又一つ増えました。
現時点では、2WAY QRP QSO WW LOCは、フィールド(Fields)=75、グリッド(Grids)=508です。AE7PG, Alさんからの手紙です。
Dear kentaro, I am very pleased to send you a QSL for our two way QRP QSO.
I do not work a lot of QRP but you had such a fine signal into WA that I just had to switch to five watts and give it try.
I am using 160m loop that is up at 95 feet, I have lots of very tall Firtrees (モミの木) to Choose from.
I currently use seven trees to support the loop which is 546 feet in total length with 120 feet of home brew ladder line to a Dentron Tuner(MT3000A).
I hope to work you some dasy on “TOP BAND” Thanks, Al
処で、私の“TOP BAND”のアンテナは、42m delta loopですので、何時かAE7PG、AlさんとQSO出来るのが夢です。
【私の工夫】超かんたん導通チェッカー
JA8IRQ 福島 誠
自作というほどでもない簡単な工作ですが、とても便利なので紹介いたします。導通するとピーという音で鳴ります。
耳を使うことで、針式テスタのように視線を移動する必要がないので効率的にチェックができます。
材料は、テストリード、ミノムシクリップとリード線、電池と電池ケース、3V用の電子ブザーだけで、500円でおつりがきますね。配線図は省略(Hi)。
3V用の電子ブザーは札幌の梅沢無線で94円で売られているTMB12A03というものを使っていますが、1.5Vでも十分な音量で鳴ります。私はうるさいので発音部のラベルをつけたままにしています。導通時の電流は数mAです。
基板を半田付けした後、接続した部品が導通しているか、隣のパターンと接触してないか、電源とグラウンドはショートしてないか、あるいはコネクタなどのピンと線の関係などいろいろに使えます。
今はテスタにも同様の機能は入っていますが、テストリードと一体化してますので使いやすく、胸ポケットに入れておくこともできます。
たまたま単5電池を使ってみましたが、ボタン電池を使ってさらに小型にすることもできるでしょう。これから自作を始めようと思っている方、まずこんなものを作ってみてはいかがですか。
役員会からのお知らせ
◆ 2013年1月11日~3月31日までの寄付者一覧
会長 JA8IRQ 福島 誠
12月号会報を郵送した際に寄付のお願いと振込用紙を同封したところ
3月末までで112名の会員から送金をいただきました。
多額の寄付をありがとうございました。
(1月号への追加分)
JA5OSA,JJ5GTF,JL2FKQ,JK1TCV,JJ2LIE,JH2FQS,JR1QJO
JH1HTK,JA1DFP,JR4CLN,JA1QC,JA2NBC,JJ2JJE,JG1BAG
JA1DGJ,JA4CES,JQ1BYM,JG1CCL,JA6PA,JR4EDG,JA5PSJ
JA6CBJ,JI3BSB,JH7OZQ,JA1TLH,JF1MWI,JA8IRQ,JA0ELB
JG1SMD,JG1RVN,JA9RRH,JK1TUJ,JG1MWW,JE3ECD
このほか、氏名非公開の方が3名おられました。
◆ 会員継続登録中です
QRPクラブでは毎年3月末から会員資格の継続登録を行っており、継続の手続きを行ってない会員は準員となります。まだの方、忘れず会員登録をお願いします。なお、新規会員も募集中で今年度の会費は無料(ゼロ円)です。新規入会、継続登録いずれもこちらのページからどうぞ。
◆ Online Mailing List運用中
QRPクラブでは会員だけのメーリングリストOnline ML を利用しています。QRPクラブ会員でメーリングリストのメールが届いてないという方はおそれいりますが、福島まで、メールアドレスは ja8irq@jaqrp.net(@は@に入れ替えてください)です。
編集後記
JA8IRQ 福島 誠
◆ 4月も半ばを過ぎてしまいましたが3月号をお届けします。2012年度はこれが最終号です。
◆ 先月号のミズホ特集でJA3PZM 大隅 康司さんの記事中、写真が掲載されておりませんでした。写真を挿入しましたのであらためてごらんください。
◆ 原稿募集中です。
FT817私の使い方、DXリポート、こんなリグつくりました、アンテナの自作、移動運用報告などQRPに関するいろいろな記事をお待ちしています。
メールの送り先は編集部 qrpnews@jaqrp.net (@は@に修正してください)まで。