JARL QRPクラブ会報 2016年2月19日発行 Vol.58-11

投稿者: | 2016年2月19日




JARL QRPクラブ会報 2016年2月19日発行 Vol.58-11 The JARL QRP Club

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JARL QRPクラブ会報 2016年2月19日発行 Vol.58-11


No. 2016年2月号 目次 コールサイン 筆者
1 【製作】 アンテナアナライザーもどきの製作 JA3HKR 吉田 清和
(Kiyokazu Yoshida)
2 【小ネタ】 メータの動作開始電圧を変更する方法 JG3ADQ 永井 正範
(Masanori Nagai)
3 【レポート】 QRPなDXの世界 JA1KGW/JA2OP 青山 憲太郎
(Kentaro Aoyama)
4 【レポート】QRP DXCC 200達成! JH3HYT 園田 淳一
(Junichi Sonoda)
5 【役員会から】 JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)
6 【編集後記】 JA5PSJ/9 小谷 一孔
(Kazunori Kotani)
7 【編集後記】 JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)


【製作】 アンテナアナライザーもどきの製作

#982   JA3HKR 吉田 清和

 移動運用などの際にアンテナの共振周波数などを測定できるものを製作し、CQ誌に投稿したところ2014年6月号に「簡易アンテナアナライザーの製作」として掲載されました。これは周波数の読み取りをテスターの周波数カウンターモードを用いて読み取るタイプでしたが、これを基にカウンター内蔵でできるだけ小型のものをVer.2として製作してみました。


 機能は、移動先でアンテナの共振点が高いか低いか、つまりエレメントを伸ばすか縮めるかがわかるだけに特化したものとします。

 CQ誌のものからの主な変更点は以下の通りです。回路図を図1に示します。


  (1) 周波数カウンターを内蔵し単体で測定できるようにする。
  (2) インピーダンス測定VRを廃し、50Ω固定とする。
  (3) メーター表示とLED表示を併設し暗がりでも使用できるようにする。
  (4) 回路部分を見直し若干修正する。

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【図1】 簡易アンテナアナライザー回路図

 発振源は秋月で購入したLTC1799モジュールです。

 小型のモジュールながら、外付け抵抗を可変するだけで広範囲の周波数がほぼ同じ振幅で得られます。ただ残念なことに波形が正弦波ではなく矩形波です。このことについては後ほど議論したいと思います。
 周波数は50kΩ10ターンのポテンショメーターで約1.9~30MHz、スイッチで33kΩを直列に入れると1.2~2.7MHzの範囲が可変できます。この出力を周波数カウンターとブリッジに供給しますが、発振器にとって負荷が大きいようだったので、あり合わせのICを用いたバッファアンプを入れています。
 ブリッジのバランスはトロイダルコアーを用いたトランスで検出し、ラジケーターおよびLEDで表示します。このトランスはいろいろな巻き数を試しましたがあまりシビアーではありませんでした。ここでも表示の負荷が大きかったので単電源オペアンプを入れました。最近、小型のラジケータの入手が困難ですが、その場合はLEDだけでいいかもしれません。


 さて、周波数カウンターですが、キットなども販売されているようですが、WEBを検索していて、DL4YHFのページ
 Frequency counter with a PIC
and minimum hardware

に行き着きました。このページの downloaded from this link をクリックするといくつかのファイルを含んだZIPファイルがダウンロードできます。
 私は表示LEDに秋月の4桁のカソードコモンLED OSL40562 を用いましたので、このZIP ファイル中のカソードコモン用 COUNTER2.HEX ファイルをPIC IC 16F628A に焼き込みました。有用な情報を公開頂いている作者に感謝です。

 電源は発振モジュールが5Vなので、006P型乾電池に5Vレギュレーターを組み合わせました。
ケースですが、タカチのSW-85に、LEDモジュール、カウンターPICの基板、発振モジュールの基板を3層構造とし、さらに乾電池、ポテンショメーター、ラジケーターなどを何とか詰め込みました。外観を写真1に、内部を写真2に示します。

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【写真1】 簡易アンテナアナライザーの外観

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【写真2】 簡易アンテナアナライザーの内部

 前述の波形に関してですが、特にこれは困ったという現象には気づいていません。ただ、ダミーロードではきれいにディップするのに、実際のアンテナだとディップが若干浅いと思われる場合があるようにも思います。これは基本波ではブリッジがバランスしているのに高調波のバランスしない成分が残存しているのかも知れません。しかし、いずれにしても当初述べた機能、つまりアンテナの共振点を知るには役立ってくれます。小型なのでリュックに入れておくのも可能です。
 実際の一例ですが、YAESUのATAS25アンテナはコイルをスライドして共振点を合わせるのですが、説明書にはノイズが一番大きくなったところに合わせるとあります。今回の製作品で測定するとノイズで合わせるよりぴったり合わせることができます。

編集部から

 アンテナの調整のためにディップメータをつかってディップする点を調べ、そのままゼネカバ受信機のつまみをぐるぐる回してピーと聞こえる周波数を読み取ったりしていましたが、同じ機能を小型の一台で実現するものですね。LTC1799モジュールは、使うあてのないまま買って持っていますので今度、実験してみようかと思います。(JA8IRQ)


【小ネタ】 メータの動作開始電圧を変更する方法

#58   JG3ADQ 永井 正範

 トランシーバーに使う外部電源として単3のニッケル水素を10本使ったバッテリーボックスを作りましたが、電圧表示に使ったラジケータが小さくて読みにくいため、12V前後だけを表示できないかと考えた回路です。回路(図1)は手持ちの関係で9Vのツェナーダイオードにシリコンダイオードを3個つないだもので、9+0.6×3=10.8Vからラジケータが動作を開始するため、写真1のように11Vから13Vを広く表示できるようになりました。

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【図1】 回路図

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【写真1】 メータ表示、内外部の様子

編集部から

 なるほど、12V前後だけを拡大表示ですね。check用のスイッチは電池の放電防止でしょうか。
 以前、シガーライタープラグにラジケータをつけて自動車のバッテリ電圧監視用ことがありましたがこういうのは思いつきませんでした。100円ショップの電池チェッカーに700μAのラジケータがついていた時代です。(JA8IRQ)


【レポート】 QRPなDXの世界

 海外のQRPper

#377   JA1KGW/JA2OP  青山 憲太郎(Kentaro Aoyama)

~F5ZV/QRPper、Rolandさんの300mWとのQSOの紹介(No.9)~

 F5ZV/QRPper、Rolandさんを紹介します。サイクル23のピークの頃2001年5月22日に、21MHzバンドで2WAY QRP QSOが1回だけできています。因みに、QRZ.COMよりF5ZV/QRPper、Rolandさんの自己紹介コメントを抜粋しますと次のように書かれています。

 Since 1969 on the air. Author of about 100 articles in magazines, especially for beginners. Programmer of “UFT”, CW tutor. I try to give lot of my time to the other OM and SWL and work only in QRP (300 mW). Currently heavily involved in management of the website http://www.radiosonde.eu dedicated to listening and hunting weather radiosondes.


(青山訳:1969年以降QRVしています。特に、ビギナー用の雑誌にCW練習プログラム”UFT(統合機能ソフト)”に関する約100の記事を投稿しています。仲間のOMやSWLと一緒に専らQRP(300mW)の運用をしています。直近では気象ラジオゾンデの聴取やハンティング専用のウェブサイトhttp://www.radiosonde.euのマネジメントに深く関わっています。)

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【写真1】F5ZV/QRPper、Rolandさんから受領したQSLカード (表)

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【写真2】F5ZV/QRPper、Rolandさんから受領したQSLカード (裏)

 QSLカードの裏面のStation:欄には、出力電力が300mWのホームメードのトランシーバーと2エレメント・ビームアンテナとの組み合わせでQRVしています(写真1、2)。

編集部から

 Rolandさんは 本人のWEBサイトをお持ちのようですが、フランス語なのでまったく読めません。それにしてもラジオゾンデの受信とは!(JA8IRQ)


【レポート】QRP DXCC200達成

#391 JH3HYT  園田 淳一

QRPクラブの皆様、#391 JH3HYT 園田です。
初めての投稿になりますが近況を報告いたします。

私は1996年来QRPによるDX局との交信に取り組み、2001年にDXCCのメンバーとなりました。

それから苦節うん十年宮使えの合間にDXを追っかけていましたが、目標として設けた“還暦の年にDXCC standings 200up”を予定通り達成することができました。

次のサイクルはあまり期待できそうにありませんが定年とともにやってきた時間的余裕を武器にボチボチ交信Entityを増やしていきたいと思います。

以上簡単ですが近況を報告いたします。

Best72 es FB DX

de JH3HYT/QRP 園田

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【写真】DXCC 200エンティティの賞状

編集部から

 200エンティティ超えおめでとうございます。
 ハイパワー局のパイルアップの中でQRPで200エンティティという偉業を達成されたことをお喜び申し上げます。
 ちなみに2007年時点の記録によれば、QRPクラブ会員のQRP DXCC状況は

JR4DAH(235/245)
JA1AA(234/247)
7N1GMK(223/232)
次点が JG2LGM(185/232)

でした。
 この間の9年間で記録がどの程度進んでいるかは不明ですが、園田さんはQRPクラブ4人目の200達成メンバーかもしれません。さらに記録を伸ばされることを期待しております。(JA8IRQ)


役員会から

#678 JA8IRQ 福島 誠

JARL QRP CLUBの60周年記念事業の準備が進行中

● QRPクラブの全国集会を兼ねた60周年記念行事(パーティ)は11月19日(土曜)15時から東京都内で開催の予定で準備を進めています。かなり先の話ではありますが、スケジュール帳に記入しておいてください。

● 会員向けに頒布する60周年記念キットはパーツの袋詰めなどの作業に入っています(ここがいちばん大変なのです)。予約したみなさま、もうしばらくお待ちください。

● 新版QRPハンドブックの編集委員会を2月13日に開催しました。今回は入門的な内容になります。すでに原稿も8割方集まり、これから出版社との共同作業で本を作っていくことになります。8月のハムフェアには刊行されていることと思いますのでご期待ください。


編集後記&近況報告

#961 JA5PSJ/9 小谷一孔

 縁あって雪国に住んでいたとき、学生寮の屋上に張った7MHzのDPが雪に埋もれたことがありました。VSWRは低いのに何も聞こえない。外に出てみてビックリ。当時、私が住んでいたところは大雪がよく降り、一晩の降雪が1mを超すことも珍しくありませんでした。南国生まれの私には雪でアンテナが埋まるとは全く予想できず、5月連休までQRTを余儀なくされました。OMのみなさんの特別な経験談(失敗談?)のご投稿を期待しています。

P.S. 小学生の頃、半田付け不要で色々な電子回路を作ることができる「電子ブロック」という工作キットに出会いました。トランジスタ、抵抗などの素子が四角形のブロックに入れられ、これらを組み合わせることでラジオ、ワイヤレスマイクなどを作れます。その後の電子工作、アマチュア無線が趣味となるきっかけ、大げさに言えば今の私の進路を決める出会いといえる「もの」です。
 今ならブレッドボードで半田付け不要の電子工作ができ、ブロックのような構造物がないので自由度が高いのですが、不器用な私は見栄えするように作れません。当時使用していた電子ブロックは実家の押し入れのどこかに眠っていて見つからないので、ネットでジャンク程度のものを入手しました。かなり程度が悪く、ブロックが数個不足、電極欠品、同調回路ブロックはバーアンテナとバリコンが抜かれていました。不足のブロックは樹脂形成、電極はリン青銅板で作成し、大きさが適当なバーアンテナとバリコンを組み込んで何とか復活させることが出来ました。2石レフレックスラジオを組んでイヤフォンで聞くと、50年前の当時を思い出しました(写真1~3)。クリスタルイヤフォンはセラミックイヤフォンで代替、ラペル型のマイクは秋葉原でまだ購入できるのですね。

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【写真1】 再生した電子ブロックで組んだレフレックスラジオ

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【写真2】 樹脂形成で自作したブロック

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【写真3】 リン青銅板による電極の自作

おまけ

 電子ブロックはもともと電子ブロック機器製造株式会社が学習用に作っていたのを学研が玩具として販売したもののようです。復刻版がありましたが、EX-150などはもう販売終了となっています。今も大人の科学vol.32の電子ブロックminiだけは買うことができます。(JA8IRQ)


編集後記&近況報告

#678 JA8IRQ 福島 誠

◆ 2月号をお届けします。今月は投稿が少なめでした。会員のみなさんの投稿をお待ちしています。

実験、製作、運用レポート、小ネタなどを編集部あてお送りください。パソコンが苦手な方は福島あて直接の郵送でもかまいません(住所は会員向けのメーリングリストや紙版の会報などで確認してください)。メールの宛先は編集部 qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。

◆ 2008年ころまで会報(紙版)で発表していたQRP交信の記録の集計を再開しております。

(JARL QRP CLUB 準則)
第13条 本会は会員のQRP記録を集計する。

記録は会員からの自己申告による。記録は会員が脱会しても有効とする。
但し新たな記録の申告はできない。集計する記録は下記とする。
 AJD、WAJA、JCC、JCG、WAC、WAZ、DXCC、ADXA、 1,000km/Total Power、1,000km/W (ATT使用可能)、2WAY QRP QSO 交信局数
分類区分については別途定める。

と会則(準則)にある通りです。QRP記録のレポートや質問については編集部のメールアドレス(上記)にお送りください。

◆ 先週は秋葉原を急ぎ足で回りました。ラジオセンターのパーツショップと秋月電子、それにaitendoですが、aitendoはWebで予習をしておかないと何を買ってよいのかがよくわかりません。
お店でUSB電源チェッカーをみかけたので購入。他の店では1000円程度でしたが、なんと350円です。これはスマートフォン用の充電状況を電圧・電流交互に表示してくれるものです。ケータイの充電をしていると充電器やケーブルの種類、あるいは接触の状況により充電電流がさまざまであるということがよくわかります。同じ充電器とケーブルの組み合わせでも100mA~800mAと変動します。急いで充電したいときなどに便利です。もちろん、部品どりしてQRPトランシーバの動作電圧・電流のチェックに使っても良いでしょう。