JARL QRPクラブ会報 2017年7月31日発行 vol.60-3







JARL QRPクラブ会報 2017年7月31日発行 vol.60-3 The JARL QRP Club

JARL QRPクラブ会報 2017年7月31日発行 vol.60-3

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JARL QRPクラブ会報 2017年7月31日発行 vol.60-3


No. 2017年7月号 目次 コールサイン 筆者
1 【運用】JR3ELR 北のカナリアの巻 JR3ELR/1 吉本 信之
(Nobuyuki Yoshimoto)
2 【製作】CW用共鳴型スピーカーの試作 JA0IXX 赤羽 史明
(Fumiaki Akahane)
3 【小ネタ】サイコロスペーサ JN3DMJ 松本 貢一
(Koichi Matsumoto)
4 【お知らせ】 QRPクラブからお知らせ JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)
5 【編集後記】 JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)


【運用】JR3ELR 北のカナリアの巻

#33 JR3ELR/1 吉本 信之

 検査の結果、三ヶ月の仮放免。即、手術前にサロベツ原野から見た島々へ渡海を強行してきました。

 翌週には渡海しようとしても確保できるのは千歳便まで。稚内・利尻島直行の空路はずっと予約NG。札幌~稚内片道6.5時間の都市間バス移動も夜行便はNGでした。しかし、これが意外に正解で利尻空港は霧による欠航率が高く当日も濃霧で欠航しており、陸・海路のみ渡海可能でした。

○打電の釣果

 今回は「道の駅稚内」、「利尻島」、「礼文島」で打電を試みています。


【写真1】道の駅稚内での打電

【写真2】礼文島北端打電
 7/1から7/2の夜まではFT817の表示がS9+のOTHジャミングが1.9~29MHz帯を覆い交信を断念しています。

【写真3】OTHジャミングで交信不能

 7/3の朝以降はOTHジャミングが消えていましたが、消えた原因が磁気嵐では、交信の可能性は低く気合が要ります。磁気嵐の最中でも不安定ながら発生してくれる7月のEsに全てを託すことにして21MHz/2.5W/0.5mH/30mLW/13~16℃/礼文島南端「北のカナリアパーク」駐車場端で打電開始。

【写真4】礼文島南端北の駐車場打電

 交信数4と低調な交信で終わりましたが、磁気嵐の最中にJA9CZJ,JK1TCV/QRP5Wと交信できたので結果オーライとします。

○伝説の紙電鍵

 こんな急の出撃では何かが起きます。
 移動運用材料袋に入れていたはずのミニパドルが無い!!!
 前回の西表島打電の時に紛失している!!!!

渡海前の予行演習を兼ねた「道の駅稚内」運用で、これに気が付いたのが幸いでした。観光案内所で聞いた電気屋に飛び込みステレオイヤフォーンを調達。歯でコードを喰い切り、100円ライターでホルマル線被覆を焼き撚線を露出。これを利尻島の宿で調達した絵葉書に穴と切り込みを入れて持参のアンテナ固定用塩ビテープで撚線を固定し伝説の「紙電鍵」をやってしまいました。

【写真5】紙電鍵工作開始

編集部より

吉本さん、まだまだお元気のようで良かったです。北海道といっても当地とは反対側ですから寄ってもらうわけにもいきませんね。まだまだ残っている離島・通信遺跡があると思いますので今後の報告を期待しています。


【製作】CW用共鳴型スピーカーの試作

♯1111 JA0IXX 赤羽 史明

 昨年製作した7MHzCWのQRPPトランシーバの受信フィーリングがFB(※)なことに気を良くし、他のバンドにもこれを使ってQRVしよう!とつい悪乗り。春先に3.5MHzと10MHzの両方にオンエアできる2バンドトランスバータを作りました。 (※)2016年QRPコンテスト参加局コメント集(PDFファイルでこちらのリンク先にあります)を参照ください


【図1】3.5MHz 2SC781 0.6W 10MHz 2SC908 0.6W


【図2】R5シリーズ、上からR5A,R5B&5C,ドレークのR4A,R4C

 QRPPの0R5Wattと受信Readability5に引っかけてR5シリーズと命名。トランシーバ本体をドレークもどきのR5A、3.5MHzをR5B、10MHzはR5Cと名付け、一人悦に入りながら運用を始めたところです。

 本稿の話題はそのオーディオ出口について。
 耳栓タイプのイヤホンは最新スマホの付属品が効率も音質もFBで愛用していますが、常にイヤホンだと煩わしくもあり、やはりスピーカーを鳴らして聴きたい訳です。
 このミニトラのAFパワーアンプの出口には、ヒス低減目的の700HzLPFを挿入してあるのですが、そのロスで元々QRPなAF出力が更にQRPになってしまい、小口径のマイクスピーカーなどでは十分な音量が得られません。
小さなミニトラに大きな据え置き型スピーカーを使うのも気が引けますから、ミニパワーでも良く鳴ってくれる、コンパクトで高能率なスピーカーを作ろうという気になりました。

 ある日、ネットで音響関係のサイトを覘いていたとき、そのニーズには共鳴型がミートするかもしれないな、とインスピレーションが湧きました。
 ダクト状の開口を持つスピーカーボックスでは、空洞の共振周波数(ヘルムホルツ共鳴周波数)においてダクト出口の波面位相が逆相となり、つまりスピーカーからの直接波とは同相となって音を強め合いますから共振型は音圧効率が良いはずです。
 CW専用ですから広帯域性は必要ありませんし、共鳴により帯域が狭くなったとしてもS/N的にはその方が好ましいぐらいです。

 HiFiオーディオでは低音域用バスレフユニットとして昔からダクト方式が広く実用されていますが、しかし中音域で使っている事例を聞いたことがありません。もしかするとそのハイQが故に過渡特性が悪化し、リンギングの強い(聞き取り辛い)CW音になりはしないかと心配にもなります。

 そこで、ダンボールで適当にバッフルを作り、小型の木箱と組み合わせながらアタリをみると、・・・内心の悲観的予想を覆し、FBなCW音で活発に鳴るではありませんか。

 手持ちのSP950と聴き比べてみたところ、実験品のほうが音圧感度で優り、明瞭度も高いと感じました。それに加え、共振がシャープでAFのCWフィルタを入れたかのようにFBに聞こえてきます。
 (過渡特性についてはあまり気になりませんでした。アンプとスピーカーのダンピングによってかなり抑えられているのではないかと思います。)
俄然リアリティが出てきたのでステップを進めます。

 前述の穴付きバッフル方式でも信号音の明瞭度はVYFBでしたから、構造はその線で行くことにしました。従って、複雑なダクト設計は不要で、決めるのはダクト開口寸法のみです。



【図表1】音響ダクトの計算と予備実験の結果

 周波数の計算はヘルムホルツの共鳴式によりますが、ギターの胴のようにダクト深さも板厚もゼロに近い場合は、近似的にダクト深さ=√Sとみなすようなので、それを代入したヘルムホルツの変形式を図表中に示してあります。

 しかし予備実験品の音圧レスポンスを実際に測ってみると、ピークは計算で求めた共鳴周波数より100Hzほど高くなっており、ピッタリ合いませんでした。
 スッキリしないけど仕方ありません、最終版は実験値をそのまま使うことにしました。(このズレは恐らく使用したスピーカーユニット(Φ56mm)の音響機械特性の影響だろうと思われますが・・・)

 材料は薄手の5~7mm厚合板でOKですが、今回使った箱は板厚7mmの桐箱(内寸法で縦100mm×横100mm×奥行52mm)。もったいないので捨てずにストックしておいたものを活用しました。


【図3】使用した桐箱


【図4】スピーカー組み込み。
内部に吸音材は使っていない。試してみたが効果を感じず。


【図5】ダクト開の状態 Fo=580Hz


【図6】ダクト閉の状態 Fo=420Hz

 目標共鳴値はミニトラのビート周波数550Hz。図中のL=7mmを選択(開口面積S=7cm2)しましたが、出来上がり後の実測データを見ると共振点は若干高い580Hzとなっていますから、工作精度には気を遣ったほうが良いと思います。

 写真のように、切り落とした蓋の木切れでダクト出口を塞ぎ、L=ゼロの密閉箱として鳴らしてみるとピークは予備実験同様の400Hz付近にあることも確認できました(実は、箱側面には組み紐を通す小さな穴が二つ開いており、その開口面積が合計で0.8c㎡なので、正確にはダクトL=1mmの時に420Hz)。

 当局のRXはほとんどがビート周波数を300~450Hzに設定しているので、これはとても好都合なんです。(幸運にも箱自体の共鳴点が偶然FBなポイントにあった、というだけの話で・・・恐縮です)

 シャックの机上で測ったレスポンスを以下に示しますが、15dB以上ピークが浮かび上がっています。
 ダクト開・閉でのそれぞれのピーク音圧はほぼ同レベルでした。


【グラフ1】共鳴型CWスピーカーの周波数レスポンス

 この測定は当局のコンデンサマイク(Rode社 NT1)で拾った電圧出力をミリバルで読んだものです。
 無響室と違い測定環境がラフですから誤差はあると思いますが、このユニットの性格は良く分かります。

 この「ピークフィルタ機能付きCW専用スピーカー」、使ってみると至って実用的で、RXのIFフィルタがSSB用しか無い場合でも、このスピーカーを使っていれば音圧が一番強いところに合わせるだけで容易にゼロインできます(→絶対音感の鈍い私などには持ってこいです)。
 当局ではしっかり市民権を獲得し、日々朗々と鳴り始めています。

小さな木箱と口径50~56mmの小型SPがあれば簡単に作れますし、ダクト調整あるいはダクト交換により自分好みの音調(今回の実験では400~650Hzの間)に設定することもできます。CWファンのQRPer諸兄には一度試して頂きたいと思います。

最後にミニトラ兄弟、ミニ電鍵、今回試作したミニSPを並べたスナップを添付します。


【図7】ミニトラ3兄弟


【図8】旧軍のミニ電鍵

この可愛らしいミニ電鍵はJA0BZC経由でJA1BA石川さんから最近頂いたもので、戦時中にゼロ戦などの搭乗員が機内で操作した実物だそうです(ただし未使用とのこと)。

私の父も陸軍航空隊(大刀洗基地)の戦闘機搭乗員として戦時中九州上空を飛んでいました。

2年前に鬼籍に入りましたからもう確認はできませんが、グラマンと対峙する日々の中で、こんな電鍵を叩くことも有ったのかな?と思うと、・・・妙に愛着が湧いてきます。

(おわり)

編集部から

一般的にQRMを避ける方法を各段階ごと考えると

  1. アンテナの指向性・アンテナ自体の共振周波数を狭くする
  2. アンテナ直後に7005とか7010とかのシングルクリスタルフィルターを入れる
  3. RXの周波数変換後にフィルターを入れる(普通ですね)
  4. 復調後にオーディオフィルターを入れる
  5. 音響に変換するときに特定の周波数を選ぶ
  6. 脳内フィルターを活用する(多大なる訓練が必要)

というようになると思いますが、今回の赤羽さんの試みは5番でした。

 大昔には、周波数特性のフラットでないマグネチックレシーバー(ハイインピーダンスのヘッドフォン)を使うと良いという話もありました。また、1970年前後のCQ誌には自動車のクラクションホーンに小型スピーカーを取り付けてCW再生専用のホーンスピーカーを作ったという記事がありました。(当時の私は田舎の中学生でしたが車のホーンを使うのが珍しくて記憶しています)


【図9】ファイルソーの刃先


【図10】ファイルソーのラベル

 なお、ご本人に確認したところSPの箱への接着は二液のエポキシ系で全周接着だとのことです。
箱の穴開けに使ったものはファイルソーといい、ヤスリの先端がドリルになったような工具であるそうです。ドリル部分で穴を開け、ヤスリ部分で広げていくものということです。(JA8IRQ)


【小ネタ】プリント板垂直取付ブロック(サイコロスペーサ)

#650 JN3DMJ 松本 貢一 (Koichi Matsumoto)

私がアクリル板をケースの天板に使うときに使っている小物を紹介します。
メーカーであるマックエイト(MAC8)の製品名は「プリント板垂直取付ブロック」となっておりますが、ネット通販の「共立エレショップ」や、大阪日本橋の実店舗「シリコンハウス共立」では「サイコロスペーサ」とも呼ばれており、本稿の用途としてはこちらの方が分かりやすいので、この呼び方にさせて頂きます。型番はBB-001です(写真1)。


【写真1】サイコロスペーサ(背景は1mm方眼紙)

◆使用例1(サブミニチュア管ラジオへの使用例)

1つめは「サブミニチュア管を3本使用したレフレックス・スーパーラジオ」で、サトー電気の10年以上前のキット(ケース無し)なのですが、内部がよく見えるよう全面アクリル板(厚さ2mm)のケースに入れました(写真2)。横と下部の5枚のアクリル板はアクリル専用接着剤で結合していますが、天板を取り外せるようにするため、サイコロスペーサを4個使用しました(この部分は2016年実施)。


【写真2】サブミニチュア管ラジオへの使用例

◆使用例2(私のJP-60展示時の使用例)

「JA Pepper 60」(JP-60)は当クラブ60周年記念の21MHz DSB/CWトランシーバキットです(2016年)。私の製作品も「ハムフェア2016」の当クラブブースで展示して頂きましたが、この時、内部がよく見えるよう、上部と左右をアクリル板(厚さ2mm)にし、サイコロスペーサを4個使用しました(写真3、写真4)。
サイコロスペーサ4個でアクリル板3枚を「コ」の字に結合してアルミカバー(蓋)に代わるカバーとし、そのカバーをケース添付のネジ4本でシャーシに取り付けています。

【写真3】私のJP-60展示時の使用例

【写真4】私のJP-60展示時の使用例(拡大)

◆製品の仕様など

マックエイト BB-001の大きさは10mm角で、4面にM3タップのネジ穴が開いています(貫通しています)。材質は黄銅で、処理はニッケルメッキです。もともと基板等を垂直に取付ける用途のようです。

最初に見つけた「シリコンハウス共立」ではBB-001だけだったのですが、「デジット」(両店とも大阪日本橋)では「ネジ取付ブロック(大、中、小)」の商品名で、10mm角のBB-001(大)に加え、8mm角のBB-002(中)、6mm角のBB-003(小)も販売されていました(写真5)。ネジ穴はいずれもM3です。


【写真5】大中小のサイコロスペーサ(背景は1mm方眼紙)

メーカーのホームページによると、1パック100個入りなのですが、ネットで探せば、大中小にもよりますが、1~20個単位の最小発注数量で販売しているサイトもありました。異なる商品名で表示されている場合もあるので、型番でも検索することをおすすめします。1個単位の価格は、前述の実店舗も含め、100~130円程度です。
アクリルだけでなく、アルミや銅板の固定にも使えそうなので、ケースだけでなく、基板周辺など、いろいろ応用できそうです。

編集部から

松本さん、FBな小物の紹介ありがとうございます。L金具などをつかうよりスマートにできそうですね。私の場合、ケガキの失敗でネジの穴が楕円になりそうですけど。(JA8IRQ)


【お知らせ】今年もハムフェアに出展します

#678   JA8IRQ 福島 誠 (Makoto Fukushima)

すでに告知した通り、JARL QRP CLUBは9月2日、3日に東京ビッグサイトで開催されるハムフェア2017に出展いたします。JARL QRP CLUBのブースはJ-27で、「QRPの里」の二つ隣となります。自作品の募集などについては、以下のようにJE1ECF斎藤さん(副会長)に連絡ください。

1、開催日・開催場所

2017年9月2日(土)・3日(日)東京ビッグサイト西4階西3・4ホール
西3ホール:クラブブース。西4ホール:メーカー等ビジネスブース。

2、ハムフェア入場料(会場事務局で出展者証の購入をお勧めします。)
一般1,500円、JARL会員(会員証の提示)1,000円
JARL NEWS夏号に割引券は付きません。JARL会員の方は 会員証をお忘れなく・・・。

3、展示等の内容

(1)自作品
昨年に引き続きJP60も募集します。

(2)クラブ活動報告
1.QRPコンテスト結果発表(HPを引用)
2.60周年記念式典の報告(会報記事)
3.JP60購入者のコメント(購入者へ依頼)

4、自作品について

作品の大きさは会場のスペースに限りがあることからA4版程度(最大A3版)とし、重量10kg以上ものはご遠慮下さい。アンテナなどの長尺物(3mを超えるもの)、また、防災上、火気に類するものの出展はご遠慮下さい。説明資料(A4版2枚程度)をお願いいたします。
(JE1ECF斎藤へお送りください)

5、各種募集について

・自作品
8/1(火)までに展示品名等をエントリーしてください。展示品の取り扱いについては原則、会場への直接持ち込みをお願いいたします。
なお、説明資料は電子データにては8/21(月)までに下記のEメールでお送りください。

5、自作品の問合せ・募集の宛先

  E Mail: je1ecfsaito@athena.ocn.ne.jp(全角@は半角@に置き換えてください)

 

★ QRPクラブに関する連絡先のメールアドレスは以下のとおり

◆ QRPクラブの活動全般についての質問、ご要望、ご意見は qtc@jaqrp.org (@は@に置き換え、以下同じ)までお願いいたします。このメールは役員と監査役に届きます。メールには役員から必ずお返事を出します。
◆ アワード関連についての問い合わせ先はアワード担当へ award@jaqrp.net
◆ コンテストについての問い合わせ先はコンテスト担当へ contest@jaqrp.net
◆ 毎月開催している秋葉原懇親会については1エリア懇親会担当へ ja1@jaqrp.net
◆ 会報への投稿などについては編集部へ qrpnews@jaqrp.net 


編集後記&近況報告

#678 JA8IRQ 福島 誠

◆ 今回は6&7月合併号となりました。編集スタッフ不在で私一人でやっているので、どうしても編集作業が遅れがちですが、担当者を引き続き募集中です。やっても良いよ、という会員は編集部(私)あてメールをください。

◆ 8-9月号以降の原稿を募集中です。あなたの実験、製作、運用レポート、小ネタなどを編集部あてお送りください。パソコンが苦手な方は福島あて直接の郵送でもかまいません。(住所はMLや紙版会報などで確認してください。)宛先は編集部 qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。

◆ 9月はハムフェア(東京・有明)の2週後の9月23日(土)~24日(日)に北海道ハムフェアーがあります。23日(土曜)夜には全国懇親会もありますのでぜひご参加ください。



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