JARL QRPクラブ会報 2019年 5月31日発行 vol.62-01

投稿者: | 2019年5月31日


JARL QRPクラブ会報 2019年 5月31日発行 vol.62-01 The JARL QRP Club

JARL QRPクラブ会報 2019年 5月31日発行 vol.62-01

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JARL QRPクラブ会報 2019年 5月31日発行 vol.62-01


No. 2019年 5月号 目次 コールサイン 筆者
1 【運 用】今年も春は南の海で火山島打電の巻 JR3ELR/1 吉本 信之
(Nobuyuki Yoshimoto)
2 【運 用】桜満開の孤島でパイル吹雪を浴びるの巻 JR3ELR/1 吉本 信之
(Nobuyuki Yoshimoto)
3 【お知らせ】2018QRPコンテスト参加者からのコメント JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)
4 【お知らせ】QRPクラブからお知らせ JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)
5 【編集後記】  JR7SOX 菊池 弘二
(Kohji Kikuchi)
6 【編集後記】  JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)

【運 用】 今年も春は南の海で火山島打電の巻

#0033 JR3ELR/1 吉本 信之

毎回、渡海打電は登山計画書並みの想定外を十分に盛り込んだ渡海計画書を策定
して挑戦します。しかし難易度が高い火山島は計画書の通りになりません。


口永良部島位置図

【図 1】口永良部島位置図

【湾岸低気圧/台湾坊主/二月風廻(にんがちかじまい)憎し】

今回の渡海計画の骨子は、

  1. 第一島をトカラ列島(編注1)「口之島(くちのしま)」、第二島を2015年噴火で全島民離島避難した「口永良部(くちのえらぶ)島」とする(写真1)。
  2. ベースキャンプを鹿児島空港に置く。
  3. 島へのアタックキャンプを鹿児島港に置いて上陸の機会を待つ。


口永良部島

【写真1】口永良部島

昨年後半から南西諸島一帯は湾岸低気圧が数日の周期で海面を通過し時化が続きます。ベースキャンプの鹿児島空港に着きアタックキャンプの鹿児島港に向かう空港連絡バスの車中で第一島への渡海船「としま2」の時化欠航連絡が入電しました。
トカラ列島唯一の渡海手段が欠航したら第一島は断念するしかありません。第二島の「口永良部島」渡海上陸に全力を傾けることにして、鹿児島港で乗り継げる船の中から第二アタックキャンプを種子島に設定し時化の隙間を待つ作戦に書き換え高速船(ボーイング929)で南進しました。

中種子町で44局交信、南種子町で40局交信しながら待つこと二日目の朝6時、二日間時化で欠航していた口永良部島行屋久島町営「フェリー太陽」の午後出航の報を受電し、第二アタックキャンプを撤収し第三アタックキャンプに設定した屋久島の宮之浦港に朝一便の高速船で西進し港で「太陽」と初対面。


町営船太陽

【写真2】町営フェリー太陽

海上気象予報では36時間後には再び10m/秒超の北風が吹き時化が始まります。スタビライザー無しの町営船で時化の合間を突く渡海上陸作戦は相当の覚悟がいります。客室の金盥(たらい)の山とトイレの水栓を凝視し運を天に任せて出航しました。船が屋久島の西側に回ると新岳の噴煙が見え島に近くなると火山ガスの匂いが漂ってきました(写真2)。船は火砕流が流れ落ちた跡が生々しい本村港に着岸し生活物資のコンテナと人を降ろしたら即出航していきました。

【島に着いたら先ずやることは】

都会のホテルにチェックインしたら先ず避難ルートの確認ですが、噴火の跡が生々しい島の宿で荷物を降ろしたらアンテナ張のロケハンを兼ねた直近の避難場所(写真3)の確認です。そのあと港の温泉で露天風呂打電を目論んだものの外湯はお休み中(写真4)で露天風呂打電は断念し展開済みのLWで運用開始しました。


避難壕

【写真3】避難壕


本村温泉

【写真4】本村温泉

【釣果】

この島も発発インバータノイズがS9+でした。仕方がないので受信時は内蔵エネループ8本、送信時商用電源の変則運用で7MHz/5W/57局、3.5MHz/5W/25局、アンテナは60mLWでした。


打電

【写真5】打電風景

【時化が始まる】

翌日岸壁で船を待つ時の不安は相当なものです。船の姿が見えても未だ安心できません。波と風次第で入港を諦めることもあります。直進のまま汽笛を鳴らしたので着岸すると確信しホッとしました。
屋久島の宮之浦港に着く昼には強風が始まり時化になり二日間欠航です。この後第三アタックキャンプ地の屋久島で二泊中64交信(内1DX)交信して打電の〆としました。海上に霧が入らない時化で航空機は欠航にならず屋久島からはATR42-600機でベースキャンプの鹿児島空港に戻り一安心したあとA321機で羽田に帰還しました。難易度の高い離島の渡海は毎度これくらい際どいことをやっています。

【編集部から】

編注1:環境によっては正しく表示されない文字を含むためカタカナで「トカラ列島」としました。(JR7SOX)

ちなみに画像で表示するとこんな文字です。(JA8IRQ)


【運 用】 桜満開の孤島でパイル吹雪を浴びるの巻

#0033 JR3ELR/1 吉本 信之

口永良部島、屋久島、種子島で打電した翌週は日本海の孤島、舳倉島の春を堪能してきました。

湾岸低気圧/台湾坊主/二月風廻(にんがちかじまい)もう嫌だ!!

口永良部島渡海計画書と同時に舳倉島渡海計画書も作成して、中一週間の連続渡海打電です(図1)。島が一つだと渡海計画の骨子は単純で、

  1. 首都圏から輪島への直行バスが無いのでベースキャンプをJA9CZJ宅とする。
  2. アタックキャンプを輪島港とする。


舳倉島位置図

【図1】 舳倉島(へぐらじま)位置図


希海

【写真1】 へぐら航路(株)希海(のぞみ)

相変わらず南岸低気圧の通過で渡海決行の前三日間時化で欠航し、新造船の有価運行初日に人柱乗船するというできれば避けたい想定外になりました。案の定、島を出た晩から時化が始まり二日間欠航するという南岸低気圧の周期性に翻弄されています。
今回の航路の新造船(写真1)はボーイング929と同じアルミ合金の船体ですが、べた凪且つ波高0.5m以下の海面ですら横揺れが顕著で同船した島の人達も以前よりも揺れが強くなったとの感想を漏らすほどです。前世紀からこの航路に乗ってきた今回の先達JA9CZJさまは輪島港の防波堤を出たあたりから舳倉島に着くまでの1.5時間船底でじっと体力温存(動かない?/動けない?)していました(写真1)。


舳倉島

【写真2】 舳倉島(へぐらじま)


給水塔

【写真3】 給水塔

運用場所と釣果

日中は給水塔(写真3)兼津浪時の避難場所の塔の窓から斜めに降ろした60mLW、夜間早朝は宿の二階から展開した60mLoopを使って運用しています(写真4,5,6)。
給水塔では、59局交信、宿では13局交信、港の東屋では13局と交信できています。特によく飛んだのが給水塔からで、日中にも関わらず1.9MHzが6交信、3.5MHzが12交信もできるとは思ってもおらず仰天するほどの飛の良さ且つ、パイルアップでFT817のフロントエンド飽和が起きて電信音が消えるほどの信号の強さと仰天させられることばかりでした。こんなFBな場所が中庭のJA9CZJさまが羨ましいかぎりです。HI


給水塔で運用中

【写真4】 給水塔で運用中


パイルアップ

【写真5】 パイルアップ


QRNNN

【写真6】 QRNNN

桜満開の孤島で桜鯛

島の廃校に残された桜は満開を迎え、島の周辺では桜鯛が群れています。桜咲く島で正真正銘本物の天然桜鯛を味わっての無線三昧は、今のこの身にとって思わぬ延命薬、命薬(ぬちぐすい)となりました(写真7)。

満開の桜と桜鯛

【写真7】 満開の桜と桜鯛

【編集部から】

舳倉島といえば、ちょうど私や吉本さんが生まれたころにイタリア人が撮影した本「海女の島 舳倉島」のことを思いだしました。海女さんは今ではウェットスーツを着てますが、健在のようですね。(JA8IRQ)


【お知らせ】 2018QRPコンテスト参加者からのコメント

昨年11月3日に行われたQRPコンテストの結果が公開されました。
結果はこちらのPDFファイルをごらんください。参加者のコメントの中から自作品部門の会員のコメントを紹介します。(JA8IRQ)

7L1WRK/1
5月の東京コンテスト、QRPスプリントコンテスト以降使用している自作50MHz3モード機で参加しました。ANTも自作の3エレHB9CVとしたところ、大勢のコンテスト参加局と交信することができました。ありがとうございました。写真は大出力5Wリニアアンプが健在だったコンテスト開始直前のものです。途中で薄く煙を吐いていたためほとんどの交信は本体約200mWで行いました。Rig: 5W自作


7L1WRK/1

JA0IXX
午前中の14MHzは3時間連続でCQを打ち続けましたが戦果はたったの1局。昼食後の7MHzも空中状態が低調で、特にQRP2~QRP3局には厳しいCondxでした。夕方からの3.5MHzも昨年と比べるといま一つだったと思います。QSOして頂いた方々有難うございました。
Rig: 14MHzTX:Dual Band TRCV(VMP4のA級PP、出力は5Wに制限)、7MHz & 3.5MHz:CW TRCV + 6360アンプ(出力4W)


JA0IXX


JA0IXX


JA0IXX


JA0IXX


JA0IXX

JA4MRL
今回はCONDXが良かったのか参加局が多かったのか、QSO数が伸びて面白かったです。Rig: K2

JA8CXX
集計ご苦労様です。7MHzシングルバンドで参加しました。17:10から早めの夕食を済ませて17:30に無線機の前に戻った時には、もうほとんど何も聞こえない状態でした。Rig: 7MHz CW TRCV(2SC1971 出力5W)


JA8CXX

JG1SMD
今年のコンテストはDSB TRCV(0.1W)に真空管のリニアアンプを付けて、2Wで運用。ANTは2エレのHB9CV。真空管ですからAC電源使用、従って移動はできず、自宅ベランダからの運用でした。プレート電圧は200Vと抑えていましたので、実測の出力は約2Wです。当日は東海マラソンコンテストもあった模様で2エリアの局がちらほら、でもQRPコンテストをコールする方は少なく、寂しく感じました。
結局、散発的に1時間強運用して終了しました。土曜日の午前中で天気がよかったので6mでは移動局が多く聞かれましたが50.300MHzより上に上がってこられるかたがほとんどなく、折角なので少しコンテスト知名度をあげたいものだと思った次第です。
今回は12Vの電源としてUSBバッテリーを使用し、それにDC-DCコンバーターを組み合わせて12V出していましたが特に目立ったパルス性ノイズも聞こえてこずFBでした。今後、移動運用で案外イケるのではないかと考えています。


JG1SMD

JK1LSE
7MHzのCONDXが悪いのを承知でのSingle Band参加です。QRPはCONDXに依存するとこが大きいですね。早く良くなることを祈っています。Rig: 2N7000x3x2 5W


JK1LSE


JK1LSE

JK1TCV
エレクラフトK2を使いました。日中のハイバンドはCONDXが悪くローカル局だけでした。7MHzは日中のレーダーノイズが酷くこちらもいまいちなCONDXでしたが、夕方から夜の3.5MHzがなかなか良く楽しめました。最近上げてた1.9MHzのスローパANTが良い活躍をしてくれました。時間が12時間と長いので、バンドごとに時間を決めてやった方が効率が良く、皆さんが参加しやすくなると思います。Rig: K2


JK1TCV


JK1TCV

JL1VNQ
2時間あまりしか参加できませんでしたが、弱い信号を拾っていただいたので思いのほか楽しかったです。Rig:VN4002


JL1VNQ

【お知らせ】 QRPクラブからのお知らせ

#0678 JA8IRQ 福島 誠

● 東京でのハムフェアは8月31日~9月1日ですが、北海道ハムフェアは9月21日~22日となりました。
北海道ハムフェアの出展申込みの締め切りが早まったのに私が対応できず、JARL QRP CLUBとしては出展できませんでしたが、札幌QRPミーティングのブースに相乗りさせていただくことになりました。8エリアのみなさん、どうぞよろしくお願いいたします。

● 昨年度の会計の決算報告がこのWebの会員エリアに掲載されております。この画面の右側上の「メタ情報」「ログイン」からIDとパスワードを入力してご覧ください。IDとパスワードは会員にはメールで送っておりますが、わからなければ役員会あてお問い合わせください。

● 上にも書きましたが、昨年11月3日に行われたQRPコンテストの結果が公開されました。
結果はこちらのPDFファイルをごらんください。

● 会員継続手続きがエラーが出てうまくいかないというメールが時々届きます。どうもシステム上のエラーのようです。お手数ですが、時間をおいて何度かやってもうまくいかない場合は役員会 qtc@jaqrp.org (@は@に置き換え)までお知らせください。

★ QRPクラブに関する連絡先のメールアドレスは以下のとおり

◆ QRPクラブの活動全般についての質問、ご要望、ご意見は qtc@jaqrp.org (@は@に置き換え、以下同じ)までお願いいたします。このメールは役員と監査役に届きます。メールには役員から必ずお返事を出します。
◆ アワード関連についての問い合わせ先はアワード担当へ award@jaqrp.net
◆ コンテストについての問い合わせ先はコンテスト担当へ contest@jaqrp.net
◆ 毎月開催している秋葉原懇親会については1エリア懇親会担当へ ja1@jaqrp.net
◆ 会報への投稿などについては編集部へ qrpnews@jaqrp.net


編集後記&近況報告

#1099 JR7SOX 菊池 弘二

◆南の地方から北上してきた桜の話題が当地方をも通り過ぎ、北海道の方へ渡っていきました。CONDXは相変わらず寒さが勝っているようで入感数が少なくて残念です。
などとWXやCONDXのせいにしていますが、それに比べて某OMのなんとアクティブなこと。遠隔地からのQRVを時々J-クラスタでお見かけするので必死にワッチするも、聞こえたことがありません。
いつか2×QRPでQSO出来ることを期待します。

すでに超大型365連休中、、、


編集後記&近況報告

#0678 JA8IRQ 福島 誠

◆なかなか無線に復帰できません。会報作成などクラブの仕事を手伝ってくれる方を募集中です。

◆6月号(以降)の原稿を募集中です。あなたの実験、製作、運用レポート、小ネタなどを編集部あてお送りください。パソコンが苦手な方は福島あて直接の郵送でもかまいません。(住所はMLや紙版会報などで確認してください。)宛先は qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。