JARL QRPクラブ会報 2019年11月23日発行 vol.62-03

投稿者: | 2019年11月23日


JARL QRPクラブ会報 2019年11月23日発行 vol.62-03 The JARL QRP Club

JARL QRPクラブ会報 2019年11月23日発行 vol.62-03

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JARL QRPクラブ会報 2019年11月23日発行 vol.62-03


No. 2019年11月号 目次 コールサイン 筆者
1 【運 用】 トカラ列島7島早回りの巻 JR3ELR/1 吉本 信之
(Nobuyuki Yoshimoto)
2 【レポート】ハムフェア2019終了 JE1ECF 斎藤 毅
(Tsuyoshi Saito)
3 【レポート】第6回北海道ハムフェア JN3DMJ 松本 貢一
(Koichi Matsumoto)
4 【製 作】50MHz DSB 10mW トランシーバーの製作 JA8CXX 高野 順一
(Junichi Takano)
5 【製 作】0v2受信機の製作 JA4JDY 西田 憲治
(Kenzi Nishida)
6 【お知らせ】QRPクラブからお知らせ JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)
7 【編集後記】 JR7SOX 菊池 弘二
(Kohji Kikuchi)
8 【編集後記】 JA8IRQ 福島 誠
(Makoto Fukushima)

【運 用】 トカラ列島7島早回りの巻

#0033 JR3ELR/1 吉本 信之

トカラ列島(注1)の物資輸送船は通常30分程で人荷の積下ろしを済ませて次の島に向かい一泊二日で7島を巡ります。しかし、年に2~3度二泊三日の特別便(レントゲン船ダイヤ)が出ます。これは各島に2時間停泊して途中の悪石島で一泊の後7島を巡っていきます。今回は、この特別便に乗船しています。

物資輸送船

【写真 1】物資輸送船特別便

【厳しい自然は美しい】

平(たいら)島は防波堤が造れない程海が急峻に深く沈み込み、短い桟橋は少しの波でも波が覆い人も物資も降ろせなくなりますが、凪(なぎ)の時には素晴らしい姿を呈します。

平島新旧桟橋

【写真 2】平島新旧桟橋

宝島と小宝島はハブの北限で島固有の亜種がいます。南端の宝島で2時間島を散策していたら権現堂で昼の最中に亜種のトカラハブと遭遇してしまいました。無人島のような天敵が居ない島だと日中普通に出没しますが、有人島では日中炎天下でハブに出会うことはありません。
奄美群島のハブ捕獲報奨金が@3000円に対し十島村のハブ捕獲報奨金は@500円の差も大いに関係してきます。

トカラハブ

【写真 3】トカラハブ

日行性の個体が生き残れない最大の天敵は「人間」なんです。港に戻る途中の海岸で人生初「エラブウミヘビの産卵」に遭遇しました。トカラ列島の南の2島は小規模の珊瑚礁が岸の一部分に張りき僅かにできた水上部分にウミヘビが集って産卵します。全くの無防備状態になる昼日中の直射日光の下で産卵できる個体が生き残って子孫を残せるのが宝島です。

エラブウミヘビの産卵

【写真 4】エラブウミヘビの産卵

【釣果】

殆ど無線運用の時間がとれていませんが、トータル6局と交信できて釣果無を免れました。

運用中

【写真 5】運用中

今回は島主催の特別便の旅でプレミアム付きです。昨年に続いて二度目の悪石島で火砕流の下を流れ出た源泉のかけ流しの温泉で汗を流したあと、那覇の牧志市場でも名瀬の屋仁川通りでも絶対に流通しない程の「夜光貝」と「島の牛」を喰い切れない程頂戴して最高の旅になりました。

de JR3ELR/1 吉本

編注1:原文にある「トカラ」は漢字表記でしたが、環境によって正しく表示されない可能性がありましたのでカタカナ表記で「トカラ」とさせていただきました。

【編集部から】

(JA8IRQ)

ちなみに、トカラの漢字表記は

です。


【レポート】 ハムフェア2019終了

#0696 JE1ECF 斎藤 毅

2019年8月31日~9月1日、恒例のハムフェアが東京ビッグサイト南展示棟で開催され当クラブも例年通り出展いたしました。開催期間にブースにお立ち寄り頂いた方々、ブース運営にお手伝い頂いた方々ありがとうございました。(お立ち寄りコメントを別窓で表示)


QRP CLUB1

【写真 1】集合写真

QRP CLUB2

【写真 2】JA1AA 庄野OT追悼コーナー

QRP CLUB3

【写真 3】JA1AA 庄野OT追悼コーナー

QRP CLUB4

【写真 4】JA1AA 庄野OT追悼メッセージ

今年の自作展示は3名の会員よりエントリーがあり、盛況に終わりました。
以下、作品と作者になります。

1. 50MHz CW QRPp シンプルトランシーバ (PDFファイルを別窓で表示) JN3DMJ 松本さん

図 1


図 2

2. 7~50MHz 500mW AMトランシーバー (PDFファイルを別窓で表示) 7L4WVU 原口さん

図 3


図 4

3. 7MHz ダイレクトコンバージョンレシーバ (PDFファイルを別窓で表示) JA0UFZ 戸井さん

図 5

ハムフェア初日には、恒例の「QRPerの集い」を東京ビッグサイト近接で行いました。参加者からは会場への移動時間が掛からなかったことで高評価を頂きました。幹事を含め、20名が参加しました。
今回は海外からQRPトランシーバーキット頒布で有名なBD6CR Rongさん(https://www.qsl.net/bd6cr/)が参加され、JAのQRPerとの親睦を深めました。

ジャンケン大会での景品にエレクトロデザイン株式会社(EDC)(http://www.edcjp.jp/)より当日発売開始となったアンテナアナライザーの提供がありました。

今回、非常に残念なことですがハムフェア開催直前の8月19日にクラブ名誉会員のJA1AA庄野OTがSKされました。ついてはクラブブースに追悼コーナーを設け、追悼メッセージを募りました。お預かりしたメッセージは取り纏めて、ご遺族へお渡しいたしました。

【編集部から】

たくさんの方とお話しましたが、やはり庄野さんのことで話しかけられることが多かったです。本当に偉大な先輩だったと改めて思いました。(JA8IRQ)


【レポート】 第6回北海道ハムフェア

#0650 JN3DMJ 松本 貢一

第6回北海道ハムフェア(北海道アマチュア無線フェスティバル 2019)が9月21日~22日に札幌総合卸センターで開催されました。
今回も札幌QRPミーティングと合同でブースを出展しました。

写真 1

【写真 1】会場は札幌駅から徒歩10分の札幌総合卸センター


写真 2

【写真 2】開会式の様子。右端はJARL広報大使の JI1BTL 水田かおりさん


写真 3

【写真 3】いきなりですが、QRPクラブブースでの集合写真


写真 4

【写真 4】こちらは、すぐ左の札幌QRPミーティングのブースでの集合写真


写真 5

【写真 5】QRPクラブブースの様子
JN3DMJ松本の50MHz CW QRPp シンプルトランシーバ。
写真の右には配布していた「THE QRP NEWS」が見えます。
パネルにはJA1AA庄野OTの追悼写真などを掲示しました。


写真 6

【写真 6】札幌QRPミーティングブースの様子(1)
JA8CXX髙野さんの(上から)3.5MHz CW QRP送信機、50MHz AM受信機、50MHz AM 10mW送信機です。いつもながら、回路上の工夫に加え、とてもきれいです。


写真 7

【写真 7】札幌QRPミーティングブースの様子(2)
JA8CXX髙野さんの50MHz DSB 10mWトランシーバ。ハムフェア2019自作品コンテスト規定部門優秀賞第二席受賞作品。1,000km/TPアワードも受賞しています。


写真 8

【写真 8】札幌QRPミーティングブースの様子(3)
JA8DRE鈴木さんは、ちいさなパソコンIchigoJamにプログラミングして、自作インターフェイスで接続したダミーロード付きPixieでモールス符号を発生させるデモをしていました。


写真 9

【写真 9】札幌QRPミーティングブースの様子(4)
JA8DRE鈴木さんのPixieを拡大してみました。


写真 10

【写真 10】札幌QRPミーティングブースの様子(5)
JH8LDW篠原さんの50MHzコンパクトD.P.アンテナ


写真 11

【写真 11】札幌QRPミーティングブースの様子(6)
JE1UCI 冨川さんの1989年(30年前)の雑誌記事(お若い写真)と自作トランシーバ


写真 12

【写真 12】北海道ハムフェア会場内の様子(1)
クラブブース付近(右側がクラブブース)


写真 13

【写真 13】北海道ハムフェア会場内の様子(2)
ここでもIC-705が注目を浴びていました(アイコムのブース)


写真 14

【写真 14】アイボールミーティング(懇親会)(1)
土曜の夜の懇親は、北海道ハムフェア主催のアイボールミーティング(懇親会)で行いました。
会場はサッポロビール園で、ジンギスカンを囲んで盛り上がりました。


写真 15

【写真 15】アイボールミーティング(懇親会)(2)
JA8CXX髙野さんとJN3DMJ松本

【編集部から】

札幌ではのんびりと座って自分でもちょっとジャンクな買い物ができたりしました。次は2年後に開催できるかな?(JA8IRQ)


【製 作】 50MHz DSB 10mW トランシーバーの製作

#0971 JA8CXX 髙野 順一

昨年、50MHz AM 15mWトランシーバーを製作して1000km/TP賞を達成しましたが、その後AMモードではなかなか相手が見つからないので、今度はDSB(抑圧搬送波両側波帯)モードでやってみようと昨年12月初旬から構想を練り始めました。
手作りトランシーバー入門(CQ出版社)の50MHz DSBトランシーバーを参考にしましたが、いつもの癖でまるっきり同じではつまらないと、あちこち勝手に変更しました。
そのせいでオリジナルの設計のバランスが崩れたのか、パワーは5mW程度しか出ず(電源電圧12Vにて)、出力波形もAM変調に近いようなものになってしまいました。

トロイダルコイル活用百科(CQ出版社)の第7章 7.2節 ダブルバランスドミキサ、7.3節 シングルバランスドミキサの解説を何度も読み返したり、図書館に通ってCQ誌のバックナンバー(JG3ADQ 永井OMの記事等)を調べたりして、回路を変更、基板を何回も作り直しました。
平衡変調回路はダイオードDBM、ダイオードSBM、FMフロントエンド用IC(TA7358P)の3種類を試してみました。
それでもなかなかまともな結果が出なくて、何度「もうやめた」と思ったことか。
しかし、翌朝目が覚めると、「諦めずに出来るまでやってみよう」という気持ちになり続行ということを繰り返しました。
最終的には平衡変調回路にはダイオードSBMを採用し、入力信号レベルおよび各段間のインピーダンス整合を適切に行うことにより、出力のパワー、波形ともに見違えるほど改善されました。
受信部は特にトラブルもなくすんなりと動作して、今年の3月初旬、ようやくほぼ満足できるようなものが出来上がりました。


写真 1

【写真 1】外観


写真 2

【写真 2】内部


写真 3

【写真 3】背面


図 1

【図 1】ブロックダイアグラム


図 2

【図 2】回路図

完成後、北海道6mSSBロールコールのキー局のOMと交信し音質等についてお聞きしたところ、音質はFBで、受信スペクトラムスコープで見てもきれいなDSBになっているし、キャリア漏れは全く認められず、周波数変動も感じられないとのレポート、お墨付きを貰えてホッとしました。
そして2か月後の5月4日、強力なEスポが発生しJA5RCT局(愛媛県久万高原町中津山移動)との交信が成立しました。RSはHis59、My55でした。
使用したアンテナは給電点地上高11mのV型ダイポールです。JA5RCT 黒田OM、交信およびQSLカード交換ありがとうございました。
この交信は1000km/TPの条件を満たし、アワードを頂くことができました。(2局間距離=1284km、 km/TP=1907km/W )


写真 4

【写真 4】電圧電流計測状況

その他これまでに、1、3、4、5、8エリアと交信できました。
作り始めた当初は、自作品コンテストに応募するつもりはなかったのですが、たまたま今年の規定部門のテーマが「50MHz帯関連機器」ということもあり、せっかくここまで苦労して完成させたのだからと思って応募したところ、優秀賞第2席を頂くことができました。
参考にさせていただいた文献の著者の皆様方に深く感謝いたします。


写真 5

【写真 5】トロフィー

定格・仕様

電波形式 DSB(A3E 抑圧搬送波両側波帯)
終段素子 2SK241シングル
送信出力 10mW
周波数範囲 1 50.100~50.249MHz
2 50.300~50.481MHz
変調方式 平衡変調(ダイオードSBM)
受信方式 ダイレクトコンバージョン
電源 背面取付電池 単4型ニッケル水素充電池8本 (1.2V×8=9.6V)
または外部電源 DC9~12V
外形寸法 150(W)×80(H)×150(D)mm (突起部は含まず)
重量 900g (電池を含む、マイク、スピーカーは含まず)

【編集部から】

高野さん、優秀賞2席おめでとうございます。(JA8IRQ)


【製 作】 0v2受信機の製作

#0366 JA4JDY 西田 憲治

40年ぶりに真空管2本を使った0v2受信機を作ってみました。再生検波に6AU6、低周波増幅は6BM8、昔懐かしいベークのプラグインコイルを使ったものです。ここまで書けば皆さんは頭の中に回路図とシャーシー上のレイアウトそしてバーニアダイヤルと音量、再生、電源スイッチのついた全面パネルの様子が目に浮かぶことと思います。したがって詳細な配線図は省略します。製作上の問題、受信の様子について記してみましょう。


図 1

【図 1】回路図

もともと九州のユニデバイスが販売したキットです。プラグインコイルも3本ついています。自分でコイルを巻きますがここがポイントです。
もともとシャーシーの穴はあけてありますしほとんど空中配線で組み立てますのでコイル以外の部分は2時間もあれば完成です。
コイルは中波用と3.5から10MHzまでそして30MHzまでのものを作成しますがエナメル線を途中でよじって半田あげするという厄介なものなので苦労しました。

こうして出来上がった0v2受信機で7MHzをのぞいてみましょう。SSBはかなり強い局でないと分離復調が今一つです。CWについては丁度コンテストの最中でヨーロッパ局を呼ぶJAの局が強力に入感します。QRPの局の信号も聞こえます。とにかくノイズが少ないので信号が浮かび上がって聞こえます。メインのダイヤルはバーニヤダイヤルですがスプレッドは一般のつまみでとても操作がしやすいです。9R-59と比べても感度、音質ともに遜色がありません。

このキット送料等含めますと29,000円という高額ですがそれでもシャーシ加工及び部品集めの労力を考えると安いものかもしれません。
50年前に初歩のラジオ誌の巻末に乗っていた科学教材社の3,800円のキットを思い出させるものでした。

今7MHz AMが復興しています。7195kHzの固定周波数なので実用受信機として使うことも考えてみたいと思います。


写真 1

【写真 1】0v2受信機

【編集部から】

西田さん、投稿ありがとうございます。調べたところユニデバイスのキットはもう販売されてないようです。NPO法人ラジオ少年2球再生式ラジオキットならまだ入手できますが、そこも3月末で頒布を終了することになったようです。(JA8IRQ)


【お知らせ】 QRPクラブからお知らせ

#0678 JA8IRQ 福島 誠

◆QRPコンテスト終了

11月3日にQRPコンテストを行い、多数のQRP局に参加いただきました。結果は(かなり先に)こちらに発表されると思います。


編集後記&近況報告

#1099 JR7SOX 菊池 弘二

◆あまりQRPじゃない話題ですが、最近の活動報告としてお許しください。
先日、A1 Clubのストレートキーコンテストに参加させていただきました。パドルで下手に打つ人間がストレートキーを打つとどうなるか。想像に難くなく、大変腕と耳が疲れるコンテスト参加となりました。

◆このコンテストで気に入ってる点はQSYルールです。頻繁ではないですが他のコンテストではたいてい呼ぶ専門だけで参加しています。しかしここでは一度誰かを呼んでQSOした後は自分が呼ばれるのでものすごく緊張するのです。そしてその後およそ1KHz以上QSYします。自分からCQ TESTを打つのはこのときぐらいです。しかも下手な縦振りで。
お相手していただいた方ばかりでなく、当日オンエアされていた皆様にご迷惑となったことをお詫びしたいです。お相手いただいた各局どうもありがとうございました。
以前書いた「ストレートキーのOT氏」とオンジエアーで会えました。


編集後記&近況報告

#0678 JA8IRQ 福島 誠

◆局免許の期限が3月28日までとなっていたので再免許の申請をしました。前々回から電子申請ですので前回同様にして、パソコンで入力して数分で終了です。
『申請が受け付けられましたので、申請手数料の電子納付手続をお願いします。』
というメールが到着したら、手数料もネット銀行で送金するので、外に出る必要があるのは「免許状送付のための返送用封筒を送る」のだけです。まあ、手続きは簡単になりました
ただし、私が持っているのは旧スプリアス基準のリグばかりですので、「平成34年12月1日(2022年)」以降は使えなくなります。新しい(中古の)リグも増えたので、一括してTSSの保証認定で変更申請を行う予定です。TSSは時間がかかるという話ですが、2年もあれば間に合うでしょう。電子申請で工事設計書を入力するのはなかなかの手間になりそうです。
TSSの保証認定についてはエレクトロデザインの木下さんが書かれてますが、いずれにしても「アマチュア無線局の電波の質は局長であるアマチュア無線家自身が責任を持つしかない」ものと思います。
◆次号の原稿を募集中です。あなたの実験、製作、運用レポート、小ネタなどを12月10日ころまでに編集部あてお送りください。パソコンが苦手な方は福島あて直接の郵送でもかまいません。(住所はMLや紙版会報などで確認してください。)宛先は qrpnews@jaqrp.net (@は半角@に)です。